【経営学 企業分析 自己資本比率】
Q:経営学で、自己資本比率はどのようなことがわかる指標なのですか?
A:自己資本比率は「企業の体力」とも呼ばれ、企業の安全性の目安となります。
経営者にとって
自己資本比率の高い企業は、経営が健全と判断され、さらなる経営拡大を目指して、融資・補助金も受けやすくなります。
自己資本比率の低い企業は、経営が不安定と判断されます。倒産する企業は、共通して自己資本比率が低い傾向にあります。
労働者にとって
自己資本比率が高い企業は、積極的に労働者を雇用し、さまざまな新規事業に挑戦できる可能性が高いです。
自己資本比率が低い企業は、制度改革や事業縮小が行われ、業務が不安定になる可能性が高いです。
Q:経営学で、自己資本比率の平均はどれくらいなのですか?
A:自己資本比率の平均値は、中小企業の全体で40%前後ですが、業界ごとに差はあります。
自己資本が70%以上の企業は、優良企業で、ほぼ無借金経営です。自己資本比率の高い優良企業には以下があります。
【データ 自己資本比率の高い日本企業】
企業名 | 業界 | 自己資本比率 |
---|
ツツミ | 宝飾販売 | 97.9% |
キーエンス | 機械販売 | 95.8% |
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2020(令和02)年実績 |
Q:経営学で、自己資本比率は産業業界によって異なるのですか?
A:自己資本比率は、業界ごとに異なります。以下が業界ごとの自己資本比率です。
【データ 業界ごとの自己資本比率】
業界別 自己資本比率 | % |
---|
出版業 | 76.5 |
鉱業 | 69 |
生産用機械 | 57.8 |
ウェブサービス | 56.5 |
業務用機械製造 | 56.2 |
化学工業 | 55.7 |
衣服品卸売 | 55.4 |
窯業 | 54.1 |
新聞業 | 53.5 |
繊維製造 | 53.3 |
製造業全体 | 51.4 |
情報通信全体 | 50.7 |
食料品製造 | 48.9 |
ガス業 | 48.3 |
ソフトウェア | 47.8 |
衣服小売 | 46.5 |
飲食サービス業 | 45.3 |
飲食料品小売 | 45.1 |
鉄鋼業 | 43.7 |
繊維品卸売 | 43.5 |
学術研究 | 43.3 |
自動車卸売 | 42.8 |
小売業全体 | 42.8 |
非鉄金属 | 41.2 |
医薬品卸売 | 41.2 |
農林水産卸売 | 41.1 |
燃料小売 | 40.6 |
卸売業全体 | 38.3 |
娯楽業 | 37.9 |
自動車小売 | 30.5 |
石油製造 | 26.7 |
電気業 | 20.6 |
物品賃貸業 | 13.1 |
金融業 | 10.1 |
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2018(平成30)年実績 |
Q:経営学で、自己資本比率は、どうして金融業界が低いのですか?
A:金融業界は、預金者からの預金である他人資本が多いので、自己資本比率は低くなります。特に銀行は、経済活動への影響の大きさから、倒産予防として自己資本比率に規制あります。
Q:経営学で、自己資本比率のBIS規制とは何ですか?
A:BIS規制(ビーアイエスきせい)は、銀行の自己資本比率の規制です。
2020年の銀行業界において、最高の自己資本比率は、セブン銀行の21.1%でした。
Q:経営学で、企業の体力を知りたい場合は、自己資本以外に、どのような概念があるのですか?
A:企業の体力を知るためには、
株主資本(かぶぬししほん)・
自己資本(じこしほん)・
純資産(じゅんしさん)という似た概念があります。細かな計算式は異なりますが、いずれも企業の体力を示しています。
Q:経営学で、資本のデットエクイティスワップとは何ですか?
A:デットエクイティスワップ(Debt Equity Swap)とは、負債と資本を交換することで、資本戦略の1つです。債権者は、企業への債権を放棄する代わりに、株式を取得します。企業は、返済すべき債務がなくなり、自己資本が強化されます。
Q:経営学で、債務超過とは何ですか?
A:債務超過(さいむちょうか Insolvency)とは、自己資本の計算結果が、マイナスになった状態です。企業経営が失敗して、借金で倒産します。
債務超過の状態が1年以上続くと、
上場廃止の手続きが取られることが多いです。
【参考文献】
中小企業実態基本調査
企業活動基本調査
質問と回答