大船に真楫しじ貫きこの我子を 意味文法品詞

大船に真楫しじ貫きこの我子を 意味文法品詞

大船に真楫しじ貫きこの我子を 意味文法品詞

大船に真楫しじ貫きこの我子を 意味文法品詞


万葉集 現代語訳+品詞分解】



【四千二百四十首 光明皇后



【古文】


:大船に 真楫しじ貫き この我子を 唐国へ遣る 斎へ神たち


【新字】


:大船に 真楫繁貫き この我子を 唐国へ遣る 斎え神たち


【かな】


:おおふねに まかぢしじぬき  このあこを からくにへやる いわえかみたち



【現代語訳】


大船に 立派な櫓(かい)を貫いて 私の子供を 唐国(大陸の中国)へ派遣する 見守ってください神様たちよ



【品詞分解】


大船 に 真楫 しじ貫き こ の 我子 を 唐国 へ 遣る 斎へ 神たち



【文法解説】


大船(名詞) に(格助詞 時空) 真楫(名詞) しじ貫き(動詞 しじ貫く 連用形) こ(名詞) の(格助詞 連体) 我子(名詞) を(格助詞 対象) 唐国(名詞) へ(格助詞 方向) 遣る(動詞 遣る 終止形) 斎へ(動詞 斎ふ 命令形) 神たち(名詞)



【詩歌解説】


この詩歌(しいか)は、万葉集へ収録された短歌です。旅立の儀式の場面です。

構成は、五七五七七(ごしちごしちしち)の三十一音の音律で、定型です。

切れは、四区切れで、第五句が独立しています。

言葉は、旅を題材にし、「大船(おほふね)」や「唐国(からくに)」などが用いられています。旅の平穏を願う歌ですが、さらに決別の歌にも取れます。子供の出発に、不安と期待を抱く母親像が、描かれます。

表現は、細部(さいぶ)を用いています。細部では、事物の細部を描くことによって、場面を印象的にします。ここでの細部とは「大船」に「真楫をしじ貫く」ことです。「真楫をしじ貫く」とは「立派な梶(かじ)を装備している」という意味で、大船の勇壮な装備を描くことで、場面を印象的にしています。

大船(おほふね)とは、海を渡るための本格的な船です。歴史仮名遣いでは「おほふね」で、現代仮名遣いでは「おおふね」となります。

真楫(まかじ)とは、立派な櫓(かい)のことです。海を渡るために、装備も豪華なものにしています。

しじ貫く(しじぬく)とは、左右に貫いて、重心を支えることです。

唐国(からくに)とは、中国大陸のことです。遣隋使・遣唐使の時代は、留学といえば、中国大陸のことでした。

斎ふ(いはふ)は、身を清めることです。

詠人(よみびと)は、藤原太后(ふじわらたいごう)で、光明皇后(こうみょうこうごう)のことです。



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