昔者荘周夢為胡蝶栩栩然胡蝶也 古典解説

昔者荘周夢為胡蝶栩栩然胡蝶也 古典解説

昔者荘周夢為胡蝶栩栩然胡蝶也 古典解説

昔者荘周夢為胡蝶栩栩然胡蝶也 古典解説


白文:
昔者荘周, 

夢為胡蝶, 栩栩然胡蝶也。

自喻適志与, 不知周也。

俄然覚, 則蘧蘧然周也。

不知, 

周之夢為胡蝶与, 

胡蝶之夢為周与, 

周与胡蝶, 則必有分矣。

此之謂物化。




日文:

昔、荘周は

夢で胡蝶へ変身して、かろやかな美しい胡蝶だった。

自由に楽しみ心の思うままで、(自分が)荘周であることを知らなかった。

にわかに目が覚めると、すなわち、驚くくらい(自分は胡蝶ではなく)荘周である。

わからない

荘周の夢で胡蝶になったのか

胡蝶の夢で荘周になったのか

荘周と胡蝶は、確かに、必ず(荘周と胡蝶は)区別があるのだ。

これの(現象を)物化という。





出典作品:そう / 庄子 zhuāng zǐ

出典別名:道家どうかぶん

作者編者:そうそうしゅう / 庄子 zhuāng zǐ

成立時代:春秋戦国時代

作品形式:散文

作品解説:荘子は、自然の生命力を大事にする無為むいぜん思想の文章です。作品名と作者名は、同一です。

荘子は、老子ろうしと合わせて、老荘ろうそうそうと呼ばれ、どうの源流です。

荘子の背景には、春秋戦国時代の戦乱があり、人間のありのままの自然体の姿を大事にする、思想探究の気運が高まりました。

世界史の知識として、春秋戦国時代を理解しておくと、読みやすくなります。

魅力要素:無為自然・自然体・生命力

出題頻度:





プロ家庭教師漢文教材で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。


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昔者荘周夢為胡蝶 書き下し文解説

昔者荘周夢為胡蝶 書き下し文解説

昔者荘周夢為胡蝶 書き下し文解説



【昔者荘周夢為胡蝶 書き下し文解説】


訓読:

$\Large昔 者 荘 周$


書下:

昔者むかし荘周そうしゅう


日文:

昔、荘周は

解説:
「昔者」は、熟語で「過去の時間」を意味します。

「荘周」は、荘子の字名です。字名とは、社会人としての名前です。字名は、東洋文化の慣習ですので、漢文を読むための知識として押さえておきましょう。



訓読:

$\Large夢 為\textcolor{YellowGreen}{_二}胡 蝶\textcolor{YellowGreen}{_一}$


書下:

ゆめ胡蝶こちょう


日文:

夢で、胡蝶へ変身していた。

解説:

「為」は、「する」という意味に加えて、「変身する」も意味します。ここでは、荘周が夢の中で、「胡蝶に変身する」を意味します。



訓読:

$\Large栩 栩 然 胡 蝶 也$


書下:

栩栩くくぜんとして胡蝶なり。


日文:

かろやかな美しい、胡蝶だった。

解説:

「栩栩然」は、「軽やかな美しさ」という意味です。

」は、多くの意味を持つ漢字です。ここでは「なり」という断定だんていの終助詞へ、解釈しています。



訓読:

$\Large自 喻 適\textcolor{YellowGreen}{_レ}志 与$


書下:

みずかたのしみてこころかなえるや。


日文:

自由に楽しみ心の思うままなのだ。

解説:

「喻」は、「楽しむ」という意味です。

「志」は、「意志」という意味です。

」は、多くの意味を持つ漢字です。ここでは「や」という詠嘆えいたんの終助詞へ、解釈しています。



訓読:

$\Large不\textcolor{YellowGreen}{_レ}知 周 也$


書下:

周たるを知らざるなり。


日文:

(自分が)荘周であることを、知らなかった。

解説:

「不」は、否定の副詞です。否定の副詞は、漢字ではなく、仮名で訳します。



訓読:

$\Large俄 然 覚$


書下:

ぜんめれば


日文:

にわかに目が覚めると

解説:

「俄」は、「わずかな時間」という意味です。



訓読:

$\Large則 蘧 蘧 然 周 也$


書下:

すなわ蘧蘧然きょきょぜんと周なり。


日文:

すなわち、驚くくらい(自分は胡蝶ではなく)荘周である。

解説:

」は、接続詞です。

「蘧」は、「おどろいてぞっとする」という意味です。日本語の擬音語「ぎょぎょ」や「きょろきょろ」へ、継承されています。



訓読:

$\Large不\textcolor{YellowGreen}{_レ}知$


書下:

知らず。


日文:

わからない。

解説:




訓読:

$\Large周 之 夢 為\textcolor{YellowGreen}{_二}胡 蝶\textcolor{YellowGreen}{_一}与$


書下:

周の夢に胡蝶とるか


日文:

荘周の夢で胡蝶になったのか

解説:




訓読:

$\Large胡 蝶 之 夢 為\textcolor{YellowGreen}{_レ}周 与$


書下:

胡蝶の夢に周とるか


日文:

胡蝶の夢で荘周になったのか

解説:




訓読:

$\Large周 与 胡 蝶$


書下:

周と胡蝶は


日文:

荘周と胡蝶は

解説:

」は、多くの意味を持つ漢字です。ここでは「と」という並列へいれつの接続詞へ、解釈しています。



訓読:

$\Large則 必 有\textcolor{YellowGreen}{_レ}分 矣$


書下:

則ち必ずわかち有るかな。


日文:

確かに、必ず(荘周と胡蝶は)区別があるのだ。

解説:

」は、終助詞です。ここでは断定の意味に解釈しています。



訓読:

$\Large此 之 謂\textcolor{YellowGreen}{_二}物 化\textcolor{YellowGreen}{_一}$


書下:

これの物化ぶっかう。


日文:

これの(現象を)物化という。

解説:

「此」は、指示代名詞で、「この」と日本語訳します。

」は、属性を意味します。ここでは日本語の助詞「の」に解釈しています。


この文章は、荘子斉物論内篇第二のうち、第三十六章にあります。

荘子は、ありのままの自然の人間像を説く書物で、この章は、人間の夢と現実の感覚について、述べていると考えられます。

人間が体験する夢と現実には、どのような差があるのだろうか、げん性へさそう文章となっています。

この文章は「胡蝶の夢」と呼ばれ、日本語の俳句作家である松尾芭蕉へ、影響を与えています。



昔者荘周夢為胡蝶 原文



【昔者荘周夢為胡蝶 原文】


繁体

昔者莊周夢爲胡蝶, 栩栩然胡蝶也。

自喻適志與, 不知周也。

俄然覺, 則蘧蘧然周也。

不知周之夢爲胡蝶與, 

胡蝶之夢爲周與, 

周與胡蝶, 則必有分矣。

此之謂物化。



簡体

昔者庄周梦爲胡蝶, 栩栩然胡蝶也。

自喻适志与, 不知周也。

俄然觉, 则蘧蘧然周也。

不知周之梦爲胡蝶, 

胡蝶之梦爲周, 

周与胡蝶, 则必有分矣。

此之谓物化。


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