州
州
【用語】:州
【かな】:しゅう
【意味】:古代中国の行政区分の漢字。そこから、近代には主権を持つ行政区分という意味でアメリカの州にまで意味が拡大された。
【語感】:学術
【例文】:漢の武帝は中国大陸を州に分けた。
【例文】:アメリカの13州が独立宣言をした。
【語源】:もともとは川の流域を指した。
【類義】:国家 領邦 海域
【分類】:地理
【用語】:州
【かな】:しゅう
【意味】:古代中国の行政区分の漢字。そこから、近代には主権を持つ行政区分という意味でアメリカの州にまで意味が拡大された。
【語感】:学術
【例文】:漢の武帝は中国大陸を州に分けた。
【例文】:アメリカの13州が独立宣言をした。
【語源】:もともとは川の流域を指した。
【類義】:国家 領邦 海域
【分類】:地理
日本語の「州」がどのように用いられているのか気になったので、整理しておきます。言語に歴史があるということは、ある文字がさまざまに用いられ、歴史の中でゆるやかに意味が変化していくことでもあります。
発端になったのは以下の英文です。
However, giving the state the ultimate power should always make us uneasy. Historians rightly remind us of the horrors that some governments inflicted on their citizens in the past.
とりあえず訳してみたのが以下です。
しかし、「州」に極限まで権力を与えれば、我々は不安になるはずです。歴史家たちは、過去にいくつかの政権が市民に与えた恐怖を、忘れないようにしっかりと指摘しています。
と訳してみまして、う~ん、ここの state の訳語は「州」なのだろうか・・・?と悩みましたので以下に漢字の「州」についてまとめておきます。
1:まず古代中国では「州」の字で、行政区分を指していました。例えば三国志には徐州・豫州・荊州などの統治区域が登場しています。
2:もう1つは自然地理の分野で「州」と書いて「川の中州」を意味する用法がありました。古代の王朝が必須の資源(飲料水・農業用水)+生活インフラ(上下水道)を求めて大河を支配しようとしたことは、あらゆる教科書に記載されています。ここから「水域」と「行政区分」が同義に用いられていったのかもしれません。
3:日本の中学校の地理の検定教科書では、ユーラシア大陸を「アジア州」と「ヨーロッパ州」に分けています。「大陸=自然区分」で「州=文化区分」との記載があります。
4:日本の英語の検定教科書では、state of Florida をフロリダ州と訳しています。
5:日本の世界史の教科書では nation state を国民国家と訳しています。
ここまで調べてみて、英訳がややこしくなっている理由は4と5の部分が原因になっていると分かります。
時間的な前後関係を考慮すれば nation state は1648年のウエストファリア条約においてすでに公的文書に用いられています。
そこで用いられた state はアメリカ独立宣言にも同じ言葉として登場しています。 この場合の state を日本の教科書は「州」と翻訳しています。ただしこの北米大陸の「州」の概念はヨーロッパ大陸では「国家」と訳すものと同じ概念になっています。
以上をまとめると漢字の「州」は以下のように歴史的文脈で多義的に用いられていることになります。
「州」のまとめ
1:古代中国の州・・・広域の行政区分
2:土地として州・・・川の周辺地域
3:地理の教科書の州・‥大陸の自然区分を補完する大陸の文化区分
4:歴史の教科書の州・‥北米大陸の独立した主権を持つ行政区分でヨーロッパ大陸の国家に相当する。
言葉は歴史のなかで変遷し、さまざまな意味を含んで豊かになるか、あるいは意味が膨張してわかりにくくなるのか、いずれにしても言葉を厳密に使いたいと思いました。
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