思い残す(おもいのこす) 深入りしない

思い残す(おもいのこす) 深入りしない

思い残す(おもいのこす) 深入りしない

思い残す(おもいのこす) 深入りしない


単語:思い残す
かな:おもいのこす
品詞:動詞(どうし) > 四段活用
意味:思い残す(おもいのこす)とは、「感情に深入りしないで、正気を残しておく」という意味です。

古典日本語「思い残す」は、「深入りしない」です。良い感情を、意識しています。

現代日本語「思い残す」は、「後悔する」です。悪い感情を、意識しています。


「思い残す」の意味変化には、価値観の転倒があります。はじめは、良い対象へ用いていた言葉が、しだいに、悪い対象へも用いるようになりました。

「すごし」や「かなし」も似ていて、古典日本語と現代日本語で、価値観の転倒があります。





プロ家庭教師古文単語帖(こぶんたんごちょう)で、指導歴10年以上の講師が執筆しています。


古文世界の文法・文化・慣習・制度を思い残すことで、古文作品の奥深さを楽しみましょう。


スポンサーさん

古文単語 思い残す(おもいのこす) 例文

古文単語 思い残す(おもいのこす) 例文

古文単語 思い残す(おもいのこす) 例文


例文:かかる所に住む人、心に思ひ残すことはあらじかし。

新字:かかる所に住む人、心に思い残すことはあらじかし。

仮名:さて、このおもいのこすのほどは、たれもそこにおはしますべきなりけり。

現代:このような所に住む人は、心が深入りしないことはあるまい。(つまり、美しくて深入りしてしまう)

解説::この文章での「思い残すことはあらじ」は、二重否定の表現で、景色の美しさを強調しています。

---源氏物語 若紫---





例文:月、名残なう澄み登りて、千里の外まで思ひやらるる心地するに、いとど思し残すことあらじかし。

新字:月、名残なく澄み登りて、千里の外まで思いやらるる心地するに、いとど思し残すことあらじかし。

仮名:つき、なごりなくすみのぼりて、せんりのそとまでおもいやらるるここちするに、いとどおぼしのこすことあらじかし。

現代:月は、名残なく澄んで登り、千里の外まで思いが広がる心地がする(時)に、ますます深入りされないことはあるまい。

解説::この文章での「思し残す」は、「思い残す」の尊敬語です。意識を保とうと努めても、それ以上に美しい景色に、感情が惹かれていってしまう。智・情・意のうち、情・意が相克する表現です。

---源氏物語補作 山路の露(やまじのつゆ)---





例文:月のいみじう明きにも、思し残させ給ふことなし。

新字:月のいみじく明きにも、思し残させ給うことなし。

仮名:つきのいみじくあきにも、おぼしのこさせたもうことなし。

現代:月がとても明るい(時)にも、(悲しみに)深入りされないことはない。(過去の思い出に夢中になっている)

解説::この文章での「思し残す」は、「思い残す」の尊敬語です。藤原長家が妻を喪い、法住寺で喪に服している場面です。


---栄花物語 二十七 ころもだま---



似ている記事
スポンサーさん