大鏡(おおかがみ) 古典作品解説

大鏡(おおかがみ) 古典作品解説

大鏡(おおかがみ) 古典作品解説

大鏡(おおかがみ) 古典作品解説

大鏡(おおかがみ)は、平安時代の物語(ものがたり)で、作者は不明です。紀伝体(きでんたい)による中編歴史物語で、藤原一族の栄華を舞台背景に持ちます。


【出典作品】

:大鏡

【さくひん】

:おおかがみ

【作品別名】

:世継物語(よつぎものがたり)・世継の翁が物語(よつぎのおみながものがたり)・世継のかがみの巻(よつぎのかがみのまき)・摩訶大円鏡(まかだいえんきょう)

【作者編者】

:ー

【さくしゃ】

:ー

【成立時代】

:平安時代 > 院政期

【作品形式】

:歴史物語(れきしものがたり)

【出典紹介】

:大鏡(おおかがみ)は、平安時代の物語で、作者は不明です。紀伝体(きでんたい)による中編歴史物語で、藤原一族の栄華を背景に持ちます。

古典日本語の「鏡(かがみ)」とは、歴史書のことです。大鏡・今鏡・水鏡・増鏡は、まとめて四鏡(しきょう)と呼ばれます。吾妻鏡は、四鏡に含みません。古文文法を学び終えた生徒におすすめです。難易度は、上級です。日本の大学受験では、平安時代の作品として、出題されやすいです。高校受験ではあまり出題されません。


【魅力要素】

:歴史・栄光・没落・儀式

【出題頻度】

:B

【参考文献】

:ー


プロ家庭教師の古文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。


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下012 醍醐天皇の略歴



大鏡



【下012 醍醐天皇の略歴】


古文:いはひつる 言霊ならば ももとせの 後もつきせぬ 月をこそ見め
新字:斎いつる 言霊ならば 百歳の 後も尽きせぬ 月をこそ見め
仮名:いわいつる ことだまならば ももとせの のちもつきせぬ つきをこそみめ
現代:慎んでいる もし言霊があるなら 百年の 後も尽きない 月を見て欲しいのだ

下183 延喜の帝 躬恒の歌を召す

下183 延喜の帝 躬恒の歌を召す

下183 延喜の帝 躬恒の歌を召す



大鏡



【下183 延喜の帝 躬恒の歌を召す】


古文:延喜の御時に、古今抄せられし折、
新字:延喜の御時に、古今集せられし折、
仮名:えんぎのおんときに、こきんしゅうせられしおり、
現代:延喜(醍醐天皇)の時代に、古今集をお選びなった時、


古文:貫之はさらなり、忠岑や躬恒などは、御書所に召されて、さぶらひけるほどに、
新字:貫之は更なり、忠岑や躬恒などは、御書所に召されて、候いけるほどに、
仮名:つらゆきはさらなり、ただみねやみつねなどは、ごしょどころにめされて、さぶらいけるほどに、
現代:紀貫之はもちろんのこと、壬生忠岑や凡河内 躬恒など(の歌人)は、御書所に招待されて、仕えていたところ、


古文:四月二日なりしかば、まだ忍音の頃にて、いみじく興じおはします。
新字:四月二日なりしかば、まだ忍音の頃にて、いみじく興じおわします。
仮名:うづきふつかなりしかば、まだしのびねのころにて、いみじくきょうじおわします。
現代:四月二日であったので、(ホトトギスが)まだ忍音の頃で、(醍醐天皇は、その忍音を)ひどく面白がっていらっしゃいました。


古文:貫之、召し出でて、歌、つかうまつらしめたまへり。
新字:貫之、召し出でて、歌、仕らしめ給えり。
仮名:つらゆき、めしいでて、うた、つかうまつらしめたまえり。
現代:貫之を、召し出して、歌をお詠ませになりました。


古文:こと夏は いかが鳴きけむ ほととぎす この宵ばかり あやしきぞなき
新字:異夏は いかが鳴きけむ ほととぎす この宵ばかり あやしきぞなき
仮名:ことなつは いかがなきけむ ほととぎす このよいばかり あやしきぞなき
現代:異なる夏(今年ではない夏)は、どのように鳴いていたのだろうか ほととぎすは 今宵のような 不思議(な心地)はない


古文:それをだに、けやけきことに、思ひたまへしに、
新字:それをだに、けやけきことに、思ひ給えしに、
仮名:それをだに、けやけきことに、おもひたまえしに、
現代:そのこと(受領という下級貴族である紀貫之が、天皇から依頼されること)でさえ、目立つことに、思いましたが、


古文:同じ御時、御遊びありし夜、御前の御階のもとに、躬恒を召して、
新字:同じ御時、御遊びありし夜、御前の御階のもとに、躬恒を召して、
仮名:おなじおんとき、ごあそびありしよる、おんまえのみはしのもとに、みつねをめして、
現代:同じ(醍醐天皇の)時代、管弦の演奏会があった夜、(醍醐天皇の)御前の(宮殿から庭へ降りていく)階段の下に、凡河内躬恒を召して、


古文:「月を弓張と言ふ心は、何の心ぞ。これが由、仕れ」と仰せ言ありしかば、
新字:「月を弓張と言う心は、何の心ぞ。これが由、仕れ」と仰せ言ありしかば、
仮名:「つきをゆみはりというこころは、なにのこころぞ。これがよし、つかうまつれ」とおおせごとありしかば、
現代:月(の別名)を弓張と言う心は、何の心だ。この理由を、(解説)しなさい」とおっしゃる言葉があったので


古文:照る月を 弓張としも 言ふことは 山辺をさして いればなりけり
新字:照る月を 弓張としも 言うことは 山辺を射して いればなりけり
仮名:てるつきを ゆみはりとしも いうことは やまべをさして いればなりけり
現代:照る月を、弓張であると、言うことは、山辺を射して、いるからなのです。


古文:と申したるを、いみじう感ぜさせたまひて、大袿たまひて、肩にうちかくるままに、
新字:と申したるを、いみじう感ぜさせ給いて、大袿給いて、肩に打ちかくるままに、
仮名:ともうしたるを、いみじうかんぜさせたまいて、おおうちきたまいて、かたにうちかくるままに、
現代:と(帝へ)申しあげたのを、(帝は)ひどくお感動なされて、大袿をお与えになり、肩に打ちかけるままに、


古文:白雲の このかたにしも おりゐるは 天つ風こそ 吹きてきぬらし
新字:白雲の この肩にしも 降りいるは 天つ風こそ 吹きてきぬらし
仮名:しらくもの このかたにしも おりいるは あまつかぜこそ ふきてきぬらし
現代:白雲が この肩にまさしく 降りているのは 天の風が 吹いたからだろう(つまり天皇が感動して、天の風が吹いたということ)


古文:いみじかりしものかな。
新字:いみじかりしものかな。
仮名:いみじかりしものかな。
現代:素晴らしいものだなあ。


古文:さばかりの者に、近う召しよせて、勅禄、たまはすべきことならねど、
新字:さばかりの者に、近く召し寄せて、勅禄、賜すべきことならねど、
仮名:さばかりのものに、ちかくめしよせて、ちょくろく、たまわすべきことならねど、
現代:その程度の者(凡河内躬恒のような下級貴族)に、近く召し寄せて、(帝が自ら)褒美を、お渡しになるべきではなかったのですが、


古文:謗りまうす人のなきも、君の重くおはしまし、
新字:謗り申うす人のなきも、君の重くおわしまし、
仮名:そしりもうすひとのなきも、きみのおもくおわしまし、
現代:悪く申しあげる人がいなかったのも、君(醍醐天皇)が重視なされて、


古文:また、躬恒が和歌の道にゆるされたるとこそ、思ひたまへしか。
新字:また、躬恒が和歌の道に許されたるとこそ、思い給えしか。
仮名:また、みつねがわかのみちにゆるされたるとこそ、おもひたまえしか。
現代:また、躬恒が和歌の道に(優れた存在である世間も)許していたからだと、思ったのですよ。


古文:かの遊女どもの、歌よみ、感たまはるは、さぞ、侍る。
新字:かの遊女どもの、歌よみ、感賜るは、さぞ、侍る。
仮名:かのあそびめどもの、うたよみ、かんたまわるは、さぞ、はべる。
現代:あの遊女たちが、歌を詠み、お感動なされることは、そのようで(下級貴族を召したように、遊女を召したようで)、ありました。


古文:院にならせたまひ、都離れたる所なればと言うにこそ、あまりにおよすけたれ。
新字:院に成らせ給い、都離れたる所なればと言うにこそ、あまりにおよすけたれ。
仮名:いんにならせたまい、みやこはなれたるところなればというにこそ、あまりにおよすけたれ。
現代:院(上皇のこと)にお成りになり、都から離れた所なのでと言うことは、あまりに大人(の判断)であったなあ。



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