「三角比」の単元からの出題で、図形には、いくつもの解法が、隠れています。
解答時間を省略するために、図形をすばやく見抜く練習をしておくとよいでしょう。
大問1全体で、目安時間は20分以内です。これよりも時間がかかってしまった場合は、計算方法を工夫しましょう。
【2021年大問1 (2)ー(1)】
共通テスト2021年大問1(2)ー(1) 三角形
$b$=$6$
$c$=$5$
$cos A$=$\dfrac{3}{5}$ のとき
三角比の公式より
$cos A^2+sinA^2=1$
が成り立つので
$(\dfrac{3}{5})^2+sinA^2 = 1$
$\dfrac{9}{25}+sinA^2 = 1$
$sinA^2 = 1 -\dfrac{9}{25}$
$sinA^2 = \dfrac{16}{25}$
$sinA = \pm\dfrac{4}{5}$
となります。
角$A$ は三角形の内角なので
$0^\circ < A < 180^\circ$
したがって
$0 < sinA < 1$
となります。
以上より
$sinA =$
$\dfrac{4}{5}$
また
$\triangle$ABCの面積は
$\triangle$ABC=底辺 $\times$ 高さ $\times$ $\dfrac{1}{2}$
なので
点Cから、辺ABへ、垂線を引き、交点をNとすると
共通テスト2021年大問1(2)ー(1) 正弦と高さ
$\triangle$ABC=AB $\times$ CN $\times$ $\dfrac{1}{2}$
=$5 \times 6sinA \times \dfrac{1}{2}$
=$5 \times 6 \times \dfrac{4}{5} \times \dfrac{1}{2}$
=
$12$
となります。
また
$\triangle$AIDの面積は
=$5 \times 6sin\angle DAI \times \dfrac{1}{2} $
=$5 \times 6sin(180-A) \times \dfrac{1}{2} $
共通テスト2021年大問1(2)ー(1) 三角比の関係
=$5 \times 6sinA \times \dfrac{1}{2} $ (三角比の関係)
=$5 \times 6 \times \dfrac{4}{5} \times \dfrac{1}{2}$
=
$12$
【2021年大問1 (2)ー(2)】
正方形BFGC, CHIA, ADEBの面積を
それぞれ $S_1 , S_2 , S_3$ とする。
共通テスト2021年大問1(2)ー(2) 三角比と面積
このとき $S_1-S_2-S_3$ は
$S_1-S_2-S_3$=$a^2-b^2-c^2$ ・・・①
となります。
余弦定理より、$\triangle$ABCについて
$a^2=b^2+c^2-2bc \cos A$ ・・・②
が成り立ちます。
②を①へ代入すると
$(b^2+c^2-2bc \cos A)-b^2-c^2$
=$-2bc \cos A$
ここで $b$ と $c$ は、三角形の一辺の長さなので、必ず正の値になります。
つまり $b, c > 0$ なので
$\cos A > 0$ ならば $-2bc \cos A < 0$
$\cos A = 0$ ならば $-2bc \cos A = 0$
$\cos A < 0$ ならば $-2bc \cos A > 0$
以上より
$0^\circ < A < 90^\circ$ のとき
すなわち $\cos A > 0$のとき
①は
負の値である
$A=90^\circ$ のとき
すなわち $\cos A = 0$のとき
①は
$0$ である
$90^\circ < A < 180^\circ$ のとき
すなわち $\cos A < 0$のとき
①は
正の値である
【2021年大問1 (2)ー(3)】
$\triangle$AID, $\triangle$BEF, $\triangle$CGHの面積を
それぞれ $T_1 , T_2 , T_3$ とする。
共通テスト2021年大問1(2)ー(3) 三角比と面積
$T_1 = \dfrac{1}{2}bc \sin(\angle DAI)$
= $\dfrac{1}{2}bc \sin(180^\circ - A)$
= $\dfrac{1}{2}bc \sin A$ (三角比の関係) ・・・①
また
$T_2 = \dfrac{1}{2}ac \sin(\angle EBF)$
= $\dfrac{1}{2}ac \sin(180^\circ - B)$
= $\dfrac{1}{2}ac \sin B$ (三角比の関係) ・・・②
正弦定理より
$\dfrac{a}{\sin A} = \dfrac{b}{\sin B}$
が成り立つので
$\sin B = \dfrac{b}{a} \sin A$ ・・・➂
➂を、②へ代入して
$\dfrac{1}{2}ac \times \dfrac{b}{a} \sin A$
= $\dfrac{1}{2}bc \sin A$ ・・・④
①=④なので
$T_1 = T_2$
また
$T_3 = \dfrac{1}{2}ab \sin(\angle GCH)$
= $\dfrac{1}{2}ab \sin(180^\circ - C)$
= $\dfrac{1}{2}ab \sin C$ (三角比の関係) ・・・➄
正弦定理より
$\dfrac{a}{\sin A} = \dfrac{c}{\sin C}$
が成り立つので
$\sin C = \dfrac{c}{a} \sin A$ ・・・⑥
⑥を、➄へ代入して
$\dfrac{1}{2}ab \times \dfrac{c}{a} \sin A$
= $\dfrac{1}{2}bc \sin A$ ・・・➆
①=➆なので
$T_1 = T_3$
以上より
$a, b, c$ の値に関係なく $T_1=T_2=T_3$
【2021年大問1 (2)ー(4)】
$\triangle$ABC, $\triangle$AID, $\triangle$BEF, $\triangle$CGHのうち
外接円の半径が最も小さいものを求める。
$\triangle$ABCの, 外接円の半径を $r_0$ とおく。
正弦定理より
$\dfrac{BC}{\sin A} = 2r_0$
$r_0 = \dfrac{BC}{2\sin A}$ ・・・①
また
$\triangle$AIDの, 外接円の半径を $r_1$ とおく。
正弦定理より
$\dfrac{ID}{\sin (180^\circ - A)} = 2r_1$
$\dfrac{ID}{\sin A} = 2r_1$
$r_1 = \dfrac{ID}{2\sin A}$ ・・・➁
となります。
$0^\circ < A < 90^\circ$ のとき
三角形の辺と角の関係より
ID
$>$ BC
両辺を $2\sin A$ で割って
$\dfrac{ID}{2\sin A} > \dfrac{BC}{2\sin A}$
①と➁を代入して
$r_1 > r_0$
以上より
$\triangle$AIDの外接円の半径
$>$ $\triangle$ABCの外接円の半径
また
$\triangle$BEFの, 外接円の半径を $r_2$ とおく。
正弦定理より
$\dfrac{EF}{\sin (180^\circ - B)} = 2r_2$
$\dfrac{EF}{\sin B} = 2r_2$
$r_2 = \dfrac{EF}{2\sin B}$ ・・・➂
となります。
$0^\circ < B < 90^\circ$ のとき
三角形の辺と角の関係より
EF $>$ AC
両辺を $2\sin B$ で割って
$\dfrac{EF}{2\sin B} > \dfrac{AC}{2\sin B}$
正弦定理より
$\dfrac{EF}{2\sin B} > \dfrac{AC}{2\sin B}=\dfrac{BC}{2\sin A}$
①と➂を代入して
$r_2 > \dfrac{AC}{2\sin B} = r_0$
また
$\triangle$CGHの, 外接円の半径を $r_3$ とおく。
正弦定理より
$\dfrac{GH}{\sin (180^\circ - C)} = 2r_3$
$\dfrac{GH}{\sin C} = 2r_3$
$r_3 = \dfrac{GH}{2\sin C}$ ・・・④
となります。
$0^\circ < C < 90^\circ$ のとき
三角形の辺と角の関係より
GH $>$ AB
両辺を $2\sin C$ で割って
$\dfrac{GH}{2\sin C} > \dfrac{AB}{2\sin C}$
正弦定理より
$\dfrac{GH}{2\sin C} > \dfrac{AB}{2\sin C}=\dfrac{BC}{2\sin A}$
①と④を代入して
$r_3 > \dfrac{AC}{2\sin B} = r_0$
以上より
$0^\circ < A < B < C < 90^\circ$ のとき
$r_0, r_1, r_2, r_3$ のうち
$r_0$ が最も小さい
すなわち、外接円の半径が最も小さい三角形は
$\triangle$ABCである
$0^\circ < A < B < 90^\circ < C$ のとき
$r_1 > r_0$
$r_2 > r_0$
となるが
$90^\circ < C < 180^\circ$ なので
三角形の辺と角の関係より
GH $<$ AB
両辺を $2\sin C$ で割って
$\dfrac{GH}{2\sin C} < \dfrac{AB}{2\sin C}$
正弦定理より
$\dfrac{GH}{2\sin C} < \dfrac{AB}{2\sin C}=\dfrac{BC}{2\sin A}$
①と④を代入して
$r_3 < \dfrac{AC}{2\sin B} = r_0$
以上より
$r_3 < r_0 < r_1, r_2$
となるので
外接円の半径が最も小さい三角形は
$\triangle$CGHである
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