形容詞の活用 ク活用とシク活用

形容詞の活用 ク活用とシク活用

形容詞の活用 ク活用とシク活用

形容詞の活用 ク活用とシク活用


古典文法の形容詞(けいようし)の活用で、古文のク活用とシク活用の解説です。

ク活用の形容詞の例は「寒し」です。「寒し」という形容詞は「寒からず」「寒くて」「寒し。」「寒き時」「寒ければ」「寒かれ!」と、古典の日本語では変化します。「寒し」の連用形が、「ク」音になるので、ク活用と呼びます。

シク活用の形容詞の例は「美し」です。「美し」という形容詞は「美しからず」「美しくて」「美し。」「美しき時」「美しければ」「美しかれ!」と、古典の日本語では変化します。「美し」の連用形が、「シク」音になるので、シク活用と呼びます。


【古文形容詞 寒し 活用表】


活用形語幹活用語尾(ク)活用語尾(カリ)識別方法
未然形からずを付ける
連用形かりてを付ける
終止形ーーー。を付ける
連体形かる物を付ける
已然形ーーーければを付ける
命令形ーーーかれ!を付ける


古典日本語の形容詞「寒し」は、現代日本語の形容詞「寒い」に継承されましたが、活用は異なっていますね。



プロ家庭教師の古文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。


【科目】


古文(古典)


【領域】


古文文法(こぶんぶんぽう)


【対応カリキュラム】


公立中学高校古典+大学受験古典


【教材プリントダウンロード 小テスト用】


準備中


【対象生徒】


大学受験生(国公立高校生+私立中高一貫校生)
高校受験生



【プロ家庭教師 依頼可能】


古文の文法対策講座を、プロ家庭教師に指導依頼できます。

スポンサーさん

古文の形容詞入門




【古文の形容詞入門】


形容詞(けいようし)は、ものを修飾(しゅうしょく)する品詞で、古典日本語にも、現代日本語にも、両方に存在します。

しかし、古典日本語と現代日本語では、形容詞にはいくつか異なる点があります。



【古文の形容詞 しで終わる】


古典日本語の形容詞は、終止形が「し」で終わります。例えば「おかし。」「寒し。」「麗し。」などは、終止形が「し」で終わります。

現代日本語の形容詞は、終止形が「い」で終わります。例えば「おかしい。」「寒い。」「麗しい。」などは、終止形が「い」で終わります。



【古文の形容詞 分類表】


古典日本語学習に当たって、形容詞を3つに分類すると、見通しがよいです。

分類形容詞の例
現代と意味が同じ寒しと寒い
現代と意味が変わるおかしとおかしい
現代にない古文独特疾し(とし)



【古文の形容詞 同じ意味】


古典日本語の形容詞のうち、現代日本語の形容詞と、意味の変わらない言葉があります。

例えば「寒し」と「寒い」は、意味が変わっていません。

このような形容詞は、現代日本語訳が簡単で、そのまま訳します。例えば「我、寒し」とあれば、「私は、寒い」と訳します。



【古文の形容詞 意味が変わる】


古典日本語の形容詞のうち、現代日本語の形容詞とは、意味が変化した言葉があります。

例えば「おかし」と「おかしい」は、意味が変化しています。

このような形容詞は、現代日本語訳に注意しましょう。はっきりと、異なる意味で訳します。例えば「虫、おかし」とあれば、「虫は、趣深い」と訳します。「虫は、おかしい」と訳すと、間違いです。

受験においては、この意味の変わらない言葉が、出題されやすいです。なぜなら、受験生がきちんと古文を学習したかどうか、採点者に伝わりやすいからです。



【古文の形容詞 古典にしかない】


古典日本語の形容詞のうち、現代日本語にはない言葉があります。

例えば「疾く(とし)」や「らうたし」は、現代日本語にはない言葉です。

このような形容詞は、あらかじめ記憶しておきましょう。古文独特の形容詞は、高校受験ならば100語、大学受験ならば200語ほどです。

受験においては、難関大学の受験生は、古文独特の形容詞を押さえておきましょう。例えば、「わびし」「さびし」「はかなし」「やすし」などは、日本文化の重要概念で、より高度な読解に求められます。

形容詞の活用 解説


'古文文法の形容詞は、ク活用を学習して、それからシク活用を学習します。


ク活用とは、形容詞の基本形です。

古典文法の形容詞「寒し」は、以下のように活用します。


【古文形容詞 寒し ク活用】


活用形語幹活用語尾(ク)識別方法
未然形ずを付ける
連用形てを付ける
終止形。を付ける
連体形物を付ける
已然形ーーーばを付ける
命令形ーーー!を付ける


この活用表は、見てわかるように、不完全ですよね。


未然形は「寒くず」となり、発音しにくいです。

已然形は、ありません。

命令形は、ありません。


古典時代の人間も、形容詞の活用は、不完全だと感じていたらしく、やがて形容詞の活用語尾に「あり」を付けて、発音するようになりました。

「あり」はラ行変格動詞で、学習しましたよね。

「あり」を形容詞の後ろに付けてみます。


未然形は「寒く+あら+ず」=「寒からず」

連用形は「「寒く+あり+て」=「寒かりて」

終止形は「「寒く+あり。」=「寒かり」

連体形は「寒く+ある」=「寒かる」

已然形は「寒く+あらば」=「寒けれ」

命令形は「寒く+あれ」=「寒かれ」


となります。

このように、古典の形容詞には、2系統の活用が、融合して存在しています。

1つ目の系統は「元からあった形容詞の活用」で「ク活用」と呼びます。

2つ目の系統は「ありと融合した形容詞の活用」で「カリ活用」と呼びます。


【古文形容詞 寒し ク活用+カリ活用】


活用形語幹活用語尾(ク)活用語尾(カリ)識別方法
未然形からずを付ける
連用形かりてを付ける
終止形ーーー。を付ける
連体形かる物を付ける
已然形ーーーければを付ける
命令形ーーーかれ!を付ける


人間には、発音しやすいように、言葉を変化させていく法則があります。

形容詞の「美し」も、同じ発音法則で、理解できます。

「美し」を、もし「ク活用」したら


未然形は「うつくからず」

連用形は「うつくて」

終止形は「うつくし」

連体形は「うつくき」

已然形は「うつくければ」

命令形は「うつくかれ」


となります。

発音しにくいですよね。そこで「美し」は「ク活用」ではなく「シク活用」へと、発音しやすい方向へ、変化していったと考えられます。


【古文形容詞 美し シク活用+カリ活用】


活用形語幹活用語尾(ク)活用語尾(カリ)識別方法
未然形しくしからずを付ける
連用形しくしかりてを付ける
終止形ーーー。を付ける
連体形しきしかる物を付ける
已然形ーーーしければを付ける
命令形ーーーしかれ!を付ける



古典日本語と同じように、現代日本語の形容詞にも、2系統の発音が、融合して存在します。


【古典日本語と現代日本語 寒しと寒い 活用表】


活用形古典日本語現代日本語識別方法
未然形寒く・寒から寒く・寒からず・ないを付ける
連用形寒く・寒かり寒く・寒かってを付ける
終止形寒し寒い。を付ける
連体形寒き・寒かる寒い物を付ける
已然形寒けれ寒ければを付ける
命令形寒かれ---!を付ける






【古典形容詞の識別方法】


1:形容詞に「て」を付けて、を連用形に活用して、活用語尾が「ク」か「シク」かを確認する。
2:形容詞に「もの」を付けて、連体形に活用して、活用語尾が「キ」か「シキ」かを確認する。



形容詞の活用 問題




【古文形容詞 寒し ク活用+カリ活用】


以下の活用表を完成させなさい。

活用形語幹活用語尾(ク)活用語尾(カリ)識別方法
未然形          ずを付ける
連用形          てを付ける
終止形          。を付ける
連体形          物を付ける
已然形          ばを付ける
命令形          !を付ける


形容詞の活用は、2系統の活用があることを、押さえましょう。





【ラ行変格形容詞 活用形の識別】


以下の各文のうち、形容詞の活用形を書け。


若くて失せにし        

ありがたき御かたち人なり。        

法師ばかり、うらやましからぬものは、あらじ。        

初心の人、二つの矢を持つこと、なかれ。        

なかなかに、をかしき夜かな。       

いみじからん心地もせず。        

ありは、いとにくけれど        

ただあゆみにあゆみありくこそ、をかしけれ。        




【ラ行変格形容詞 現代日本語訳】


以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:若くて失せにし、いといとほしく、あたらし。
現代:     


古文:ありがたき御かたち人なり。
現代:     


古文:法師ばかり、うらやましからぬものは、あらじ。
現代:     


古文:初心の人、二つの矢を持つこと、なかれ。
現代:     


古文:なかなかに、をかしき夜かな。
現代:     


古文:いみじからん心地もせず。
現代:     


古文:ありは、いとにくけれど、水の上などを、ただあゆみにあゆみありくこそ、をかしけれ。
現代:     


---枕草子 四十三段 虫は鈴虫---


形容詞の活用 解答解説




【古文形容詞 寒し ク活用+カリ活用】


以下の活用表を完成させなさい。

活用形語幹活用語尾(ク)活用語尾(カリ)識別方法
未然形からずを付ける
連用形かりてを付ける
終止形ーーー。を付ける
連体形かる物を付ける
已然形ーーーければを付ける
命令形ーーーかれ!を付ける


形容詞の活用は、2系統の活用があることを、押さえましょう。





【ラ行変格形容詞 活用形の識別】


以下の各文のうち、形容詞の活用形を書け。


若くて失せにし   連用

ありがたき御かたち人なり。   連体

法師ばかり、うらやましからぬものは、あらじ。   未然

初心の人、二つの矢を持つこと、なかれ。   命令

なかなかに、をかしき夜かな。  連体

いみじからん心地もせず。   未然

ありは、いとにくけれど   已然

ただあゆみにあゆみありくこそ、をかしけれ。   已然




【ラ行変格形容詞 現代日本語訳】


以下の古文を、現代日本語に訳しなさい。


古文:若くて失せにし、いといとほしく、あたらし。
現代:若年で死んでしまって、とてもかわいそうで、もったいない。


古文:ありがたき御かたち人なり。
現代:滅多にない素晴らしい姿の人だ。


古文:法師ばかり、うらやましからぬものは、あらじ。
現代:お坊さんほど、うらやましくないものは、あるまい。


古文:初心の人、二つの矢を持つこと、なかれ。
現代:初心者の人は、二つの夜を持っては、ならない。


古文:なかなかに、をかしき夜かな。
現代:かえって、趣深い夜かな。


古文:いみじからん心地もせず。
現代:特に奇妙な心地もしない。


古文:ありは、いとにくけれど、水の上などを、ただあゆみにあゆみありくこそ、をかしけれ。
現代:蟻は、とても憎らしいが、水上を、ただ歩くに歩いていく(その姿は)、良いものなのだ。


---枕草子 四十三段 虫は鈴虫---


似ている記事
スポンサーさん