松尾芭蕉
松尾芭蕉
松尾芭蕉 (まつおばしょう) は、江戸時代の俳人です。言葉遊びの俳諧を、芸術にまで高めて、俳聖と呼ばれます。
芭蕉の俳句は、世界中の国の教科書に掲載され、世界で最も短い詩として紹介されています。
松尾芭蕉 (まつおばしょう) は、江戸時代の俳人です。言葉遊びの俳諧を、芸術にまで高めて、俳聖と呼ばれます。
芭蕉の俳句は、世界中の国の教科書に掲載され、世界で最も短い詩として紹介されています。
俳句: 行く春や 鳥啼き魚の 目は泪
かな: ゆくはるや とりなきうおの めはなみだ
季語: 春
訳文: 春は過ぎ去ろうとしているが、それを惜しんで鳥は鳴き、魚は目に涙をたたえているかのようだ。
俳句: 鶯や 柳のうしろ 藪の前
かな: うぐいすや やなぎのうしろ やぶのまえ
季語: 春
訳文: ウグイスが柳の後ろへ藪の前へと、あちこち飛び移って、しきりに鳴き交わしているなあ。
俳句: 梅が香に のっと日の出る 山路かな
かな: うめがかに のっとひのでる やまじかな
季語: 春
訳文: 早春の山道を歩いていると、梅の香りにさそわれるかのように、太陽がのっという感じで顔を出したなあ。
俳句: しばらくは 花の上なる 月夜かな
かな: しばらくは はなのうえなる つきよかな
季語: 春
訳文: 満開の花だ。そして、その上に月が上った。しばらくは月下の花見ができそうだなあ。
俳句: 門松や おもへば一夜 三十年
かな: かどまつや おもへばいちや さんじゅうねん
季語: 春
訳文: 新しい年を迎えて、この30年を振り返ってみれば、まるで一夜の夢のようだ。
俳句: 夏草や兵どもが夢の跡
かな: なつくさや つわものどもが ゆめのあと
季語: 夏
訳文: かつて戦場だったこの地に来てみると、功名を競った兵士たち(義経や奥州藤原氏)の夢のあともなく、ただ夏草が茂っているばかりだなあ。
俳句: 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声
かな: しずけさや いわにしみいる せみのこえ
季語: セミ 夏
訳文: あたりは静かで、物音ひとつせず静まりかえっている。その中で蝉の声だけが岩にしみ入るように聞こえ、静寂さをいっそう際立たせている。
解説: 閑さや (しずけさや) の代わりに 静けさや (しずかさや) と詠む場合もあります。俳句集「奥の細道」では、山形県は宝珠山・立石寺に立ち寄ったときの句として掲載されています。山寺が持つ閑寂さがよく表現されています。また、立石寺には、芭蕉の弟子たちがセミ塚を作りました。
英訳: Stillness, sinking into the stones, cicada's songs
俳句: 五月雨を あつめて早し 最上川
かな: さみだれを あつめてはやし もがみがわ
季語: 夏
訳文: 五月雨を一つに集めたように、なんとまあ最上川の流れの早くすさまじいことだ。
俳句: 五月雨の 降りのこしてや 光堂
かな: さみだれの ふりのこしてや ひかりどう
季語: 夏
訳文: 毎年降る五月雨が、この堂だけは降らずに残したのだろうか。光堂という名のとおり、光り輝いている。
俳句: 古池や 蛙飛び込む 水の音
かな: こいけや かわずとびこむ みずのおと
季語: 夏
訳文: 古池にとつぜん蛙が飛びこんだ。その水音が一瞬静けさを破ったが、またすぐもとの静けさに戻った。
俳句: 秋深き 隣は何を する人ぞ
かな: あきふかき となりはなにを するひとぞ
季語: 秋
訳文: 秋が深まり、野山が寂しく感じられるようになると、人恋しくなり、隣人のことなどが気になってくるよ。
俳句: 荒海や 佐渡によこたふ 天の河
かな: あらうみや さどによこたふ あまのがわ
季語: 秋
訳文: 日本海の荒波の向こうには佐渡ケ島がある。空を見上げると、その佐渡が島に向かって、天の川が白々と夜空に大きく横たわっている。
俳句: 石山の 石より白し 秋の風
かな: いしやまの いしよりしろし あきのかぜ
季語: 秋
訳文: 那谷寺の岩は石山寺の石よりも白くさらされている。その上を白い秋風が吹き渡っている。
俳句: 菊の香(か)や 奈良には古き 仏たち
かな: きくのかや ならにはふるき ほとけたち
季語: 秋
訳文: 奈良の町には菊の香りが漂っているなあ。その香りの中に古い仏像たちがひっそりとたたずんでいる。
俳句: 名月や 池をめぐりて 夜もすがら
かな: めいげつや いけをめぐりて よもすがら
季語: 秋
訳文: 空には名月があり、池に月影がうつっているなあ。その美しさに心を奪われて、池のまわりを歩きながらながめているうちに、つい一夜を過ごしてしまった。
俳句: 初雪や 水仙の葉の たわむまで
かな: はつゆきや すいせんのはの たわむまで
季語: 冬
訳文: 待ちに待った初雪が降ってきたよ。その雪の重みに耐えかねて水仙の葉が折れ曲がっている。
俳句: 箱根こす 人もあるらし けさの雪
かな: はこねこす ひともあるらし けさのゆき
季語: 冬
訳文: 箱根を難渋しながら越えている人もいるというのに、わたしは温かいもてなしを受けている。
俳句: 葱白く 洗ひたてたる 寒さかな
かな: ねぎしろく あらいひたてたる さむさかな
季語: 冬
訳文: 泥を落として、水で洗ったばかりの根深葱の白い色を見ていると、いっそう寒さが身にしみてくることだ。
俳句: いざ行かん 雪見にころぶ 所まで
かな: いざいかん ゆきみにころぶ ところまで
季語: 冬
訳文: さあ雪見の宴に出かけよう。雪に足を取られて転んでしまう所まで。
俳句: 旅に病み 夢は枯れ野を かけめぐる
かな: たびにやみ ゆめはかれのを かけめぐる
季語: 冬
訳文: 旅の途中、病気でたおれて床にふしていても、夢の中では草木が枯れた冬の野をかけめぐっている。
1644年(0歳) 伊賀国(三重県)で誕生 父の松尾与左衛門は下級武士でこの地域の有力者だった。
1662年(18歳) 伊賀国の藩主・藤堂家の一族、藤堂良忠に仕える。
藤堂良忠と共に、北村季吟の下で俳諧を勉強する。
1666年 (22歳) 主君の良忠が亡くなり失意、藤堂家から離れる。
1677年(33歳) 俳諧師の免許皆伝になる。
1684年(40歳) 出生地の伊賀へ向けて「野ざらし紀行」の旅に出る。
1689年(45歳) 弟子の河合曾良(かわいそら)と「奥の細道」の旅に出る。
1694年(50歳) 江戸から、伊賀、奈良、大阪へ向かい、大阪にて病死する。
葬儀には多くの弟子が参列した。
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