神風の伊勢の国にもあらましを 意味文法品詞

神風の伊勢の国にもあらましを 意味文法品詞

神風の伊勢の国にもあらましを 意味文法品詞

神風の伊勢の国にもあらましを 意味文法品詞


万葉集 現代語訳+品詞分解】



【百六十三首 大来皇女】



【古文】


:神風の 伊勢の国にも あらましを 何しか来けむ 君もあらなくに



【かな】


:かみかぜの いせのくににも あらましを なにしかきけむ きみもあらなくに



【現代語訳】


神風の(吹く) 伊勢の国に 居たいのに どうして来てしまったのだろう (大事な)君も居ないのに



【品詞分解】


神風 の 伊勢 の 国 に も あら まし を 何しか 来 けむ 君 も あら なく に



【文法解説】


神風(名詞) の(助詞 連体) 伊勢(名詞) の(助詞 連体) 国(名詞) に(助詞 時空) も(助詞 強調) あら(動詞 あり 未然形) まし(助動詞 まし 連体形) を(助詞 対象) 何しか(名詞) 来(動詞 来 連用形) けむ(助動詞 けむ 連体形) 君(名詞) も(助詞 強調) あら(動詞 あり 未然形) なく(形容詞 なし 連用形) に(助詞 時空)



【詩歌解説】


この詩歌(しいか)は、万葉集へ収録された短歌です。伊勢の国(現在の三重県)から、奈良の都に出てきた女性が、別れた男性を想う場面です。

構成は、五七五七七(ごしちごしちしち)の三十一音の音律です。

言葉は、不在感を題材にし、「神」や「風」などが用いられています。不在と連想は、和歌の主題の1つです。不在とは、「何かがない」と感じることで、かえって、存在を強く求めてしまう人間心理のことです。

表現は、対比(たいひ)を用いています。神風が君臨する激しい伊勢の空を描いて、そこから、ぽつんと、大事な人がいない静かな不在感を描いています。

構成は、上の句で動(どう)を描き、下の句で静(せい)を描き、緊張と弛緩による構成です。

神風とは、伊勢の国へ、猛威を振るう台風のことと考えられています。伊勢湾には、歴史的に台風が訪れていたことが知られており、私たちの祖先は、自然に神が宿ると信じて、台風を、神が送る風に、見立てていました。

詠人(よみびと)は、大来皇女(おおくのひめみこ)で、伊勢神宮の斎宮(さいぐう)でした。


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