鋼鉄の カカオ溶接 バレンタイン
鋼鉄の カカオ溶接 バレンタイン
【俳句】:鋼鉄の カカオ溶接 バレンタイン
【仮名】:こうてつの カカオようせつ バレンタイン
【英訳】:Black steel Sweet steel The valentine lab
【季語】:春
【解説】:バレンタインは、春の季語です。バレンタインの背景には、資本主義の大量生産があります。チョコレイトの個人消費を増大するために、カカオには聖バレンタインの物語が与えられました。カカオを見ると、うっかり時めいてしまうように、制度が設計されました。
赤道で採取されたカカオ豆は、日本に年間で5万トン以上輸入されています。5万トンは、5000万キロで、500億グラムです。1億人の人口で割ると、人間1人当たり500グラムのカカオを、歯で噛み砕くことになります。
カカオは工場で粉砕成型され、店先へ配送包装され、恋人が購入包装し、大事な人に開封粉砕されます。カカオは砕かれては整えられ、包まれては砕かれて、結局は砕かれていきます。人類の幸福と、カカオの受難は、私たちの胸を黒くとろけさせます。
俳句の作法の1つに、ものをよく見るという技術があります。ものをよく見ると、ものに付着した幻想・記号・物語が打ち破られ、ものそのものに近づいていけます。先入観を忘れてチョコレイトを見ていくと、私にはカカオが工場で加工を待つ鉄鋼部材に見えました。セラミクス 黒く磨いて バレンタイン という句もおまけに作りました。
鋼鉄のカカオを、時めきながら砕き尽くすのが、バレンタインです。
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