土佐日記(とさにっき) 古典作品解説

土佐日記(とさにっき) 古典作品解説

土佐日記(とさにっき) 古典作品解説

土佐日記(とさにっき) 古典作品解説

土佐日記(とさにっき)は、平安時代の日記(にっき)です。作者は紀貫之(きのつらゆき)で、土佐(高知県)から京都への旅路を記録しています。土佐日記の文体は、男性文と女性文を融合し、仮名文字による国風文学への道を開きました。


【出典作品】

:土佐日記

【さくひん】

:とさにっき

【作品別名】

:土左日記

【作者編者】

:紀貫之

【さくしゃ】

:きのつらゆき

【成立時代】

:平安時代 > 延喜天暦の治

【作品形式】

:日記(にっき)・紀行文(きこうぶん)

【出典紹介】

:土佐日記(とさにっき)は、平安時代の日記(にっき)です。作者は紀貫之(きのつらゆき)で、土佐(高知県)から京都への旅路を記録しています。土佐日記の文体は、男性文と女性文を融合し、仮名文字による国風文学への道を開きました。日記に加えて、57首の和歌を配列し、歌物語の要素も持っています。

古文文法の基礎を終え、助動詞まで履修した生徒におすすめです。難易度は、中級です。日本の高校受験・大学受験でも出題されやすく、現代日本語にも多くの言葉が継承されています。


【魅力要素】

:旅行・日記・詩歌

【出題頻度】

:B


プロ家庭教師の古文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。

スポンサーさん

土佐日記 古典作品解説



【土佐日記 古典作品解説】


問:土佐日記の「男もすなる日記」とは、どういう意味ですか?
答:土佐日記は、仮名文字で執筆されました。仮名は、女性が用いるべきという常識がありました。反対に、漢字は、男性が用いるべきという常識がありました。文字について、男性と女性で区別がありました。

同様に、作品にも、男性と女性で区別がありました。日記という作品は、男性が執筆するという常識がありました。

紀貫之は、文字は女性が用いる仮名を採用し、作品は男性が用いる日記を採用しました。

紀貫之の選択は革新的でしたが、935(承平5)年の常識を踏まえると、読者が受容しやすいように「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」と、前文で注意を促したと考えられます。

読者にとっては、「普段は仮名文字を用いている女性の作者」が「あえて男性のように日記という作品に挑戦」していると考えると、理解しやすかったのでしょう。



問:土佐日記の旅行日程は、どのようなものなのですか?
答:土佐日記の旅行日程は、934(承平4)年12月21日から、935(承平5)年2月16日までの、全55日間です。

日数計算は、旧暦によります。旧暦では、12月は29日まで、01月は30日まで、それぞれ計算します。

日数計算は、新暦によると異なります。新暦によれば、12月は31日まで、01月は31日までとなり、旅行日程は全58日間となります。



問:土佐日記の旅路(たびじ)は、どのようなものなのですか?
答:土佐日記の旅路は、以下となります。

日付場所現在の地名
12月21日国司館(こくしのたち)高知県南国市比江
12月22日大津(おおつ)高知県高知市大津
12月27日浦戸(うらど)高知県高知市浦戸
12月29日大湊(おおみなと)高知県南国市前浜
01月09日宇多松原(うだのまつばら)高知県香南市岸本
01月10日奈半泊(なはり)高知県安芸郡奈半利町
01月11日羽根(はね)高知県室戸市羽根町
01月12日室津(むろづ)高知県室戸市室津
01月29日土佐泊(とさどまり)徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦
01月30日阿波水門(あわすいもん)鳴門海峡
01月30日沼島(ぬしま)兵庫県南あわじ市沼島
01月30日和泉灘(いずみなだ)(大阪府南西部)
02月01日黒崎松原(くろさきのまつばら)大阪府泉南郡岬町淡輪
02月01日箱浦(はこのうら)大阪府阪南市箱作
02月05日石津(いしづ)大阪府堺市浜寺
02月05日住吉(すみよし)大阪府大阪市住吉区
02月06日難波(なにわ)大阪府大阪市
02月08日鳥飼御牧(とりかいのみまき)大阪府摂津市鳥飼
02月09日渚院(なぎさのいん)大阪府枚方市渚元町
02月09日鵜殿(うどの)大阪府高槻市鵜殿
02月11日八幡宮(やはたのみや)石清水八幡宮
02月11日山崎(やまざき)京都府乙訓郡大山崎町
02月16日島坂(しまざか)京都府向日市上植野町御塔道
02月16日京都(きょうと)京都府京都市



問:土佐日記は、いずれの御時(おんとき)の作品なのですか?
答:土佐日記は、醍醐天皇(だいごてんのう)の御時の日記です。和暦では935(承平5)年に、成立したと考えられています。


問:土佐日記は、古今和歌集と、どのような関係にあるのですか?
答:土佐日記と古今和歌集は、どちらも紀貫之の作品です。紀貫之は、はじめに古今和歌集を編纂し、それから土佐日記を執筆しています。順番として、まず「和歌で仮名文字を習得」し、それから「仮名文字で日記に挑戦」したと考察できます。


問:土佐日記の作品分類で、紀行文とは何ですか?
答:紀行文(きこうぶん)とは、日記のうち、旅行を題材とした作品です。古来より、人間は「自分の移動経験を記録したい」という意欲を持っていました。「紀」の字は、「物事の流れ」を意味します。


似ている記事
スポンサーさん