いろは歌(いろはうた) 古典作品解説

いろは歌(いろはうた) 古典作品解説

いろは歌(いろはうた) 古典作品解説

いろは歌(いろはうた) 古典作品解説

いろは歌(いろはうた)は、仮名手本(かなでほん)の和歌で、平仮名47文字で構成されます。作者は不明で、日本語の初学者に向けて、江戸時代に寺子屋で手本として教授されていました。いろは歌の魅力は、すべての平仮名を1文字ずつ用いること、かつ、7文字5文字の音律を持つことです。



【出典作品】

:いろは歌

【さくひん】

:いろはうた

【作品別名】

:いろは

【作者編者】

:不明

【さくしゃ】

:ふめい

【成立時代】

:平安時代

【作品形式】

:仮名手本和歌(かなでほんわか)

【出典紹介】

:いろは歌(いろはうた)は、仮名手本(かなでほん)の和歌で、平仮名47文字で構成されます。作者は不明で、日本語の初学者に向けて、江戸時代に寺子屋で手本として教授されていました。いろは歌の魅力は、すべての平仮名を1文字ずつ用いることと、7文字5文字の音律を持つことです。

難易度は、中級です。古文文法をひととおり学習し、助動詞が理解できるようになった生徒におすすめです。

【魅力要素】

:寺子屋・言葉遊び・仏教・詩歌

【出題頻度】

:C


プロ家庭教師の古文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。

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いろは歌 原文



【いろは歌 原文】


原文:いろはにほへどちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑひもせず(47文字)


区切:いろはにほへど ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせず


漢字:色は匂へど 散りぬるを 我が世誰ぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせず

いろは歌 現代語訳+品詞分解



【いろは歌 現代語訳+品詞分解】


古文:色は匂へど 散りぬるを

仮名:いろはにほへど ちりぬるを

現代:感覚は生まれても 消えて失くなる(こと)を

品詞分解:色(名詞) は(助詞 主語) 匂へ(動詞 匂ふ 已然形) ど(助詞 逆説) 散り(動詞 散る 連用形) ぬる(助動詞 ぬ 連体形) を(助詞 対象)

解説:色(いろ)とは、感覚による五感の世界のことです。由来は、仏教の空色(くうしき)という言葉です。




古文:我が世誰ぞ 常ならむ

仮名:わかよたれぞ つねならむ

現代:誰が栄え誰が滅びるのか 永遠に繰り返す

品詞分解:我が世(名詞) 誰(名詞) ぞ(係助詞) 常なら(形容動詞 常なり 未然形) む(助動詞 む 連体形)

解説:我が世(わがよ)とは、「私の時代」という意味で、勢力があり、栄光を誇る状態です。我が世誰ぞ(わがよだれぞ)で、誰が一番勢力があり、栄光があるのか、質問しています。常(つね)とは、人生の法則を意味します。




古文:有為の奥山 今日越えて

仮名:うゐのおくやま けふこえて

現代:どこかの山奥を 今日越えていく

品詞分解:有為(名詞) の(助詞 連体) 奥山(名詞) 今日(名詞) 越え(動詞 越ゆ 連用形) て(助詞 接続)

解説:有為(うい)とは、あらゆる現象(げんしょう)のことです。由来は、仏教の有為転変(ういてんぺん)という言葉です。



古文:浅き夢見し 酔ひもせず

仮名:あさきゆめみし ゑひもせす

現代:儚い夢を見たのだ 酔いもしないで

品詞分解:浅き(形容詞 浅し 連体形) 夢(名詞) 見(動詞 見る 連用形) し(助動詞 き 連体形) 酔ひ(動詞 酔ふ 連用形) も(助詞 強調) せ(動詞 す 未然形)  ず(助動詞 ず 終止形)

解説:浅き夢(あさきゆめ)とは、わずかな時間の夢とも解釈できますし、本気とは思えない夢とも解釈できます。ここでは、儚い夢(はかないゆめ)と現代語訳しましたが、広がりのある表現ですね。


いろは歌 古典作品解説



【いろは歌 古典作品解説】



問:いろは歌を、どうして江戸時代に寺子屋(てらこや)で学習したのですか?
答:いろは歌を、寺子屋で学習した背景には、書道と和歌があります。

書道では、文字を書く能力について、学びます。いろは歌を書くことで、ほぼ全ての平仮名の練習ができました。

和歌では、文字を読む能力について、学びます。いろは歌を読むことで、七文字五文字の音律を練習できました。七文字五文字の音律は、七五調(しちごちょう)とも呼ばれ、日本語の基本となります。

まとめると、いろは歌は、生徒の書く能力と話す能力を向上するために、素晴らしい教材だったので、寺子屋で採用されていました。


問:いろは歌に、平仮名の「ん」はありますか?
答:いろは歌に、平仮名の「ん」を含める場合もあります。その場合、最後の「ゑひもせす」が「ゑひもせすん」となり、末尾に「ん」が追加されます。文字数は、47文字から、48文字となります。


問:いろは歌は、いつの作品なのですか?
答:いろは歌の成立は、定まっていません。歌詞に仏教の言葉が含まれていますから、仏教伝来(ぶっきょうでんらい)より後であることは、明らかです。空海(くうかい)の没年(ぼつねん)である835年あたりと、考えられています。いろは歌は、誦文(ずもん)とも呼ばれ、初学者でも読みあげやすい工夫が施されています。日本語と中国語に精通した人物による、創作です。


問:いろは歌と、「あいうえお」はどのような関係にあるのですか?
答:「あいうえお」は、現代日本語の国語教科書に採用されている仮名手本(かなでほん)です。「あいうえお」は、母音と子音によって、整理されています。発音の論理に従うことで、構成がわかりやすくなりました。一方で、いろは歌の言葉のような、物語と音律を失っています。


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