スタグフレーション日記2021--2022

スタグフレーション日記2021--2022

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スタグフレーション日記2021--2022

スタグフレーションの展開 Development of stagflation

時間空間事件
2023-0301東急電鉄運賃の値上(平均10.0%)
2022-0401リクシル家庭設備の主力製品を値上(平均10.0%)
2022-0302原油原油価格が100ドルを超える
2022-0214金融政策FRB(米国中央銀行)が緊急会議を開催
2022-0201東京電力電気料金モデルが前年比で25.87%
2022-01xx日本政府原発エネルギーの推進
2022-01xx日本政府貯金税・資産課税の議論開始
2022-0107米国労働参加率が回復せずに61.9%
2021-1231トルコ自国通貨リラの価値が11年で6分の1へ
2021-1223松屋牛丼350円から400円へ値上(14.28%)
2021-1221マックマックフライポテトをSサイズに制限
2021-1109パン屋創業48年ベーカリーベルベ倒産し社長失踪
2021-1029吉野家牛丼387円から426円へ値上(10.0%)
2022-04 リクシル(LIXIL)の値上率まとめ
製品値上率
住宅用サッシ10--12%
窓回り商品8--15%
玄関ドア引戸8--12%
壁材10%
庭材10%
床材+1,000円/坪
造作材7%
フロント商品10%
ビル商品10%
トイレ2--33%
水栓金具平均11%
ユニットバスルーム4--39%
浴室4--39%
キッチン2--11%
洗面化粧台2--7%
2023-0301 東急電鉄の値上から見えてくること:
東急電鉄の運賃値上は、原材料価格との関連性が弱い。東急電鉄の主張する値上理由は、乗客数の減少だ。乗客数が減少する中で、売上を維持するためには、乗客単価を上げなければならない。東急電鉄の値上理由が、以下のリクシルや吉野家とは、異なっていることに、注意したい。東急電鉄の値上は、原材料価格の上昇というよりは、むしろ、リモートワークの導入によって、消費者の生活習慣が変化したことに起因している。

生活習慣の変化は、非可逆的であることが多い。つまり、東急電鉄を始めとした交通運賃は、今後は下がらずに、むしろ上がり続けると、予想できる。

2022-0401 リクシルと吉野家の比較から見えてくること:
1つ目は、原材料価格が市場を先導することだ。2022年春までは、原材料によるコストプッシュインフレが市場を先導する。リクシルと吉野家は、顧客の社会階層が異なるが、値上率が平均10%と近似している。リクシルは資本財を提供し、20代以降の中所得の社会人が顧客である。対して、吉野家は消費財を提供し、10代以降の低所得の学生も顧客に含んでいる。顧客の社会属性を貫通して、言い換えれば、需要側の社会属性を貫通して、インフレーションは進行していく。

2つ目は、同期値上だ。単独企業が値上に動くのではなく、複数企業が、金額も時期も同期して、値上に動く。アベノミクスのデフレに慣らされた消費者心理を背景に、企業単独での値上は、注目を集めてしまう。不必要に目立つのは、マーケティングとして悪手なので、避けたい。このような傾向から、今後も企業は同期値上という戦略を用いると予想する。

2022-0302 原油価格が100ドルを超える:
3月入りとともに、原油価格が、100ドルを超えた。背景には、スタグフレーションに加えて、ロシアのウクライナ侵攻が重なったことがある。

一般に、ただ「原油価格」と言えば、ウエストテキサス原油(West Texas Intermediate Crude Oil)を意味する。すわなち「原油の価格が100ドルを超えた」という文章は、「ウエストテキサス原油の価格が100ドルを超えた」という意味になる。

原油は生産地ごとに、化学的な品質に差があり、ドバイ原油・ブレント原油・ウエストテキサス原油・ウラル原油など、商品名が付けられ、区別されている。しかし、原油は世界市場全体で取引される消費財なので、価格には同調傾向がある。すなわち、ドバイ原油が値上りすれば、ブレント原油も値上りする。同様に、ドバイ原油が値下がりすれば、ブレント原油も値下がりする。

アジア向け原油(日本・韓国・中国が購入する原油)にとっては、ドバイ原油価格が重要だが、ドバイ原油価格はウエストテキサス原油価格にほぼ比例して動く。

原油価格が上昇すると、火力発電による電気価格が上昇する。そこから、電気を大量消費する生産財へと、価格が波及していく。具体的には、アルミニウムや肥料などが、電気価格の影響を受ける。原油価格が上昇してから、末端消費者へ波及するまでには、3カ月から6カ月の時差がある。2022年の夏は、令和飢饉を予想する。

ちなみに、江戸時代の天保飢饉(てんぽうききん)は、1833年(天保四年)に始まり、数年間は継続したという記録がある。餓死者が出て、百姓一揆や打ちこわしが起きた。

2022-0214 FRB(米国中央銀行)が緊急会議を開催:
FRB(Federal Reserve Board 米国の実質的な中央銀行=日本銀行に相当)が、02月14日に緊急会議を招集する。定期会議以外の開催は、数年ぶりで、従来は03月15日に予定していた会議の前倒しとなる。
02月11日に、発表された年間インフレ率は7.5パーセントとなり、38年ぶりの高い数字となった。失策に対する政治圧力が高まり、政策担当者に焦りが生まれている。

2022-0201 電気料金の値上から見えてくること:
2022年の電気料金の値上理由は、主に2つある。1つ目は、資源価格の上昇だ。2つ目は、円安の進行だ。日本は資源輸入国なので、日本政府が円安を是正しない場合は、円建ての資源価格はさらに上昇していく。

2022-01xx 原発エネルギーの推進:
日本政府は、原発エネルギーを推進するために、協力した自治体への補助金制度を推進する。背景には、スタグフレーションによる、電気料金の急騰がある。一般家庭の財政体力が痛めつけられた時期で、世論の賛同を得やすくなっている。

原発反対派の理想を、経済産業省の補助金で誘惑していく。原発反対派は、贅沢な個人消費に慣らされた都会の富裕層の子弟が中心なので、オシャレに着飾って、毎日ワクワク楽しく生活さえできれば、少数派の犠牲に沈黙し、たやすく操作されると予想する。

原発推進派の躍進は、これから始まる資源価格高騰と日本経済没落に対処するためには、必然的な流れだろう。行動経済学によれば、人間は「何かを手に入れる喜び」よりも「何かを失う痛み」に、恐怖を覚えるという。

科学技術の点では、原子力発電のうち、ウランを再利用するプルサーマル発電は、資源効率が良いことがわかっている。日本以外に、原子力大国であるフランスでも研究が進んでいる。

2022-01xx 貯金税・資産課税の議論開始:
2022年の開始とともに、日本政府は貯金税の議論を開始した。貯金税とは、資産課税の1種で、銀行預金に課税する。例えば、銀行預金1000万円につき、毎年2%の20万円を、課税する。なお、タンス預金を封じこめるために、新札発行を同時に実施する場合が多い。2024年に発行予定の新札は、1万円札の肖像として、日本の資本主義の父、渋沢栄一を採用している。資産課税は、収入税(所得税・事業税)とは異なり、金融資産を豊富に所有する「お金持ちの老人」を対象とするので、平等な課税手段と考えられている。

新札発行+マイナンバー制度+保険証連携により、60代老人の金融資産1000兆円を確実に収穫しにいくだろう。若者への搾取が逆転し、老人から老人への搾取へ、ゲームチェンジャー。不動産は、固定資産税がどうなるかわからないので、中立。

2022-0107 労働参加率が回復せずに61.9%:
米国の労働参加率は61.9%となり、コロナ発生前の水準を1.5%下回ったままで、回復の見込は薄い。米国ではコロナ禍を通じて、労働人口が200万人から400万人ほど、減少している。コロナ禍の本質は「健康問題」ではなく「人口問題」で、結果として、働かない老人が増大し、年率4.7%の賃金インフレが発生した。労働人口の減少により、より希少な労働力を奪い合う状況が、顕在化してきている。もっとも、米国は優れた移民制度の伝統があるので、他国よりも人口問題へ柔軟に対応できる。希少となった労働力を回復させようと、世界各国が労働政策を転換すれば、若い世代に魅力のない国地域は、「見捨てられた村」のように急速に労働力が減少していく。日本は労働力の流出国となる見込みだ。

2021-1231 トルコ自国通貨リラの価値が11年で6分の1へ:
トルコの自国通貨リラ(Lira)が、2010年に1リラ=60円から、2021年に1リラ=10円以下になった。11年間で自国通貨の価値が6分の1以下になった。

2021-冬至 日本市場短観
旅行代理店 → ダウングレード 旅行代理店の提供してきた価値は、ソフトウェアエンジニア達が奪っていく。ただし、旅行代理店と航空業界(アビエーション)は、分けて考える必要がある。航空業界は整理統合の後、力強く復活できる。1つ1つの企業分析がていねいにできれば、初学者でも挑戦していい。投資入門には最適かも。

首都圏不動産 → 中立 発表されている物件価格データには、不可解な部分がいくつもある。

銀行(住宅ローン事業に強い) → アップグレード 現在進行しているスタグレフレーションは、一時的なものではなく、もっと本質的な構造変化が見え隠れしている。ローン変動金利の上昇によって、優良銀行には収益性の向上が見込まれる。

2021-1223 松屋と吉野家の比較から見えてくること:
松屋と吉野家は、同じ業種で、値上げは業界全体で起きている。原材料価格の牛肉の高騰に加えて、輸送費・包装費・燃料費などの供給要素価格が上昇している。

2021-1221 マックフライポテトのSサイズ制限から見えてくること:
日本マクドナルド株式会社が北米から輸入しているポテトについては、船便だけではなく、航空便も物流に活用していたが、日本のクリスマスセールへの仕入が間に合わなかった。輸送費用だけではなく、輸送手段そのものが逼迫しており、供給網の混乱(サプライチェーンの混乱)が継続していることがわかる。

続報として、2022年01月11日にハッシュポテトの販売停止も表明した。もっとも、マックポテトとハッシュポテトの原材料はジャガイモで、共通しているので、問題の本質は変化せず、むしろ継続していると考えられる。

2021-1109 パン屋さんの倒産から見えてくること:
ベルべのようなパン屋さんの原材料は、主に小麦だ。小麦は国内自給率が低く、輸入価格に影響を受けやすい。2021年に急速に進んだ穀物価格上昇と円安進行によって、資金繰りが悪化した。ベルべの社長は失踪し、従業員給与・取引先代金・銀行借入金などは、未払のままだ。ベルベは1973年創業、創業48周年だった。

貨幣の基礎知識:
年月主体事件
1921ワイマール共和国ハイパーインフレーション
1929アメリカ大恐慌
1944IMF設立
1971ニクソンショックドル金兌換の中止
1973OPEC石油危機
1981ポールボルカー利子率を20%に引き上げ
1985プラザ合意為替へ協調介入
1995WTO設立
1997アジア通貨危機
1999欧州通貨ユーロ発足
2007ベアスターンズ金融危機の引金を引く
2008ナカモトサトシビットコインを発明
2020中国デジタル人民元
2021ビットコイン1BTC=700万円に到達

用語スタグフレーション 
英語Stagflation 
別名:スタフレ スタグレ
教材:
解説:スタグフレーションとは、スタグネイト(Stagnate 停滞する)インフレーション(Inflation 膨張する)の合成語で、経済用語では「不況下における価格上昇」を意味します。わかりやすく言えば、スタグフレーションは「企業倒産が増えて、失業者が増えているのに、物の価格が上がっていく」ことです。スタグフレーションは避けるべきものと考えられています。最も有名なスタグフレーションの事例は、1973年の石油危機(Oil crisis)です。2020年のコロナ危機の後、スタグフレーションが発生しました。スタグフレーションを理解するためには、物と貨幣の関係に注目します。

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スタグレーション2021--2022 探究資料

科目別 Subject

社会  中学受験カリキュラム

社会  高校受験カリキュラム

社会  政治経済  大学受験カリキュラム

単元別 Section

社会  日本地理

社会  世界地理

社会  公民公共  政治経済

対象別 Curriculum

中学受験生(小学4年+小学5年+小学6年)
高校受験生(中学1年+中学2年+中学3年)
大学受験生(国公立高校生+私立中高一貫校生)
大学生+社会人(基礎からやり直したい生徒)

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