【測定試験と言語能力】
言語能力には、さまざまな測定方法があります。日本人の第2言語(英語)の測定には、英語検定(英検)が普及していますので、受験経験の有る方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
【測定試験はインフラ】
日本の英語検定のように、世界の国地域では、さまざまな言語能力の測定試験が実施されています。
言語能力を客観的に測定することで、日常生活・専門職業・公共福祉などが活発に機能するようになります。人間活動の可能性を広げる点で、言語は道路や鉄道のようなインフラとも考えられます。20世紀には、多くの国家が道路建設をしたように、国別に言語能力の測定試験が開発されていました。
【測定試験の地域別】
北米大陸(アメリカ・カナダ)では、ETS社によりトフル(TOEFL)が開発されました。旧大英帝国(イギリス・オーストラリア・ニュージーランド)ではブリティッシュカウンシルによるアイエルツ(IELTS)が開発されました。東アジア(日本・中国・韓国)では、輸出企業の要望からトーイック(TOEIC)が開発されました。
測定試験は、さまざまな目的を目指して、あるいはシェア争いを通じて、発展してきました。その結果、初心者から見れば、どの測定試験を受けるべきなのか、分かりにくくなっています。
【測定試験の共通枠組】
さまざまな言語能力を、まとめて理解できるようにしたい。このような要望をもっとも強く持ったのは、ヨーロッパでした。英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語など、無数の言語が用いられているなかで、1991年のマーストリヒト条約により、ヨーロッパ連合(EU)が誕生しました。国境が緩和され、多言語での生活・教育・労働が当たり前になりました。そのような現実に対して、セファール(CEFR)は開発された経緯があります。
【測定試験とセファール換算】
セファールは広く受け入れられ、現在では、多くの測定試験に用いられています。日本の英検も、米国のトフルも、英国のアイエルツも、中国語検定も、すべてセファールに対応しています。例えば、日本で英検を受験すると、英検の得点を教えてくれますが、合わせて、セファールに換算した得点も教えてくれるようになっています。
【セファールの6段階】
セファールでは、言語能力をA1・A2・B1・B2・C1・C2の6段階に分けています。以下ではそれぞれの段階の特徴について、意見をまとめていきます。
【セファールA1の特徴】
セファールA1は、初心者の段階です。
セファールA1は、日常生活での挨拶や返事ができます。
セファールA1は、単語や短文で、応答できます。
セファールA1は、他人がゆっくりとはっきり発音してくれれば、会話ができます。
【セファールA2の特徴】
セファールA2は、基礎段階です。英検では三級に相当し、公立中学卒業水準です。
セファールA2は、身近で具体的な出来事(家事・買物・近所・アルバイトなど)について理解できます。
セファールA2は、日常生活での定型的な作業に参加できます。
セファールA2は、他人に自分の生活や健康状態を言葉で伝えられます。
【セファールB1の特徴】
セファールB1は、中級者です。英検では二級に相当し、公立高校卒業水準です。
セファールB1は、日常場面(職場・学校・娯楽)で会話の要点がすぐ理解できます。
セファールB1は、旅行先の生活にはほぼ対処できます。
セファールB1は、文章構成は単純なものであればできます。
【セファールB2の特徴】
セファールB2は、準上級者です。英検準一級に相当し、日本の大学受験水準です。
セファールB2は、意見や計画をまとめて発表できます。
セファールB2は、日常用語に加えて専門用語も出題されるようになります。
セファールB2は、抽象的な議論が理解できます。B1とB2には明確な差があり、B1までは具体的な内容に限定されています。
セファールB2は、母語話者と違和感なく会話できます。
B2リーディング問題集 B2リスニング問題集
B2ライティング問題集 B2スピーキング問題集
【セファールC1の特徴】
セファールC1は、上級者です。
セファールC1は、専門書が読解でき、会話の言外の意味も理解できます。
セファールC1は、辞書やウェブで調べなくとも、会話発表や文章構成がすぐにできます。
セファールC1は、文法や修辞の知識を活用して自己表現できます。
【セファールC2の特徴】
セファールC2は、いわゆるネイティブ水準です。
セファールC2は、ほぼすべての会話や文章を理解できます。
セファールC2は、異なる情報源の批判能力があり、情報を要約し、再構成できます。
セファールC2は、情報の受信者ではなく、情報の発信者です。
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