【AO入試とは 定義】
AO入試(えーおーにゅうし)とは、2019年まで実施されていた入試です。日本の教育法令において、3つの大学受験制度(一般入試・学校推薦入試・AO入試)の1つに位置付けられていました。AO入試は、2020年度以降は「総合型選抜」へと名称が変更されます。
AO入試とは 大学受験用語
【AO入試とは 特徴】
AO入試の特徴は、学力試験を実施せず、受験生のポートフォリオ(志願書・調査書・活動履歴・受賞歴・研究論文・写真動画)によって、受験生の合否を判定します。
ポートフォリオ(portforio)とは、英語で「船に積んだ荷物」を意味します。受験生を船に見立てて、ここまでの航海で(人生で)何を獲得してきたかを報告する書類です。
【AO入試 名称いろいろでわかりにくい】
AO入試の名称は、実施主体(国立大学か私立大学か)により、さまざまに用いられ、名称が乱立していました。
例えば以下のような名称は、実質的にAO入試でした。
大学学部 | 名称 |
---|
青山学院地球社会共生学部 | 自己推薦入試 |
青山学院文学部 | 自己推薦入試 |
慶応大学法学部 | FIT入試 |
慶応大学総合政策学部 | AO入試 |
環境情報学部 | AO入試 |
早稲田政治経済学部 | グローバル入試 |
早稲田国際教養学部 | AO入試 |
早稲田人間科学部 | 公募推薦入試 |
早稲田先進理工学部 | 特別選抜入試 |
東京大学 | 推薦入試 |
京都大学 | 特色入試 |
たくさんの名称がありますが、AO入試=学力試験なし+自己推薦ということを押さえておきましょう。
【AO入試は2020年から総合型選抜へ】
AO入試は、2020年度以降は総合型選抜へと名称が統一されます。
年度 | 名称 |
---|
2019年まで | AO入試(不統一) |
2020年から | 総合型選抜(統一) |
【2020年から学力試験が義務に】
2019年までのAO入試は、合否判定が不透明で、基礎学力のない大学生も入学させているとの批判がありました。特に、定員割れを起こしている大学は、書類さえ書けば合格できる状況で、Fランク大学と呼ばれるようになりました。2020年以降は、合否判定には学力試験(共通テスト)が義務化されました。
大学設置基準と日本の大学数
【AO入試の原型】
日本のAO入試の原型は、アメリカのAO入試です。アメリカのAO入試は、試験得点に加えて、高校評定・課外活動まで含めた選考制度です。
アメリカのAO入試は、一時期は優れた入試制度と考えられていましたが、2019年に
全米大学不正事件(バーシティブルー事件)が起きました。事件の特徴として、生徒の試験得点だけではなく、高校評定や課外活動までもが、不正に報告されていました。アメリカのAO入試は見直しが検討されています。
【AO入試と一般入試の違い】
AO入試と一般入試の違いは、学力試験の有無です。一般入試は、受験生が一斉に学力試験を受け、試験結果の得点で、合否が判断されます。対して、AO入試には、学力試験が課されませんでした。書類と面接のみで合格できました。しかし2020年以降は「総合型選抜」と名称が変更され、学力試験が必須となります。
【AO入試と学校推薦入試の違い】
AO入試と学校推薦入試の違いは、誰が推薦するかです。
学校推薦入試は、推薦者は学校です。学校の調査書が優良な生徒が、学校推薦を受けられます。原則として高校生活全体の評定により、合否が判断されます。
対してAO入試は、推薦者が受験生本人です。AO入試の別名が「自己推薦」や「公募推薦」とされているのは「学校推薦」と区別するためです。
【AO入試の時期】
AO入試は出願時期がもっとも早く、例年8月から出願が始まり、10月には合否結果が通知されていました。
種類 | 出願時期 | 合否判定 |
---|
AO入試 | 8月以降 | 11月以降 |
学校推薦入試 | 10月以降 | |
一般入試 | 1月以降 | 2月以降 |
2020年以降は「AO入試」は「総合型選抜」と名称変更され、9月以降から出願できるようになります。
【2020年以降の出願時期】
種類 | 出願時期 | 合否判定 |
---|
総合型選抜 | 9月以降 | 11月以降 |
学校推薦型選抜 | 10月以降 | |
一般選抜 | 1月以降 | 2月以降 |
AO入試でも総合型選抜でも「夏休みまでに志願書を完成させる」ことが求められます。
【AO入試 向いている生徒】
AO入試に向いている生徒は「進路が明確な生徒」と「学力に自信のない生徒」です。
進路が明確な生徒は、子供の頃から好きなことを継続していて、志望大学でも同じことを学びたい生徒です。例えば「スポーツを長年続けている生徒」「音楽やイラストやダンスを長年続けている生徒」「科学研究を長年続けている生徒」「すでに大会やコンテストで実績のある生徒」などが当てはまります。
進路が明確な生徒は、志願書に書けることが多いので、AO入試では有利になります。大会入賞や発表作品の記録があれば、さらに有利になります。
学力に自信のない生徒も、AO入試に向いています。
一般試験では、1回の試験得点だけで合否が判断されますので、学力に自信がないと、どうしてもあきらめなければいけない志望校が出てきます。ですがAO入試であれば学力以外で勝負できますので、志望校対策をすれば、合格の可能性があります。
学力に自信のない生徒は、高校生活全体が評価されると考えて、志願書に書けて、人に誇れるものを見つけましょう。「生徒会」「各委員会活動」「海外留学」「ボランティア」「地域活動」「リーダーシップ」などが証明できれば、AO入試で有利になります。
【AO入試 合格までの流れ】
課題 | 時期 |
---|
志願書の準備 | 高校1年から高校3年 |
志願書の作成 | 高校3年春夏 |
実技の準備 | 高校3年夏 |
実技試験 | 高校3年秋 |
合格発表 | 高校3年冬前 |
【AO入試 志願書の準備 高1から高3】
AO入試の準備は、早ければ早いほど良いです。AO入試は学生生活全体が評価されるために、高校3年生から準備するのではなく、高校1年生から準備を始めましょう。
志願書にどのようなことを書きたいのか、あらかじめ理解しながら、学生生活を送りましょう。
志願書には学校評定も記載されますが、これは高校3年間全体の評価です。高校1年生の成績も影響しますので、注意しましょう。
【AO入試 志願書の作成 高3春夏】
高校3年生の春になったら、志望大学から志願書を取り寄せて、志願書作成を始めましょう。
AO入試の志願書に書くべきこと(自分の過去)
1:学校で取り組んだ課題研究
2:部活動
3:ボランティア活動
4:生徒会活動
5:資格検定
6:大会コンクール実績
7:留学海外経験
AO入試の志願書に書くべきこと(自分の現在)
8:大学分析(自分が感じる魅力)
9:入学希望理由
10:学びたい内容
11:学修計画書
AO入試の志願書に書くべきこと(自分の未来)
12:卒業後の目標
13:就職・資格取得・企業
【AO入試 実技試験 高校3年秋】
AO入試では、実技試験が実施されます。内容は「面接」か「プレゼンテーション」が多数派です。
面接は、受験生1人に対して、数人の面接官が質問します。質問の内容は、出願書類と関係したものが中心です。
プレゼンテーションは、試験時間が与えられ(15分から30分)、自分の作成した資料にもとづいて、面接官に向けて、発表します。プレゼンテーションの内容は、事前に作成した出願書類と関係したもの選びます。
【AO入試 合格発表 高校3年冬前】
各大学は11月までにAO入試の結果を、受験生に通知します。
合格であれば、志望校へ進学します。不合格であっても、一般選抜が残っていますので、勉強を継続しましょう。
【参考文献】
教育制度 大学受験 用語集
教育制度 大学受験 用語集 大学設置基準と日本の大学数
教育制度 大学受験 用語集 全米大学不正(バーシティブルー)2019検察全訳
統計データ 文部科学省
The US Department of Education
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