動詞の活用 上一段動詞 上二段動詞

動詞の活用 上一段動詞 上二段動詞

動詞の活用 上一段動詞 上二段動詞

動詞の活用 上一段動詞 上二段動詞

古典文法の動詞の活用で、古文の、上一段(かみいちだん)動詞と、上二段(かみにだん)動詞の解説です。

上一段動詞の例は「見る」です。「見る」という動詞は「見ず」「見て」「見る。」「見る時」「見れば」「見よ!」と、古典の日本語では変化します。

「まみむめも」の五段のうち、「み」の一段に活用しているので「見る」は上一段活用動詞と呼びます。


上二段動詞の例は「起く」です。「起く」という動詞は「起きず」「起きて」「起く。」「起くる時」「起くれば」「起きよ!」と、古典の日本語では変化します。

「かきくけこ」の五段のうち、「きく」の二段に活用しているので「起く」は上二段活用動詞と呼びます。


現代日本語では、上二段動詞は、上一段動詞へ合流していきました。



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【科目】


古文(古典)


【領域】


古文文法(こぶんぶんぽう)


【対応カリキュラム】


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【対象生徒】


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上一段活用動詞 解説

古文文法の動詞は、まず四段活用動詞を学習して、それから、上一段活用動詞・上二段活用動詞・下一段活用動詞動詞・下二段活用動詞の順番で進みます。


【上一段活用動詞 解説】


上一段(かみいちだん)活用動詞とは、動詞の活用語尾に、イ段の母音が含まれる動詞です。

日本語は母音には「アイウエオ」の五段あり、そのうち「イ」の一段が含まれています。


【古文動詞 用いる 上一段活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形ずを付ける
連用形てを付ける
終止形いる。を付ける
連体形いる物を付ける
已然形いればを付ける
命令形いよ!を付ける

活用語尾に注目すると「い・い・いる・いる・いれ・いよ」と、イ段の母音が含まれていますね。




【古文動詞 見る 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形---ずを付ける
連用形---てを付ける
終止形---みる。を付ける
連体形---みる物を付ける
已然形---みればを付ける
命令形---みよ!を付ける


活用語尾に注目すると「み・み・みる・みる・みれ・みよ」と、イ段の母音が含まれていますね。上一段活用動詞の「見る」は、語幹がなく、活用語尾だけなのですね。




【古典日本語と現代日本語 見る 活用表】


活用形古文日本語現代日本語識別方法
未然形ず・ないを付ける
連用形てを付ける
終止形みるみる。を付ける
連体形みるみる物を付ける
已然形みれみればを付ける
命令形みよみろ!を付ける


古典日本語では、命令形が「見よ」です。対して、現代日本語では、命令形が「見ろ」へと変化しています。

上一段活用動詞 覚えるべき動詞



【上一段活用動詞 貴族生活の動詞】


上一段動詞には「見る・着る・居る」などの、貴族生活に関係する動詞が多いです。



【上一段活用動詞 大学受験対策 覚えるべき動詞】


上一段活用動詞の暗記法は、伝統的に「ひいきにみる」という語呂合わせがあります。

語呂上一段動詞かな意味
干るいる物を干す(ほす)
居るゐる座っている
射るいる弓を射る
率るゐる率いる
鋳るいる金属を鋳造する
着るきる衣服を着る
似るにる姿が似る
煮るにる食物を煮る
見るみる目で見る


大学受験対策では、上一段動詞は、暗記するのが王道です。




【上一段活用動詞 大学受験対策 覚えなくてよい動詞】



嚏る(ひる):中身を外へ出す。現代日本語では「ひりだす」という動詞へと合流しました。

廻る(みる):周辺を見て回る。

沃る(いる):注ぐ。現代日本語では「肥沃な大地」という言い回しが、継承されています。

率ゐる(ひきいる):現代日本語では「一緒に連れていく」という意味で、継承されています。

用ゐる(もちいる):現代日本語では「人間の役に立つ」という意味で、継承されています。


上一段活用動詞 問題


以下の活用表を埋めなさい


【上一段動詞 用ゐる 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形    ずを付ける
連用形    てを付ける
終止形    。を付ける
連体形    物を付ける
已然形    ばを付ける
命令形    !を付ける


古典日本語の動詞「用ゐる」は「わゐうゑを」の「ゐ」を用いて、ワ行上一段動詞と、呼ばれます。

現代日本語の動詞「用いる」は、「あいうえお」の「い」を用いますね。




【上一段動詞 居る 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形---    ずを付ける
連用形---    てを付ける
終止形---    。を付ける
連体形---    物を付ける
已然形---    ばを付ける
命令形---    !を付ける


上一段活用動詞の「居る」は、語幹がなく、活用語尾だけなのですね。



【上一段動詞 現代日本語訳】



以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:顔(かんばせ)、似れば、面影あり。
現代:    


古文:月日は、いかなるものにも、似ず。
現代:    


古文:弓、射る人、あり。
現代:    


古文:貴族の娘を盗みて、東国へ、率てけり。
現代:    


古文:三寸ばかりなる人、いとうつくしうて、居る。
現代:    
解説:
一寸(いっすん)=3.03センチメートル

三寸(さんすん)=9.09センチメートル

一尺(いちしゃく)=十寸(じゅっすん)
=3.03センチメートル×10=30.3センチメートル

上一段活用動詞 解答解説


以下の活用表を埋めなさい


【上一段動詞 用ゐる 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形ずを付ける
連用形てを付ける
終止形ゐる。を付ける
連体形ゐる物を付ける
已然形ゐればを付ける
命令形ゐよ!を付ける


古典日本語の動詞「用ゐる」は「わゐうゑを」の「ゐ」を用いて、ワ行上一段動詞と、呼ばれます。

現代日本語の動詞「用いる」は、「あいうえお」の「い」を用いますね。




【上一段動詞 居る 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形---ずを付ける
連用形---てを付ける
終止形---居る。を付ける
連体形---居る物を付ける
已然形---居ればを付ける
命令形---居よ!を付ける


上一段活用動詞の「居る」は、語幹がなく、活用語尾だけなのですね。



【上一段動詞 現代日本語訳】



以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:顔(かんばせ)、似れば、面影あり。
現代:顔立ちが、似ているので、面影がある。


古文:月日は、いかなるものにも、似ず。
現代:月日(の経過)は、いかなるものにも、似ていない。


古文:弓、射る人、あり。
現代:弓を発射する人がいる。


古文:貴族の娘を盗みて、東国へ、率てけり。
現代:貴族の娘を誘拐して、東国へ、一緒に連れて行った。


古文:三寸ばかりなる人、いとうつくしうて、居る。
現代:三寸くらいの人間が、とても上品に、座っている。
解説:
一寸(いっすん)=3.03センチメートル

三寸(さんすん)=9.09センチメートル

一尺(いちしゃく)=十寸(じゅっすん)
=3.03センチメートル×10=30.3センチメートル

上二段活用動詞 解説

古文の上二段動詞(かみにだんどうし)は、現代日本語と異なるので、注意したいです。


【上二段活用動詞 解説】


上二段(かみにだん)活用動詞とは、動詞の活用語尾に、イ段とウ段の母音が含まれる動詞です。

日本語は母音には「アイウエオ」の五段あり、そのうち「イウ」の二段が含まれています。



【古文動詞 起く 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形ずを付ける
連用形てを付ける
終止形。を付ける
連体形くる物を付ける
已然形くればを付ける
命令形きよ!を付ける


活用語尾に注目すると「き・き・くる・くる・くれ・きよ」と、イ段とウ段の母音が含まれていますね。



【古典日本語と現代日本語 起くと起きる 活用表】


活用形古典日本語現代日本語識別方法
未然形起き起きず・ないを付ける
連用形起き起きてを付ける
終止形起く起きる。を付ける
連体形起くる起きる物を付ける
已然形起くれ起きればを付ける
命令形起きよ起きろ!を付ける



古典日本語の動詞「起く」は、カ行上二段活用動詞です。

現代日本語の動詞「起きる」は、カ行上一段活用動詞です。

上二段活用動詞は、上一段活用動詞へと、合流していった歴史があります。



【動詞の識別方法 上一段動詞と上二段動詞】


1:上一段動詞であるかどうか。
2:上一段動詞でなければ、打消の助動詞「ず」により、動詞を未然形に活用させてみる
3:未然形がア段の音になれば、その動詞は「四段活用動詞」である。
4:未然形がイ段の音になれば、その動詞は「上二段動詞」である。

上二段活用動詞 気を付けるべき動詞



【上二段活用動詞 気を付けるべき動詞】


上二段動詞には、現代日本語の直観に反する動詞があります。引っかかりやすい動詞として、ヤ行上二段活用の老ゆ(おゆ)・悔ゆ(くゆ)・報ゆ(むくゆ)の、3語があります。



【古文動詞 悔ゆ 活用表】


活用形語幹活用語尾識別方法
未然形ずを付ける
連用形てを付ける
終止形。を付ける
連体形ゆる物を付ける
已然形ゆればを付ける
命令形いよ!を付ける


悔ゆ(くゆ)は「やいゆえよ」の五段のうち、「いゆ」の上二段に活用していますね。



上二段活用動詞 問題



【上二段活用動詞 日本語訳】


以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:年、老ゆる犬。
現代:    


古文:月日のはやく過ぐるゆえ
現代:    


古文:四十、過ぐれば、恥づる心もなし。
現代:    



【文法用語 問題記述】


現代日本語で、動詞とはどのような品詞ですか。

現代日本語で、動詞とは、    品詞です。動詞・形容詞・形容動詞をまとめて    と呼びます。全ての動詞は、    音で言い切ります。


古典日本語で、動詞とはどのような品詞ですか。

古典日本語で、動詞とは、    品詞です。動詞・形容詞・形容動詞をまとめて    と呼びます。ほぼ全ての動詞は、    音で言い切ります。例外として「    」はイ段音で言い切ります。

上二段活用動詞 解答解説



【上二段活用動詞 日本語訳】


以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:年、老ゆる犬。
現代:年老いた犬。


古文:月日のはやく過ぐるゆえ
現代:月日が早く過ぎる理由


古文:四十、過ぐれば、恥づる心もなし。
現代:四十歳を過ぎたので、恥じらう心もない。



【文法用語 問題記述】


現代日本語で、動詞とはどのような品詞ですか。

現代日本語で、動詞とは、動作と状態を表現する品詞です。動詞・形容詞・形容動詞をまとめて用言(ようげん)と呼びます。全ての動詞は、ウ段音で言い切ります。


古典日本語で、動詞とはどのような品詞ですか。

古典日本語で、動詞とは、動作と状態を表現する品詞です。動詞・形容詞・形容動詞をまとめて用言(ようげん)と呼びます。ほぼ全ての動詞は、ウ段音で言い切ります。例外として「あり」はイ段音で言い切ります。

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