【出題分野】:現代文 説明文
【小問総数】:5問
【目安時間】:20分
【文章字数】:3000文字+
【記述字数】:200文字
【出題内容】:出典は、國分功一郎 (こくぶんこういちろう) さんの中動態の世界です。哲学の自由意志が主題となっており、人間の行為を能動と受動に区別することの限界を指摘し、自らの意志によって行動するとはどのようなことなのか、考察しています。
【解説】:小問5は、例年通り、200文字の記述となっており、内容も、自らの経験を述べるものとなっています。
テーマは、「自分の意志」です。まずは問題文で「意志」がどのように書かれているかを確認しましょう。
「ある人物の意志による行為と見なされるのは、その人が自発的に、自由な選択のもとに、自らでなしたと言われる行為のこと」
「意志は物事を意識していなければならない。つまり、自分以外のものから影響を受けている。にもかかわらず、意志はそうして意識された物事からは独立していなければならない。すなわち自発的でなければならない」
意志は、まわりのものから影響されて生まれますが、まわりのものから独立しているように扱うのが、意志となっています。このような能動でも受動でもない意志を、筆者は中動態と呼んでいます。
例えば、天気が良くて思わず鼻歌が出てしまったのか、それともうれしい気持ちを表そうと意志して歌っているのか、意志には不思議なところがあります。
押さえるべき内容は以下の2つです。
「意志のはじまりはまわりからの影響だということ」
「意志は自分がまわりから独立していると信じていること」
筆者の主張する意志を、具体的な経験に流しこめればよいでしょう。記述対策として、抽象的な概念に、自分の経験を肉付けする練習をしておきましょう。
なお、2020年の教育改革に向けて、日本のカリキュラムは、より記述に重点が置かれることがわかっていますが、公教育の集団授業では、どこまで生徒に記述指導できるのか、不透明ではあります。
【用語】 自由意志 能動 受動
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