方丈記(ほうじょうき) 古典作品解説

方丈記(ほうじょうき) 古典作品解説

方丈記(ほうじょうき) 古典作品解説

方丈記(ほうじょうき) 古典作品解説

方丈記(ほうじょうき)は、鎌倉時代の随筆です。作者は、鴨長明(かものちょうめい)で、題材は、鎌倉時代の社会事件です。鴨長明は、下鴨神社の神主の家系に生まれ、社会と人生を見つめていくなかで、無常観に到達したと考えられています。無常観は、儚さ・切なさ・わび・さびとともに、日本語を代表する美学用語です。表現技術として、漢語と和語の融合・対句の韻律・比喩による論理構成に、注目しましょう。

【出典作品】

:方丈記

【さくひん】

:ほうじょうき

【作品別名】

:はうぢやうき

【作者編者】

:鴨長明

【さくしゃ】

:かものちょうめい

【成立時代】

:鎌倉時代 > 源氏政権

【作品形式】

:随筆

【出典紹介】

:方丈記(ほうじょうき)は、鎌倉時代の随筆です。作者は、鴨長明(かものちょうめい)で、題材は、鎌倉時代の社会事件です。鴨長明は、下鴨神社の神主の家系に生まれ、社会と人生を見つめていくなかで、無常観に到達したと考えられています。無常観は、儚さ・切なさ・わび・さびとともに、日本語を代表する美学用語です。表現技術として、漢語と和語の融合・対句の韻律・比喩による論理構成に、注目しましょう。古文文法を学びながら、古典文章に初挑戦したい生徒におすすめです。難易度は、初級です。日本の高校受験・大学受験でも出題されやすく、文章構成が明確なので、読みやすい作品です。

【魅力要素】

:生活・無常・隠者・神道

【出題頻度】

:A


プロ家庭教師の古文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。

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方丈記 一段 行く川の流れは

方丈記 一段 行く川の流れは

方丈記 一段 行く川の流れは


方丈記



【第一段 行く川の】



古文:行く川の流れは絶えずして、しかも本の水にあらず。

現代:(流れて)行く川の流れは絶えないで、しかも同一の水ではない。


古文:よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。

現代:(水流の)淀みに浮かぶ泡沫は、消えては結んで、いつまでも止まることはない。


古文:世の中にある人とすみかと、またかくの如し。

現代:世の中にいる人間と住居も、またこのようなものだ。


古文:玉しきの都の中にむねをならべいらかをあらそへる、たかきいやしき人のすまひは、代々を経て盡きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。

現代:(美しい玉石で舗装された)都市の中に、建物を並べ、屋根の高さを競っている、身分上下の人々の住居は、何代も経て書きつくせないものだが、その(書いてあることは)本当だろうかと問えば、昔からあった住居は希だ。


古文:或は、こぞ破れてことしは造り、あるは大家滅びて小家となる。住む人もこれにおなじ。

現代:あるいは、去年は崩壊して、今年は新築し、ある大邸宅は崩壊して小宅になる。住人もこれと同じだ。


古文:所も変わらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

現代:場所は変わらないで、人口も多いが、昔に見た人々は、二十人から三十人の中に、わずかに一人か二人だ。


古文:あしたに死に、ゆふべに生るるならひ、たた水の泡にぞ似たりける。

現代:朝方に(人が)死んで、夕方に(人が)生まれる運命は、ただ泡沫に似ているのだ。


古文:知らず、生れ死ぬる人、いづかたより来りて、いづかたへか去る。

現代:(運命を)知らないで、生まれては死ぬ人々は、どこから来て、どこへ去るのだろうか。


古文:又、知らず、仮の宿り、誰が爲(ため)に心を悩まし、何によりてか目をよろこばしむる。

現代:また、知らないで、仮の住居を、誰のために悩み、何のために目を喜ばせるのだろうか。


古文:そのあるじとすみかと、無常をあらそひ去るさま、いはば朝顏の露にことならず。

現代:その住人と住居の、無常を争う姿は、いわば朝顔の露と、異ならない。


古文:或は、露落ちて花残れり。残るといへども、朝日に枯れぬ。或は花はしぼみて、露なほ消えず。消えずといへども、ゆふべを待つことなし。

現代:あるいは、(朝顔の)露が落ちて、花が残る。(花が)残ると言うけれども、朝日(を浴びることで)で枯れてしまう。あるいは、花が萎んで、露がまだ消えない。(露が)消えないと言うけれども、夕日を(消えないままで)待つことはない。

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