共通テスト 2021年大問3 傾向対策解答解説

共通テスト 2021年大問3 傾向対策解答解説

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大学入学共通テスト2021年大問3 栄花物語 問題ダウンロード

大学入学共通テスト2021年大問3 栄花物語 解答ダウンロード





試験:大学入学共通テスト(だいがくにゅうがくきょうつうてすと)
科目:国語 > 古典古文
通称:共通の古典古文
試験日程:2021年01月16日(実施1日目)
試験会場:指定の教育機関(生徒により異なります)
試験機関:独立行政法人大学入試センター
受験者数:53万+人
検定料金:受験者1人当たり18000円(2教科以下の受験者は割引有)
検定収入:99億1843万8千円(共通テスト全科目合計 2020年実績)

試験配点:古文50点 / 国語全体(現代文+古文+漢文)200点
試験時間:15分(古典古文目安) / 80分(国語試験全体)
試験年度:2021年(2020年度以前はセンター試験と呼ばれており、試験構成は共通テストへそのまま踏襲されています)


大問:大問3
形式:語彙文法+文章理解+詩歌鑑賞
作品:栄花物語(えいがものがたり 旧字:栄華物語)
章段:二十七 衣珠(ころもだま)
作者:赤染衛門
対策:栄花物語は、平安時代の歴史物語です。藤原一族の繁栄を、漢字仮名を融合させた和漢混交文(わかんこんこうぶん)で表現しました。共通テストの設問は、「単語理解」+「文章読解」+「詩歌鑑賞」の順番が定番となっています。
用語:平安時代・摂関政治・国風文化




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共通テスト 2021年大問3栄花物語

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2021年大問3 古典古文問題




【前書】


次の文章は、「栄花物語」の一節である。

藤原長家(本文では「中納言殿」)の妻が亡くなった。親族らは、亡骸なきがらをゆかりの寺外、法住寺に移す場面から始まる。

これを読み、以下の設問1から設問5に、答えよ。



【本文】


大北の方(藤原長家の義母)も、この殿ばら(藤原長家の知合たちのこと)も、また押しかへし、しまろばせ給ふ。

これをだに、悲しく由由しきことに言はでは、また何ごとをかはと、見えたり。

さて、御車(亡骸を運ぶ車のこと)のしりに、大納言殿(藤原斉信のことで、藤原長家の義父)、中納言殿(藤原長家の役職のこと)、さるべき人人は、歩ませ給ふ。

言へば愚かにて、( ア )えまねびやらず

北の方(大北の方と同一人物)の御車や、女房たちの車など、ひき続けたり。

御供の人人など、数知らず多かり。

法住寺には、常の御渡りにも似ぬ御車などのさまに、僧都そうずの君(藤原斉信の弟のことで、法住寺の僧)、御目もくれて、え見たてまつりたまはず。

さて、御車かきおろして、つぎて人人おりぬ。

さて、この御忌おんいみのほどは、たれもそこにおはしますべきなりけり。

山の方を、眺めやらせ給ふにつけても、わざとならず、色色にすこし移ろひたり。

鹿の鳴くに、御目も覚めて、今すこし心細さ、勝り給ふ。

宮宮(藤原長家の姉たちで、藤原彰子や藤原妍子のこと)よりも、思し慰むべき御消息せうそこ、たびたびあれど、ただ今は、ただ夢を見たらんやうにのみ、思されて過ぐし給ふ。

月のいみじう明きにも、思し残させ給ふことなし。

内裏うちわたりの女房も、さまざま御消息、聞こゆれども、良ろしきほどは、( A )「今みづから」とばかり、書かせ給ふ。

進内侍じんのないしと聞こゆる人、聞こえたり。

---契りけん 千代は涙の 水底に 枕ばかりや 浮きて見ゆらん---

中納言殿の御返し

---起き臥しの 契りはたえて 尽きせねば 枕を浮くる 涙なりけり---

また、東宮の若宮の御乳母めのと小弁こべん

 ---悲しさを かつは思ひも 慰めよ 誰もつひには とまるべき世か---

御返し

 ---慰むる 方しなければ 世の中の 常なきことも 知られざりけり---

かやうに思しのたまはせても、いでや、もののおぼゆるにこそあめれ、

まして月ごろ、年ごろにもならば、思ひ忘るるやうもやあらんと、われながら心憂く思さる。

何ごとにもいかでかくと( イ )めやすくおはせしものを

顔かたちよりはじめ、心ざま、手うち書き、絵などの心に入り、さいつころまで御心に入りて、

うつ伏しうつ伏して描きたまひしものを、

この夏の絵を、枇杷殿びわどの(藤原妍子のこと)に持て参りたりしかば、

いみじう興じ愛でさせ給ひて、納め給ひし、

( B )よくぞ持て参りにけるなど、思し残すことなきままに、

よろづにつけて、恋しくのみ思ひ出で聞こえさせ給ふ。

年ごろ書きめさせ給ひける絵物語など、

みな焼けにし後(貴族の邸宅の火事で燃えてしまった後)、

去年、今年のほどにし、集めさせたまへるもいみじう多かりし、

( ウ )里に出でなば、とり出でつつ、見て慰めむと思されけり。


---栄花物語 二十七段 衣の珠 全訳品詞分解---






【大問1 設問1】


傍線部( ア )~( ウ )の解釈として、最も適当なものを、次の各群の1~5のうちから、それぞれ一つずつ選べ。

( ア ) えまねびやらず

1 信じてあげることができない
2 かつて経験したことがない
3 とても真似のしようがない
4 表現しつくすことはできない
5 決して忘れることはできない



( イ ) めやすくおはせしものを

1 すばらしい人柄だったのになあ
2 すこやかに過ごしていらしたのになあ
3 感じのよい人でいらっしゃったのになあ
4 見た目のすぐれた人であったのになあ
5 上手におできになったのになあ



( ウ )里に出でなば

1 自邸に戻ったときには
2 旧都に引っ越した日には
3 山里に隠棲するつもりなので
4 妻の実家から立ち去るので
5 故郷に帰るとすぐに





【大問1 設問2】


傍線部( A )「今みづから」とばかり書かせ給ふ、とあるが、長家がそのような対応をしたのはなぜか。その理由の説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。

1 並一通りの関わりしかない人からのおくやみの手紙に対してまで、丁寧な返事をする心の余裕がなかったから。

2 妻と仲のよかった女房たちには、この悲しみが自然と薄れるまでは返事を待ってほしいと伝えたかったから。

3 心のこもったおくやみの手紙に対しては、表現を十分練って返事をする必要があり、少し待ってほしかったから。

4 見舞客の対応で忙しかったが、いくらか時間ができた時には、ほんの一言ならば返事を書くことができたから。

5 大切な相手からのおくやみの手紙に対しては、すぐに自らお礼の挨拶にうかがわなければならないと考えたから。




【大問1 設問3】


傍線部( B )「よくぞ持て参りにけるなど、思し残すことなきままに、よろづにつけて、恋しくのみ思ひ出で聞こえさせ給ふ」の語句や表現に関する説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。

1 「よくぞ・・・・・・ける」は、妻の描いた絵を枇杷殿へ献上していたことを振り返って、そうしておいてよかったと、長家がしみじみと感じていることを表している。

2 「思し残すことなき」は、妻とともに過ごした日々に後悔はない、という長家の気持ちを表している。

3 「ままに」は「それでもやはり」という意味で、長家が妻の死を受け入れたつもりでも、なお悲しみを払拭することができずに、苦悩していることを表している。

4 「よろづにつけて」は、妻の描いた絵物語のすべてが焼失してしまったことに対する、長家の悲しみを強調している。

5 「思ひ出できこえさせ給ふ」の「させ」は使役の意味で、ともに亡き妻のことを懐かしんでほしいと、長家が枇杷殿に強く訴えていることを表している。




【大問1 設問4】


この文章の登場人物についての説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。

1 親族たちが、悲しみのあまりに取り乱している中で、「大北の方」だけは、冷静さを保って人人に指示を与えていた。

2 「僧都の君」は、涙があふれて長家の妻の亡骸を直視できないほどであったが、気丈に振る舞い亡骸を車から降ろした。

3 長家は、秋の終わりの寂しい風景を目にするたびに、妻を亡くしたことが夢であってくれればよいと思っていた。

4 「進内侍」は、長家の妻が亡くなったことを深く悲しみ、自分も枕が浮くほど、涙を流していると嘆く歌を贈った。

5 長家の亡き妻は、容貌もすばらしく、字が上手なことに加え、絵にもたいそう関心が深く、生前は熱心に描いていた。




【大問1 設問5】


以下の文章を読み、その内容を踏まえて、X・Y・Zの三首の和歌についての説明として適当なものを、後の1~6のうちから、二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。



「栄花物語」の和歌と同じ歌は、「千載和歌集」にも記されている。妻を失って悲しむ長家のもとへ届けられたという状況も同一である。

しかし、「千載和歌集」では、それに対する長家の返歌は、

 誰もみな とまるべきには あらねども おくるるほどは なほぞ悲しき

となっており、同じ和歌に対する返歌の表現や内容が、「千載和歌集」の和歌と「栄花物語」の和歌とでは異なる。

「栄花物語」では、和歌X・Yのやりとりを経て、長家が内省を深めてゆく様子が描かれている。



1 和歌は、妻を失った長家の悲しみを深くは理解していない、ありきたりなおくやみの歌であり、「悲しみをきっぱり忘れなさい」と安易に言ってしまっている部分に、その誠意のなさが露呈してしまっている。

2 和歌が、世の中は無常で誰しも永遠に生きることはできないということを詠んでいるのに対して、和歌はその内容をあえて肯定することで、妻に先立たれてしまった悲しみをなんとか慰めようとしている。

3 和歌が、誰でもいつかは必ず死ぬ身なのだからと言って長家を慰めようとしているのに対して、和歌はひとまずそれに同意を示したうえで、それでも妻を亡くした今は悲しくてならないと訴えている。

4 和歌が、「誰も」「とまるべき」「悲し」など和歌と同じ言葉を用いることで、悲しみを癒やしてくれたことへの感謝を表現しているのに対して、和歌はそれらを用いないことで、和歌の励ましを拒む姿勢を表明している。

5 和歌は、長家を励まそうとした和歌に対して、私の心を癒やすことのできる人などいないと反発した歌であり、長家が他人の干渉をわずらわしく思い、亡き妻との思い出の世界に閉じこもってゆくという文脈につながっている。

6 和歌は、世の無常のことなど今は考えられないと詠んだ歌だが、そう詠んだことでかえってこの世の無常を意識してしまった長家が、いつかは妻への思いも薄れてゆくのではないかと恐れ、妻を深く追慕してゆく契機となっている。



共通テスト 2021年大問3解答



2021年大問3 古典古文問題 解答】


設問解答配点
1ーア
1ーイ
1ーウ
3と68×2

(大問3 合計配点50点)


共通テスト 2021年大問3解説



2021年大問3 古典古文問題 解説】




【大問1 設問1】


傍線部( ア )~( ウ )の解釈として、最も適当なものを、次の各群の1~5のうちから、それぞれ一つずつ選べ。

( ア ) えまねびやらず

1 信じてあげることができない
2 かつて経験したことがない
3 とても真似のしようがない
4 表現しつくすことはできない
5 決して忘れることはできない


ここでの動詞「まねぶ」は、「文字で真似することができない」という意味です。



( イ ) めやすくおはせしものを

1 すばらしい人柄だったのになあ
2 すこやかに過ごしていらしたのになあ
3 感じのよい人でいらっしゃったのになあ
4 見た目のすぐれた人であったのになあ
5 上手におできになったのになあ


形容詞「めやすし」は、「人間の好印象」を意味し、「外面内面の両方」に用います。外面のみには「清ら」、内面のみには「心良し」などを用います。



( ウ )里に出でなば

1 自邸に戻ったときには
2 旧都に引っ越した日には
3 山里に隠棲するつもりなので
4 妻の実家から立ち去るので
5 故郷に帰るとすぐに


ここでの名詞「里」は、「自分の邸宅」のことです。




【大問1 設問2】


傍線部( A )「今みづから」とばかり書かせ給ふ。とあるが、長家がそのような対応をしたのはなぜか。その理由の説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。


1 並一通りの関わりしかない人からのおくやみの手紙に対してまで、丁寧な返事をする心の余裕がなかったから。

この選択肢は、正解です。本文で描かれていることが、過不足なく述べられています。


2 妻と仲のよかった女房たちには、この悲しみが自然と薄れるまでは返事を待ってほしいと伝えたかったから。

この選択肢は、誤りです。本文では「悲しみが自然と薄れるまでは返事を待ってほしい」という描写はありません。


3 心のこもったおくやみの手紙に対しては、表現を十分練って返事をする必要があり、少し待ってほしかったから。

この選択肢は、誤りです。本文では「表現を十分練って返事をする必要があり」という描写はありません。


4 見舞客の対応で忙しかったが、いくらか時間ができた時には、ほんの一言ならば返事を書くことができたから。

この選択肢は、誤りです。本文では「見舞客の対応で忙しかった」という描写はありません。


5 大切な相手からのおくやみの手紙に対しては、すぐに自らお礼の挨拶にうかがわなければならないと考えたから。

この選択肢は、誤りです。本文では「お礼の挨拶にうかがわなければならない」という描写はありません。さらに、主人公である藤原長家は御忌であり、法住寺にいなければならないので、外部へ「お礼の挨拶にうかがう」ことはありません。




【大問1 設問3】


傍線部( B )「よくぞ持て参りにけるなど、思し残すことなきままに、よろづにつけて、恋しくのみ思ひ出で聞こえさせ給ふ」の語句や表現に関する説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。


1 「よくぞ・・・・・・ける」は、妻の描いた絵を枇杷殿へ献上していたことを振り返って、そうしておいてよかったと、長家がしみじみと感じていることを表している。

この選択肢は、正解です。本文で描かれていることが、過不足なく述べられています。


2 「思し残すことなき」は、妻とともに過ごした日々に後悔はない、という長家の気持ちを表している。

この選択肢は、誤りです。動詞「思し残す」は「深入りしない」という意味です。したがって、「思し残すことなき」は、「深入りして、思い出に溺れる」という意味です。


3 「ままに」は「それでもやはり」という意味で、長家が妻の死を受け入れたつもりでも、なお悲しみを払拭することができずに、苦悩していることを表している。

この選択肢は、誤りです。動詞「思し残す」は「深入りしない」という意味です。したがって、「思し残すことなきままに」は、「深入りして、思い出に溺れたままで」という意味です。「苦悩している」という描写はありません。


4 「よろづにつけて」は、妻の描いた絵物語のすべてが焼失してしまったことに対する、長家の悲しみを強調している。

この選択肢は、誤りです。「妻の描いた絵物語のすべてが焼失してしまった」という描写はありません。


5 「思ひ出できこえさせ給ふ」の「させ」は使役の意味で、ともに亡き妻のことを懐かしんでほしいと、長家が枇杷殿に強く訴えていることを表している。

この選択肢は、誤りです。「きこえさせ」は1語の謙譲語です。




【大問1 設問4】


この文章の登場人物についての説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから、一つ選べ。

1 親族たちが、悲しみのあまりに取り乱している中で、「大北の方」だけは、冷静さを保って人人に指示を与えていた。

この選択肢は、誤りです。「冷静さを保って人人に指示を与えていた」という描写はありません。


2 「僧都の君」は、涙があふれて長家の妻の亡骸を直視できないほどであったが、気丈に振る舞い亡骸を車から降ろした。

この選択肢は、誤りです。「亡骸を車から降ろした」という描写はありません。平安時代の貴族は、自ら雑務をすることはないです。


3 長家は、秋の終わりの寂しい風景を目にするたびに、妻を亡くしたことが夢であってくれればよいと思っていた。

この選択肢は、誤りです。「妻を亡くしたことが夢であってくれればよい」という描写はありません。藤原長家は「妻の思い出に溺れている」のであって、「妻の死を否定」してはいません。


4 「進内侍」は、長家の妻が亡くなったことを深く悲しみ、自分も枕が浮くほど、涙を流していると嘆く歌を贈った。

この選択肢は、誤りです。進内侍が「枕が浮くほど、涙を流している」という描写はありません。


5 長家の亡き妻は、容貌もすばらしく、字が上手なことに加え、絵にもたいそう関心が深く、生前は熱心に描いていた。

この選択肢は、正解です。本文で描かれていることが、過不足なく述べられています。



【大問1 設問5】


以下の文章を読み、その内容を踏まえて、X・Y・Zの三首の和歌についての説明として適当なものを、後の1~6のうちから、二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。



「栄花物語」の和歌と同じ歌は、「千載和歌集」にも記されている。妻を失って悲しむ長家のもとへ届けられたという状況も同一である。

しかし、「千載和歌集」では、それに対する長家の返歌は、

 誰もみな とまるべきには あらねども おくるるほどは なほぞ悲しき

となっており、同じ和歌に対する返歌の表現や内容が、「千載和歌集」の和歌と「栄花物語」の和歌とでは異なる。

「栄花物語」では、和歌X・Yのやりとりを経て、長家が内省を深めてゆく様子が描かれている。



1 和歌は、妻を失った長家の悲しみを深くは理解していない、ありきたりなおくやみの歌であり、「悲しみをきっぱり忘れなさい」と安易に言ってしまっている部分に、その誠意のなさが露呈してしまっている。

この選択肢は、誤りです。和歌は、藤原長家の悲しみを、理解しています。その証拠に「悲しさを かつは思ひも」と述べて、「悲しさ」に言及しています。


2 和歌が、世の中は無常で誰しも永遠に生きることはできないということを詠んでいるのに対して、和歌はその内容をあえて肯定することで、妻に先立たれてしまった悲しみをなんとか慰めようとしている。

この選択肢は、誤りです。和歌は「人が亡くなる運命」を理解しながらも、それでも「悲しい」と感情を優先しています。「悲しみをなんとか慰めようとしている」という解釈はできません。


3 和歌が、誰でもいつかは必ず死ぬ身なのだからと言って長家を慰めようとしているのに対して、和歌はひとまずそれに同意を示したうえで、それでも妻を亡くした今は悲しくてならないと訴えている。

この選択肢は、正解です。和歌は「人が亡くなる運命」を理解しながらも、それでも「悲しい」と感情を優先しています。


4 和歌が、「誰も」「とまるべき」「悲し」など和歌と同じ言葉を用いることで、悲しみを癒やしてくれたことへの感謝を表現しているのに対して、和歌はそれらを用いないことで、和歌の励ましを拒む姿勢を表明している。

この選択肢は、誤りです。和歌は「悲しみを癒やしてくれたことへの感謝を表現」していません。


5 和歌は、長家を励まそうとした和歌に対して、私の心を癒やすことのできる人などいないと反発した歌であり、長家が他人の干渉をわずらわしく思い、亡き妻との思い出の世界に閉じこもってゆくという文脈につながっている。

この選択肢は、誤りです。和歌は「私の心を癒やすことのできる人などいない」とは解釈できません。「私の心を癒やす方法がない」と解釈できます。


6 和歌は、世の無常のことなど今は考えられないと詠んだ歌だが、そう詠んだことでかえってこの世の無常を意識してしまった長家が、いつかは妻への思いも薄れてゆくのではないかと恐れ、妻を深く追慕してゆく契機となっている。

この選択肢は、正解です。和歌の後には「いつかは妻への思いも薄れてゆくのではないかと恐れ」ている描写があります。


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