千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし 意味文法品詞

千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし 意味文法品詞

千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし 意味文法品詞

千鳥鳴く佐保の川霧立ちぬらし 意味文法品詞


古今和歌集



【賀歌 三百四十五首 素性法師】




【古文】


:千鳥鳴く 佐保の川霧 立ちぬらし 山の木葉も 色勝りゆく



【古文】


:ちどりなく さほのかわきり たちぬらし やまのこのはも いろまさりゆく



【現代語訳】


千鳥が鳴き 佐保川には霧が 立ったらしい 山の木葉も 色が増していく



【品詞分解】


千鳥 鳴く 佐保 の 川霧 立ち ぬ らし 山 の 木葉 も 色 勝り ゆく



【文法解説】


千鳥(名詞) 鳴く(動詞 鳴く 連体形) 佐保(名詞) の(格助詞 連体) 川霧(名詞) 立ち(動詞 立つ 連用形) ぬ(助動詞 ぬ 終止形) らし(助動詞 らし 終止形) 山(名詞) の(格助詞 連体) 木葉(名詞) も(副詞) 色(名詞) 勝り(動詞 勝る 連用形) ゆく(動詞 ゆく 終止形)



【詩歌解説】


この詩歌(しいか)は、古今和歌集の賀歌(がか)へ収録された短歌です。賀歌とは、おめでたい出来事を詠います。現代なら、誕生日や就任式などが、賀歌にふさわしい場面です。

構成は、五七五七七(ごしちごしちしち)の三十一音の音律です。

言葉は、自然を題材にし、千鳥と川と木葉が、生命力を増しています。自然への共感は、和歌の特徴です。

表現は、連続(れんぞく)を用いています。まず、千鳥が元気に鳴き、そこへ、川に霧が立ち、最後に、木葉が色が増していきます。自然の変化を連続して描くことで、より大きなお祝いの空間を想像させます。

千鳥(ちどり)とは、特定の鳥を指す場合もありますし、無数の鳥をまとめて指す場合もあります。この短歌では、千鳥が鳴くことで、生命力を表現しています。

佐保の川(さほのがわ)とは、奈良県の佐保川のことです。当時の貴族は、佐保川へ遊びに行きました。

「立ちぬ」は、動詞「立つ」+助動詞「」です。助動詞「ぬ」は連用形に接続します。

動詞「勝る」は、勢力が強くなることです。現代日本語では、「勝ち負け」という意味で用いられますが、古典日本語「勝る」は、より広い意味で用いられます。

詞書(ことばがき)には、「内侍のかみの右大将ふちはらの朝臣の四十賀しける時に、四季のゑかけるうしろの屏風にかきたりけるうた」とあります。

「(役職は)内侍の長官であり、(位階は)右大将で朝臣である、藤原氏が、四十歳の(お誕生日会)のお祝いの時に、四季が描かれた屏風に書いておいた短歌」という意味です。

作者は、素性法師(そせいほうし)で、平安時代の僧侶です。


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