春浅し 小指で回す 鉄火巻

春浅し 小指で回す 鉄火巻

春浅し 小指で回す 鉄火巻

春浅し 小指で回す 鉄火巻

【俳句】:春浅し 小指で回す 鉄火巻
【仮名】:はるあさし こゆびでまわす てっかまき
【英訳】:Gentleman Chats with a tuna Spring fisher rod
【季語】:春
【解説】:春浅しは、春の季語です。春を筆頭に、四季には浅くなったり深くなったりする不思議さがあります。春の条件は何かと問われると、雪解けやツバメと、古人は思いたり。
数学や科学の言葉と異なり、春には厳密な定義がありません。春はさまざまな解釈を受けとめます。だからこそ、春を感じた私たちは、春を自分なりに再定義するように、誘惑されます。そのときに、春が浅いと言ってみたり、春が深いと言ってみたりします。さらには、春が濃いと言ってみたり、春が軽いと言ってみて、言葉の冒険へと、精神の散歩へと、出かけることができます。
ところで鉄火巻は、マグロの肉料理ですが、鉄火巻を見るたびに、寿司になるまでに費やされた加工調理が想像されます。鉄火巻の端正な座りかたには、上品な誘惑があります。一貫を食べても、食欲が満たされないのも、人間を焦らしているようで、素敵です。
明るくて軽くてかすかな誘惑が、春浅しです。

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