敬語法 尊敬語 補助動詞の用法

敬語法 尊敬語 補助動詞の用法

敬語法 尊敬語 補助動詞の用法

敬語法 尊敬語 補助動詞の用法

古典文法の敬語法で、尊敬語(そんけいご)の補助動詞用法(ほじょどうしようほう)の解説です。尊敬語補助動詞の種類・意味を、学習します。


【尊敬語とは】


尊敬語とは、動詞で、動詞の能動(のうどう)へ、敬意が表現され、大切な存在であると暗示します。尊敬語は、「動作をする人が大事」と覚えましょう。



【尊敬語の補助動詞とは】


尊敬語の補助動詞の用法とは、尊敬語を、別の動詞へ接続させて、「動詞+尊敬語」として、用いることです。

例えば、動詞「行く」に尊敬語「給ふ」を接続させて、「行き給ふ」として、用いることです。「行き給ふ」は、現代日本語では「お行きになる」と訳します。



【本動詞+補助動詞】


「動詞+尊敬語」のうち、前部の動詞を本動詞(ほんどうし)と呼び、後部の尊敬語を補助動詞(ほじょどうし)と呼び、区別します。



【尊敬語の補助動詞 まとめ】


尊敬の補助動詞かな
給ふたまふ
賜ぶたぶ
賜ぶたうぶ
御座すおはす
御座しますおはします


敬語法を理解するためには、まずは「敬語が本動詞か補助動詞かどちらか」に注目するとよいでしょう。



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【科目】


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【領域】


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尊敬語の補助動詞 例文

尊敬語の補助動詞 例文

尊敬語の補助動詞 例文



【尊敬語の補助動詞 例文】


尊敬語の補助動詞は、現代日本語へも、尊敬語で訳します。


古典と現代で、対応する尊敬語がある場合は、現代日本語の尊敬語へ訳します。

動詞補助動詞例文現代
見る給ふ見給ふご覧になる
給ふし給ふなさる




古典と現代で、対応する尊敬語がない場合は、現代日本語で「お〇〇になる」と訳します。

動詞補助動詞例文現代
行く給ふ行き給ふお行きになる
読む給ふ読み給ふお読みになる
過ぐ給ふ過ぎ給ふお過ぎになる
蹴る給ふ蹴給ふお蹴りになる
出づ給ふ出で給ふお出になる
往ぬ給ふ往に給ふお往きになる



敬語 補助動詞3種類



【敬語 補助動詞3種類】



敬語の本動詞は3種類ありますが、敬語の補助動詞も3種類あります。

意味補助動詞例文現代
尊敬給ふ読み給ふ読みになる
謙譲奉る読み奉る読みする
丁寧侍り読み侍り読みます


補助動詞と助動詞 同じと違い

補助動詞と助動詞 同じと違い

補助動詞と助動詞 同じと違い



【補助動詞と助動詞 同じと違い】


補助動詞と助動詞には、共通点と相違点が、あります。


補助動詞助動詞共通相違
動詞へ接続する動詞へ接続する共通
意味を加える意味を加える共通
接続は連用形のみ接続は助動詞により異なる相違
単独でも用いる(本動詞になれる)単独では用いない相違



補助動詞と助動詞の共通点は、どちらも動詞へ接続することです。

例えば、動詞「す」に補助動詞「給ふ」を接続すると、「し給ふ」となります。動詞「す」に助動詞「けり」を接続すると、「しけり」となります。どちらも、動詞へ接続しています。



補助動詞と助動詞の共通点は、どちらも動詞へ意味を加えることです。

例えば、動詞「す」に補助動詞「給ふ」を接続すると、「し給ふ」となり、尊敬の意味が加わります。動詞「す」に助動詞「けり」を接続すると、「しけり」となり、過去の意味が加わります。どちらも、本動詞へ、意味が加わります。



補助動詞と助動詞の相違点は、接続が連用形だけかどうかです。

例えば、動詞「す」に補助動詞「給ふ」は連用形接続し、「し給ふ」となります。動詞「す」に助動詞「ず」は未然形接続し、「せず」となります。補助動詞は必ず連用形接続ですが、助動詞は連用形以外の接続があります。



補助動詞と助動詞の相違点は、単独で用いるかどうかです。

例えば、動詞「給ふ」は、「紙、給ふ」と単独でも用います。ただし、この場合は補助動詞「給ふ」ではなくなり、本動詞「給ふ」となります。助動詞は、必ず動詞に接続して用い、単独では用いません。



尊敬語の補助動詞 問題



【古文 尊敬語の補助動詞 例文】


以下の古文について、解説文の空欄を埋めなさい。


古文:あさましきまで、目を驚かしたまふ。  ---源氏物語 一帖 桐壷---

仮名:あさましきまで、めをおどろかしたまふ。

解説:この古文には、尊敬語「     」があり、     の用法です。

「驚かしたまふ」を品詞分解すると、     となります。

「驚かしたまふ」の現代日本語訳は、「     」となります。




古文:良きほどに、出で給ひぬれど  ---徒然草 三十二段---

仮名:よきほどに、いでたまひぬれど

解説:この古文には、尊敬語「     」があり、     の用法です。

「出で給ひぬれど」を品詞分解すると、     となります。

「出で給ひぬれど」の現代日本語訳は、「     」となります。




古文:いみじう興じおはします。  ---大鏡 下百八十三段---

仮名:いみじうきょうじおはします。

解説:この古文には、尊敬語「     」があり、     の用法です。

「興じおはします」を品詞分解すると、     となります。

「興じおはします」の現代日本語訳は、「     」となります。




古文:いみじう感ぜさせ給ひて、大袿、給ふ。  ---大鏡 下百八十三段---

仮名:いみじうかんぜさせたまひて、おおうちき、たもふ。

解説:この古文には、尊敬語「     」があり、     の用法と、     の用法の、2つの用法があります。

「感ぜさせ給ひて」を品詞分解すると、     となります。

「感ぜさせ給ひて」の現代日本語訳は、「     」となります。

「大袿、給ふ」を品詞分解すると、     となります。

「大袿、給ふ」の現代日本語訳は、「     」となります。





【古文 尊敬語 問題記述】


問題:平安時代に、敬語はどのような対象に用いられましたか。

記述:平安時代に、敬語は皇族・後宮・貴族・神職・空間に、用いられました。

皇族の最高権力者は、奈良時代以前は大王(おおきみ)と呼ばれ、平安時代以降は     と呼ばれ、現代日本語では日本国憲法により天皇(てんのう)と呼ばれます。皇族のうち、男性の皇位継承者を     と呼びますが、源氏物語では宮(みや)とも呼ばれています。皇族は、もっとも位階が高く、後宮や貴族は、皇族へ敬語を用います。

後宮は、天皇から寵愛される女性が住むところです。後宮には、女性独自の位階があり、摂関政治で権力の頂点に昇りつめた藤原氏は、娘たちを          として入内(にゅうだい)させました。源氏物語の主人公である光源氏(ひかるげんじ)の母親は、後宮では     という低い身分にも関わらず、天皇から寵愛されたので、他の女性から嫉妬される描写があります。江戸時代になると、武家将軍の後宮として、奥方(おくのかた)という敬称が生まれ、現代日本語の奥さん(おくさん)という敬称へ、変化していきます。貴族は、後宮へ敬語を用います。

貴族は、血統と役職により、位階が定まりました。血統とは、氏(うじ)のことで、藤原氏や蘇我氏が有名です。645年の大化改新(たいかのかいしん)で、天智天皇とともに戦った中臣鎌足は、     という位階を授けられ、中臣鎌足の子孫も用いています。役職とは、貴族の職務内容のことで、701年の大宝律令(たいほうりつりょう)により大枠が定められ、少しづつ整備されていきました。従三位以上の貴族は          と呼ばれ、現代日本語では「幹部」や「重役」に相当します。

貴族は、血統が良ければ、役職も良くなる傾向がありましたが、時代が進むにつれて、血統が良くとも、力量が足らなければ、役職を与えられない事例も増えていき、戦国時代になると     により、血統と役職は必ずしも一致しなくなりました。

神職(しんしょく)は、神道や仏教に関係があり、          などの人間だけではなく、お地蔵様や観音様などの神様にも、敬語を用います。現代日本語の     は、「年の初めに神に詣でる」という意味で、「詣でる」という敬語が用いられています。今昔物語やお伽草紙などの、一般庶民のための民話では、地域を守る聖なる動物にも、敬語を用いています。

空間は、特別な場所へ、敬語を用います。天皇のお住いである     は、江戸時代には禁中(きんちゅう)、現代では御所(ごしょ)と呼ばれています。皇族のご旅行先である     は、現代日本語でそのまま地名となっています。伊勢神宮(いせじんぐう)は、江戸時代の小説では「お伊勢様」と呼ばれています。

敬語の注目すべき機能は、身分の上下関係を定めるだけではなく、むしろ、相手の人格を尊重したり、物事を大切にする文脈でも、用いられることです。現代日本語においても、人間社会の権力関係だけでなく、大切にしたい気持ちとしても、敬語は用いられています。その意味で、敬語は、日本人の感性に影響を与えています。


尊敬語の補助動詞 解答解説



【古文 尊敬語の補助動詞 例文】


以下の古文について、解説文の空欄を埋めなさい。


古文:あさましきまで、目を驚かしたまふ。  ---源氏物語 一帖 桐壷---

仮名:あさましきまで、めをおどろかしたまふ。

解説:この古文には、尊敬語「給ふ」があり、補助動詞の用法です。

「驚かしたまふ」を品詞分解すると、驚かし(動詞 驚かす 連用形)+給ふ(動詞 給ふ 終止形)となります。

「驚かしたまふ」の現代日本語訳は、「お驚かしになる」となります。




古文:良きほどに、出で給ひぬれど  ---徒然草 三十二段---

仮名:よきほどに、いでたまひぬれど

解説:この古文には、尊敬語「給ふ」があり、補助動詞の用法です。

「出で給ひぬれど」を品詞分解すると、出で(動詞 出づ 連用形)+給ひ(動詞 給ふ 連用形)+ぬれ(助動詞 ぬ 已然形)+ど(接続助詞 逆説)となります。

「出で給ひぬれど」の現代日本語訳は、「お出になされたけれど」となります。




古文:いみじう興じおはします。  ---大鏡 下百八十三段---

仮名:いみじうきょうじおはします。

解説:この古文には、尊敬語「おはす」があり、補助動詞の用法です。

「興じおはします」を品詞分解すると、興じ(動詞 興す 連用形)+おはします(動詞 おはします 終止形)となります。

「興じおはします」の現代日本語訳は、「お楽しみなさる」となります。




古文:いみじう感ぜさせ給ひて、大袿、給ふ。  ---大鏡 下百八十三段---

仮名:いみじうかんぜさせたまひて、おおうちき、たもふ。

解説:この古文には、尊敬語「給ふ」があり、補助動詞の用法と、本動詞の用法の、2つの用法があります。

「感ぜさせ給ひて」を品詞分解すると、感じ(動詞 感ず 連用形)+させ(助動詞 さす 連用形)+給ひ(動詞 給ふ 連用形)+て(接続助詞 順接)となります。

「感ぜさせ給ひて」の現代日本語訳は、「お感動なされて」となります。

「大袿、給ふ」を品詞分解すると、大袿(名詞)+給ふ(動詞 給ふ 終止形)となります。

「大袿、給ふ」の現代日本語訳は、「大袿を、お与えになる」となります。





【古文 尊敬語 問題記述】


問題:平安時代に、敬語はどのような対象に用いられましたか。

記述:平安時代に、敬語は皇族・後宮・貴族・神職・空間に、用いられました。

皇族の最高権力者は、奈良時代以前は大王(おおきみ)と呼ばれ、平安時代以降は帝(みかど)と呼ばれ、現代日本語では日本国憲法により天皇(てんのう)と呼ばれます。皇族のうち、男性の皇位継承者を親王(しんおう)と呼びますが、源氏物語では宮(みや)とも呼ばれています。皇族は、もっとも位階が高く、後宮や貴族は、皇族へ敬語を用います。

後宮は、天皇から寵愛される女性が住むところです。後宮には、女性独自の位階があり、摂関政治で権力の頂点に昇りつめた藤原氏は、娘たちを中宮(ちゅうぐう)皇后(こうごう)として入内(にゅうだい)させました。源氏物語の主人公である光源氏(ひかるげんじ)の母親は、後宮では更衣(こうい)という低い身分にも関わらず、天皇から寵愛されたので、他の女性から嫉妬される描写があります。江戸時代になると、武家将軍の後宮として、奥方(おくのかた)という敬称が生まれ、現代日本語の奥さん(おくさん)という敬称へ、変化していきます。貴族は、後宮へ敬語を用います。

貴族は、血統と役職により、位階が定まりました。血統とは、氏(うじ)のことで、藤原氏や蘇我氏が有名です。645年の大化改新(たいかのかいしん)で、天智天皇とともに戦った中臣鎌足は、朝臣(あそん)という位階を授けられ、中臣鎌足の子孫も用いています。役職とは、貴族の職務内容のことで、701年の大宝律令(たいほうりつりょう)により大枠が定められ、少しづつ整備されていきました。従三位以上の貴族は公卿(くぎょう)上達部(かんだちめ)と呼ばれ、現代日本語では「幹部」や「重役」に相当します。

貴族は、血統が良ければ、役職も良くなる傾向がありましたが、時代が進むにつれて、血統が良くとも、力量が足らなければ、役職を与えられない事例も増えていき、戦国時代になると下剋上(げこくじょう)により、血統と役職は必ずしも一致しなくなりました。

神職(しんしょく)は、神道や仏教に関係があり、禰宜(ねぎ)斎宮(さいぐう)などの人間だけではなく、お地蔵様や観音様などの神様にも、敬語を用います。現代日本語の初詣(はつもうで)は、「年の初めに神に詣でる」という意味で、「詣でる」という敬語が用いられています。今昔物語やお伽草紙などの、一般庶民のための民話では、地域を守る聖なる動物にも、敬語を用いています。

空間は、特別な場所へ、敬語を用います。天皇のお住いである内裏(うち)は、江戸時代には禁中(きんちゅう)、現代では御所(ごしょ)と呼ばれています。皇族のご旅行先である御幸(みゆき)は、現代日本語でそのまま地名となっています。伊勢神宮(いせじんぐう)は、江戸時代の小説では「お伊勢様」と呼ばれています。

敬語の注目すべき機能は、身分の上下関係を定めるだけではなく、むしろ、相手の人格を尊重したり、物事を大切にする文脈でも、用いられることです。現代日本語においても、人間社会の権力関係だけでなく、大切にしたい気持ちとしても、敬語は用いられています。その意味で、敬語は、日本人の感性に影響を与えています。


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