ついに見え始めた不気味なものの正体 2021年秋

コロナやインフレの影に隠れていた不気味なものの正体が、判明しつつある。市場が恐れているのは「日本化」だろう。日本化とは、１９８０年代のバブルで傷ついた日本が陥った経済のことで、西欧圏の経済学ではジャパナイゼーション(Japanization)と名付けられ、現在進行形で熱心に研究されている。

日本化の特徴として、人口動態の変化(少子高齢化)・債券の優位性・低インフレーション(あるいはデフレ)・低成長などがあるが、わかりやすく言えば「欲望の薄うすい」経済だ。人間が高い金利でお金を借りて、自分の欲望を実現していく力が失われた社会だ。

そのような日本化が、アメリカと中国の経済データに、見え隠れしている。アメリカの白人人口は、減少が始まるだろう。測定方法によって時期に変動はあるものの、減少が始まる事実は揺らがない。移民が止まれば、労働人口も確実に減少していく。そして、世界経済を牽けん引いんしてきた中国も、後に続くことは間違いない。中国は、日本化から逃れるために、一孩政策をすでに停止している。

人口減の問題は、１年や２年という単位ではなく、１０年や２０年という単位で分析すべき問題だ。コロナウイルスやサプライチェーン断裂は、１年や２年で、訪れては去っていく津波のようなものだ。その津波の影に、人口減と日本化という「もっと深い津波」が、隠れていた。表層に見えた浅い津波に惑わされていた。

コロナウイルスが果たした役割は１：ひっそりと進行していた先進国の日本化を加速したこと　２：先進国の日本化から目を反らしたこと

世界が日本に追いついて、世界全体が日本化した経済となった場合、どのようになるのか、まだわからない。その不安が、市場にアクセルを踏ませることを、躊躇ためらわせているのだろう。コロナ後の経済がどうなるのか、まだ完全にはわかっていない。

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