日経平均と枯れの魅力 2021年秋

日経平均と枯れの魅力 2021年秋

日経平均と枯れの魅力 2021年秋

日経平均と枯れの魅力 2021年秋

日経平均は、2021年08月20日に27000円で踏み留まると、菅内閣の続投断念を契機として、3週間ほど経過した09月14日に30670円に到達した(11・36%の上昇)。

その後、河野太郎の自民党総裁選での敗北を契機として、3週間ほど経過した10月06日に27528円へと下落した(11・41%の下落)。

2021年10月13日朝、28047円で始まると、衆院解散を経過して、2日後の10月15日に29000円台を突破した。

以上のような急速な価格変化には、2つの要因がありそうだ。

1つ目は、西洋圏の投資家の、未来への恐怖だ。コロナウイルスに耐え切れば、明るい未来がやってくる。そのような物語を、優れた投資家は考えていないのではないか。コロナ後の世界は、コロナ前の世界には戻らず、何らかの深刻な変化が現れ、私たちにはまだその全容が見えていない。そのような恐怖が(まだ市場へは完全に浸透していないが、端々に見え隠れしている不気味な不協和音が)、西洋圏の投資家を、日本買いへと走らせている。

日本を積極的に評価している、ということではない。日本はすでに「人口減」「イノベーション力の後退」「大学の研究力の下落」「年金・医療・介護にほとんどの資源を奪われている」などの、明らかな弱体化を露呈している。

しかし、市場の評価というのは、相対評価だ。「人口減」は他国もこれから突入するし、「イノベーション」がうまく進んでいる地域は限定されている。「年金・医療・介護への資源」は、あらゆる先進国で増大の一途を辿るだろう。そうなると「私たちも日本のようになるかもしれない」。あらゆる国家が日本化(Japanization ジャパナイゼーションという名前で西洋圏の経済学では研究)するかもしれない。他国がアリ地獄から必死で逃げようとしているときに、日本はアリ地獄の底で待っている。

そのような世界観に立てば、日本は「没落の度合が予想しやすい国家」となる。他国は、まだ没落が始まっていないので「どれくらい没落するかわからない国家」となる。リスクという観点で、日本は相対的な強さを持っている。

2つ目は、アジア圏の投資家の、不安定になったアジア大陸から島国への避難だ。経済成長を牽引していたデジタル産業に、規制強化が始まり、今後も長期的なイノベーションが起きるとは、考えにくくなっている。デジタル化した国家を正しく運営するためには、これまで考えられなかった水準にまで、規制を強化しなければいけなくなる。新しい技術が、新しい制度変更を生む。対して、日本は新しいことに挑戦できない分だけ、新しい制度変更も起こりえない。つまり、制度の予測可能性が、ある。

以上をまとめると、日本は「守備力の高い国家」として評価され、「没落の先頭を走っているので、これ以上は没落できない(没落加減が予想できる)国家」として、「最悪の中の最強」になった。日本は成長していない。だから成長が止まることもない。日本はダメに成らない。もうダメに成り切っているから。日本は枯れない。なぜなら枯れ切っているから。このような逆説によって、2021年後半の日経平均は、美しい秋空に向かって、急浮上するだろう。

共有です。クリックでシェアできますよ。


目次です。クリックで移動できますよ。
スポンサーさん
似ている記事
スポンサーさん