教育社会用語解説

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教育社会用語解説

プロ家庭教師による教育社会用語集です。教育機関(学校・大学・専門学校・塾・家庭・出版社・情報産業)の社会用語を解説しています。

教育は、個人資質の開花であるとともに、社会文化の再生産の営みでもあります。教育を巡る社会問題を、制度・歴史・学術・研究・理論・統計などの面から見ることで、より良く理解できるようになります。

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遠隔教育 ICT環境

Q:日本社会の遠隔教育とは、何ですか?
A:遠隔教育(えんかくきょういく)とは、学校授業を教室ではなく、離れた空間で受講することです。離島僻地問題・不登校生徒問題・定時制などの解決方法として期待される一方で、予算やノウハウに課題が残ります。遠隔教育のためのインフラとして、教育ICTの整備が進んでいます。教育ICT(アイシーティー)とは、総称で、メール・スケジュール・宿題・提出物・採点・録画録音など、授業に必要な電子機器を指します。教育ICTはただ授業を保存・再生するだけではなく、生徒の行動の1つ1つをデータとして蓄積できるために、教育評価に新しい時代を切り拓くと期待されています。

Q:日本社会のサイバー補導とは、何ですか?
A:サイバー補導とは(さいばーほどう)とは、子どものインターネットへの違法書きこみを、警察官がおとり調査で応対し、実際に現場に現れた子どもを補導します。インターネット犯罪を防ぐための新しい種類の補導です。

Q:日本社会のサイバー補導は、いつから始まったのですか?
A:サイバー補導は2013年から全国の警察で実施されています。インターネット・携帯電話の普及率とともに、増加傾向にあります。

Q:日本社会のサイバー補導は、どうして始まったのですか?
A:思春期の子どもたちは、自分たちだけの閉鎖的な集団を作る傾向にあります。家族から離れて、「僕らの」・「俺らの」・「ウチらの」集まりを求めます。同年代の仲間と過ごすことは、健全な成長の一環です。社会が変化しても、同年代の仲間と青春を送りたいという子どもの願いは、なくならないでしょう。子供たちの交流の場は、大人の目につきやすい物理的な空間から、ネットのサイバー空間へと移行していっているのが、現代社会の傾向です。そこで、これまでの街頭補導に加えて、サイバー補導が始まりました。

Q:日本社会のサイバー補導は、どのようなデータあるのですか?
A:サイバー補導のデータは各警察により発表されています。

虐待通報電話番号189番

虐待通報電話番号189番



補導した児童の6割は非行・補導歴がない。
援助交際目的の児童は下着売買目的の児童と比べて、非行・補導歴を有する児童や有職・無職の割合が多くなっている。
補導した児童の9割は援助交際等の書き込みにスマートフォンを使用している。
保護者の知らないうちに児童が援助交際等の書き込みなどをしている。
無料通話アプリのIDを交換する掲示板とともにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への書き込みも見られる。
街頭補導と異なり児童と接触できないことがある。


Q:日本社会のサイバー補導は、どのようなデータの傾向があるのですか?
A:警察庁のデータから、2点が推測されます。1つめは、女子の犯罪は見えにくい点です。女子が犯罪をしないというのは固定観念です。男子がみな暴力を奮うわけではないように、男子女子と単純に子どもを分類することにも、限界があります。それでも、目に見える物理的な暴力を選ばないという点で、女子の犯罪は男子よりも見えにくいです。他者の視線が及ばないところでは、犯罪に誘惑されやすい性質があると考えられます。2つめは、女子は他人を攻撃するのではなく、自らを貶めようとする点です。初犯の割合が多いことから、お金を目的として常習的に書きこみをする者は、少数です。好奇心や、居場所のなさなどが原因になっている可能性も否定できません。いずれにしても、加害の意思よりは、適切な意欲・目標が持てない消極的な気持ちが温床にあるとと考えられます。

Q:日本社会のサイバー補導は、どのような効果があるのですか?
A:サイバー補導の実施により、以下のような効果が発表されています。

保護者からの感謝事例
援助交際の書き込みをしていた児童(14 歳:中学2年生)の母親から「最近携帯ばかりいじっていて、何をやっているかも聞けず分からなかったのですが、今回の件をきっかけに娘としっかり話をしていきたいと思います。ありがとうございました。」と謝辞を述べた。(警視庁)
下着売買の書き込みをしていた児童(17歳:高校2年生)の母親から「娘がこんなことをしているとは思わなかった。娘と会ったのが悪い人ではなく警察の方で良かったです。ありがとうございました」と謝辞を述べた。(山口県警察)

児童への継続的な助言・指導により問題行動が改善
援助交際の書き込みをしていたA子(17 歳:高校3年生)を補導した後、少年センターの少年補導員による面接指導を続けたところ、A子は学校生活や就職活動に熱心に取り組み始め、その結果、生活は落ち着き、高校卒業後の就職先も決まった。A子は「補導されたことで援助交際を本気で辞めようと決心することができた。少年センターに通い自分の事について考える機会を持てて良かった。」と申し立て、母親からも「充実した生活を送っている様子がうかがえる。安心して見ていられるようになりました。」と申し立てるなど、サイバー補導後の継続的な助言・指導により問題行動が改善された。(千葉県警察)


Q:日本社会のサイバー補導は、どのように考えられるのですか?
A:サイバー補導は、公共空間と私的空間が、インターネットへと拡散したものだと考えられます。1990年代以降、10代の生徒はポケベル・PHS・携帯電話・スマートフォンなどを利用して、友達付き合いをするようになりました。新しい通信手段は、まずは流行商品という魅力で、子どもたちを個人消費の対象とします。新商品が発売されれば、子どもたちは大人よりも早く利用したがります。このようなメディアは、便利さに加えて、自分だけの私的な空間を生みだす性質があります。もともと、子どもは自分だけの世界を生み出そうという傾向があり、そのような性質を、メディアが拡張していると考えられます。
例えば、携帯電話のおしゃべりに夢中になることは、その場にいる空間と、おしゃべりの相手との私的空間を、曖昧にさせます。そしてこの混乱自体が、ひとつの面白い体験として、子どもを刺激します。新しい通信手段は、便利なだけではなく、自分だけの私的な時間と空間を演出するものとして、魅力があるのではないでしょうか。


遠隔教育とICT

サイバー補導

世界保健機構(WHO). ゲーム依存症. 2019.

ソーシャルゲーム依存症と子供世界の搾取構造

未成年・生活指導・法令制度

Q:自転車は何をすると警察官に捕まるのですか?
A:自転車に乗っていて警察官に捕まる理由は、いくつかあります。

1つめは自転車の整備です。自転車の制御装置(ブレーキ)・照明(ライト)を整備していないと、2013年から警察官に呼び止められるようになりました。検査拒否または命令違反の場合は5万円以下の罰金です。自転車は季節ごとにきちんと整備しておきましょう。

2つめは二人乗りです。青春の一コマとして描かれる風物詩ですが、法律では違法です。二人乗りがしたい場合は、公道以外で二人乗りしましょう。


道路交通法第六十三条の十 警察官は、前条第一項の内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車と認められる自転車が運転されているときは、当該自転車を停止させ、及び当該自転車の制動装置について検査をすることができる。

道路交通法第五十七条 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。


Q:自転車の講習とは何ですか?
A:自転車の講習とは、3年以内に2回以上違反行為で捕まると、課される講習です。大人だけではなく14歳から課されます。講習を受講しないと5万以下の罰金となります。2015(平成27)年12月1日から自転車の取締が強化され、自「動」車講習に加えて、自「転」車講習が加わっています。

第百八条の三の四 公安委員会は、自転車の運転に関しこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反する行為であつて道路における交通の危険を生じさせるおそれのあるものとして政令で定めるもの(次条において「危険行為」という。)を反復してした者が、更に自転車を運転することが道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、内閣府令で定めるところにより、その者に対し、三月を超えない範囲内で期間を定めて、当該期間内に行われる第百八条の二第一項第十四号に掲げる講習(次条において「自転車運転者講習」という。)を受けるべき旨を命ずることができる。



【参考文献】
自転車合法非合法10歳からの道路交通法

いじめ 不登校 児童虐待

Q:日本社会のいじめとは何ですか?
A:日本社会のいじめとは、集団の構成員同士が、お互いを攻撃することです。日本の小・中・高校ではいじめが存在し、いじめによる自殺事件を背景に、国会でいじめ防止対策推進法が2013年に成立しています。

Q:日本社会のいじめにはどのような調査があるのですか?
A:いじめについては文部科学省の調査があります。小・中・高でのいじめの認知件数は、2017年(平成29年)に年間40万件を超え、増加傾向にあります。

小・中・高でのいじめの認知件数

小・中・高でのいじめの認知件数






Q:日本社会の児童虐待とは何ですか?
A:児童虐待は、保護者による児童の虐待です。育児のための指導を通りこして、子どもの身体・精神に攻撃を加えます。親密な人間関係のなかで暴力が奮われるために、他人から見えにくい特徴があります。

Q:日本社会の児童虐待にはどのような調査があるのですか?
A:各地の児童相談所により調査されています。児童相談書は、児相(じそう)と省略されて報道されることもあります。日本の児童虐待対応件数は、2016年に10万件を超えて、現在も増加傾向にあります。

児童虐待相談対応件数

児童虐待相談対応件数 厚生労働省




Q:日本社会の児童虐待にはどのような種類があるのですか?
A:児童虐待は、身体的虐待・精神的虐待・性的虐待。ネグレクトの4区分で調査されています。

Q:日本社会の児童虐待は、誰がされているのですか?
A:日本の児童虐待の被害者として、12歳以下の小学生の割合が高くなっています。虐待は、相手を選んで行なわれています。物心がついてから小学生までの子どもが、虐待を受けやすいです。中学生以降になると、心身が発達し、保護者と子どもにも距離ができるので、虐待されにくくなります。

Q:日本社会の児童虐待は、誰がしているのですか?
A:日本の児童虐待の加害者として、実母の割合が高くなっています。「まさか母親が子どもを傷つけはしないだろう」と考えるのは、社会の固定観念であり、誤りです。実母の虐待者の、割合が高い原因としては、母親と子どもは、家庭で長い時間いっしょにいるので、虐待が発生しやすくなっていると考えられます。また、愛情が支配欲に変化しやすい点も見逃せません。

Q:日本社会の児童虐待で、加害者の母親はどのような問題があるのですか?
A:日本の児童虐待の加害者として、母親が抱える問題としては「育児不安」・「予期しない妊娠、計画していない妊娠」が高い割合を占めます。

Q:児童虐待について、身体的虐待とは何ですか?
A:身体的虐待(しんたいてきぎゃくたい)とは、殴る・蹴る・叩く・投げ落とす・激しく揺さぶる・やけどを負わせる・溺れさせるなどです。

Q:児童虐待について、性的虐待とは何ですか?
A:性的虐待(せいてきぎゃくたい)とは、子どもへの性的行為・性的行為を見せる・ポルノグラフィの被写体にするなどです。

Q:児童虐待について、ネグレクトとは何ですか?
A:ネグレクト(neglect)とは、家に閉じ込める・食事を与えない・不潔にする・自動車に放置する・病気になっても病院に連れて行かないなどです。ネグレクトは育児放棄(いくじせいき)とも呼ばれています。

Q:児童虐待について、心理的虐待とは何ですか?
A:心理的虐待(しんりてきぎゃくたい)とは、言葉による侮辱・無視・家庭内での差別・暴力を見せるなどです。

Q:児童虐待について、DVとは何ですか?
A:DV (Domestic Violence ドメスティック・バイオレンス)とは、家庭内の親密な人間同士での暴力です。暴力を内側に隠そうとする人間の性質は、情報社会によって変化したと考えられます。社会の外側にある暴力を、家庭に持ちこむ傾向があります。

Q:児童虐待について、発見した場合はどうしたらよいですか?
A:虐待を通報するための電話番号189番が設置されています。

不登校児童生徒数の推移 小学校

不登校児童生徒数の推移 小学校 文部科学省






Q:日本社会の不登校とは何ですか?
A:不登校(ふとうこう)とは、学校に登校しない子供のことです。文部科学省の定義では、「年間30日以上欠席の不登校の生徒」としています。

Q:日本社会にはどれくらい不登校の子供がいるのですか?
A:文部科学省の調査によると、日本の小学校では、2017年に35032人が不登校となっています。

虐待通報電話番号189番

虐待通報電話番号189番



Q:日本社会の不登校にはどのような調査があるですか?
A:中学校の不登校では、文部科学省の調査によれば2018年度に全中学生325万人の3.2%(約10万人)が不登校となっています。一方で、日本財団の調査によれば、より定義を拡大し、不登校傾向にある中学生(年間欠席数は30日未満)は、全中学生約325万人の10.2%(約33万人)で、文部科学省が調査した不登校中学生の数の約3倍となっています。約10人に1人が不登校であり、増加傾向にあります。

Q:日本社会の不登校にはどのような原因があるですか?
A:日本の不登校の原因として、いじめ・学業不振・授業崩壊などが指摘されています。

宿題代行

Q:夏休みの宿題で、読書感想文や自由研究をインターネットで代行してもらうと違法になるのですか。?
A:読書感想文や自由研究などは、メルカリ、楽天、ヤフーなどのフリーマーケット・オークションなどで出品されています。完成品を購入することは、違法ではありませんが、あなたの学力が上がらないので、やめた方がよいのではないでしょうか。自分の手で解くと学力になりますので、インターネットはあくまで参考にして、自分の力で解きましょう。

参考文献

参考文献

いじめの認知件数 
文部科学省:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査


児童相談所での児童虐待相談対応件数 
厚生労働省:児童虐待相談対応件数等


サイバー補導のデータ 
警察庁:サイバー補導の現状と今後の取組について


不登校の子供はどのくらいいるのか 
文部科学省:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
日本財団:不登校傾向にある子どもの実態調査

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