係り結びの法則とは、係助詞を用いて、登場人物の心情を表現する技術です。
係助詞(かかりじょし)とは、助詞の1つで、ぞ・なむ・こそ・や・かの5種類が知られています。
今回は強調の係助詞ぞ・なむ・こそを学習します。
【係助詞の表現 ぞ・なむ・こそ】
古文:花、咲く。
現文:花が咲く。
古文:花ぞ、咲く。
現文:花が咲くのだ。
古文:花なむ、咲く。
現文:花が咲くのだ。
古文:花こそ、咲けれ。
現文:花が咲くのだ。
【係助詞の表現 ぞ・なむ・こそ 訳し方】
係助詞「ぞ」・「なむ」・「こそ」の現代日本語訳については、言葉そのものを、翻訳する必要はありません。
その代わりに、文末を「なのだ」「してしまったのだ」というように強調しておけば大丈夫です。
古典日本語の表現技術の多くは、現代日本語では「文末へ集中」する流れがあります。
【古典日本語と現代日本語の違い】
古典日本語の係助詞「ぞ」は、現代日本語では「行くぞ」や「やるぞ」という文のように、終助詞へと進化していきました。
古典日本語の係助詞「なむ」は、現代日本語では消滅しています。
古典日本語の係助詞「こそ」は、現代日本語では「君こそふさわしい」という文のように、副助詞「こそ」に継承されています。
【係助詞の文法 ぞ・なむ・こそ】
係助詞「ぞ」・「なむ」・「こそ」は、文末の活用形を変化させます。
係助詞 | 意味 | 係り結び |
ぞ | 強調 | 連体形 |
なむ | 強調 | 連体形 |
こそ | 強調 | 已然形 |
「ぞ」・「なむ」は文末を
連体形に変化させます。
係助詞なし:酔ひたる人、泣くめり。
係助詞あり:酔ひたる人
ぞ、泣く
める。
係助詞「ぞ」が文末へと係り結び、助動詞「めり」が「める」に変化しています。「めり」は終止形で、「める」は連体形です。
係助詞なし:竹取の翁、ありけり。光る竹、一筋ありけり。
係助詞あり:竹取の翁、ありけり。光る竹
なむ、一筋あり
ける。
係助詞「ぞ」が文末へと係り結び、助動詞「けり」が「ける」に変化しています。「けり」は終止形で、「ける」は連体形です。
「こそ」は文末を
已然形に変化させます。
係助詞なし:もののあはれは、秋、勝る。
係助詞あり:もののあはれは、秋
こそ、
勝れ。
係助詞「ぞ」が文末へと係り結び、動詞「勝る」が「勝れ」に変化しています。「勝る」は終止形で、「勝れ」は已然形です。
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