インターネットを通じた販売促進活動(プロモーション)について、歴史的変化を踏まえながら、基礎用語を概説していきます。なお、インターネットと「ウェブ」は、厳密には異なる用語ですが、本資料では「インターネット」も「ウェブ」も、一貫して「ウェブ」という呼称で統一していきます。
【1990年代 見栄のウェブ】
ウェブを通じた販売促進活動は、1990年代まで遡ります。
1990年代、大多数の企業は、ウェブサイトを外注し、自社のブランドイメージ向上のために活用していました。
この時代の特徴は「ウェブサイトはあくまで見栄」という点です。
ウェブサイトが消費者へ、実質的な機能として、価値を提供しているわけではありませんでした。会議や宴席で「うちの会社にウェブサイトができたんだ」と自慢するのが中心の役割でした。消費者も「ホームページを開設しているのだからおそらくはちゃんとした企業なのだろう」という印象を持つだけでした。
【2000年初頭 過去問データベース】
2000年代初頭になると、消費者へ、実質的な機能を提供するウェブサイトが、現れてきます。
有名なものは、四谷大塚(現在は買収され東進グループ傘下)の「中学受験過去問データベース」と「ウェブ成績帳票」です。
「中学受験過去問データベース」とは、四谷大塚が、もともとは紙で作成していた過去問題集を、ウェブサイトを通じてダウンロードできるようにしたサービスです。現在まで継続して提供されています。
「ウェブ成績帳票」とは、四谷大塚の試験を受けると、その生徒の成績が、ウェブでいつでも閲覧できるサービスです。消費者の利便性が向上した一方で、企業は紙の印刷の経費削減にもなりました。
【2000年代後半 ウェブのランキング化】
2000年代後半になると、グーグルの登場によって、ウェブサイトがランキングされていきました。
グーグル検索(Google Search)で上位にランキングされれば、消費者への広告効果は大きく、企業への問合件数が増大していくことから、ウェブサイト同士の競争が始まりました。それまでは「ただウェブサイトがあればいい」という状態でしたが、そこから「上位表示されるウェブサイト」が求められるようになりました。
その結果、ウェブサイトは洗練されていきました。文章の品質は上がり、サイトデザインにも投資が行われるようになりました。
【2010年代初頭 モバイルファースト】
2010年代になると、スマートフォンが登場します。スマートフォンは、消費者の情報環境を劇的に変化させました。
スマートフォン以前は、各家庭にデスクトップ(据え置きのパソコンのことです)か、あるいはノートパソコンが、常備されていました。ウェブサイトの閲覧は、デスクトップかノートパソコンからが主流でした。このような情報環境は「PCファースト(PC-First)」という用語で呼ばれています。
スマートフォン以降は、スマートフォンでしかウェブサイトを閲覧しない消費者が増えていきました。(子育て専業主婦世帯では、そもそもパソコンを購入しない層も存在します)
グーグルの2019年調査では、ウェブサイトの閲覧は、スマートフォンからが70%以上になっています。このような情報環境は「モバイルファースト(Mobole-First)」という用語で呼ばれています。
モバイルファーストの影響により、ウェブサイトの制作方法も変化しました。PCファーストの時代は「横長・2画面分割」が主流でしたが、モバイルファーストの時代は「縦長・1画面」が必須となっています。
【2020年代 ウェブサービスの高度化】
ウェブサイトを広告で利用する時代は終わり、ウェブサイトを通じてさまざまなサービスを提供すること、いわゆる「ウェブサイトからウェブサービスへ」という流れがあります。
成功しているウェブサービスを、いくつか紹介します。
プロメディカス データベースの充実で地方からの検索需要の取り込み
https://www.promedicus.co.jp/data_room/
城南予備校 早期から早慶過去問のWeb解説をして検索1位 売上も株価もウナギ登り
https://www.johnan.jp/soukei/sp/2015.html
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