ソーシャルゲーム依存症と子供世界の搾取構造

ソーシャルゲーム依存症と子供世界の搾取構造

ソーシャルゲーム依存症と子供世界の搾取構造

ソーシャルゲーム依存症と子供世界の搾取構造

プロ家庭教師がソーシャルゲーム依存症の危険性について解説しています。

【ソーシャルゲーム 問題】
日本の家庭用ゲームは、1983年に任天堂のファミリーコンピューター(通称ファミコン)発売をきっかけに、一般に普及していきました。当時のゲームは個人が自室で利用するものでしたが、1990年代にインターネットが社会へ普及していくと、ゲームには利用者間の交流を促す「ソーシャル(social)」と呼ばれる機能が追加されていきました。ソーシャルゲーム(通称ソシャゲ)は、友人たちと交流しながら遊べるので人気が出ましたが、一方で従来のゲームにはなかった危険性があると批判されています。現実逃避とスクールカースト・出会系と犯罪予備軍・快感と依存症などです。

【保護者知識 重要】
2019年に世界保健機構(WHO)はゲーム依存症を疾患として認定しています。ゲームも含めたメディアが、無知な子供を搾取する構造は、資本主義の初期段階から継承されたものとも考えられます。教育現場の目線からゲーム依存を分析すると、ゲーム依存症の克服には、生徒への働きかけに加えて、保護者・家庭の意識改革も重要になっています。

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ソーシャルゲーム依存症 まとめ

【ゲーム+ソーシャル】
日本の家庭用ゲームは、1983年に任天堂のファミリーコンピューター(通称ファミコン)発売をきっかけに、一般に普及していきました。当時のゲームは、個人が自室で利用するものでした。

1990年代にインターネットが社会へ普及していくと、ゲームには利用者間の交流を促す「ソーシャル(social)」と呼ばれる機能が追加されていきました。ソーシャルゲームは、仲の良い友人たちと交流しながら遊べるので、人気が出ました。しかし一方で、従来のゲームにはなかった危険性があると批判されています。

【現実逃避とスクールカースト】
1つめの批判として、ソーシャルゲームは、子供たちに現実逃避の場所を提供しています。子供たちは居心地の良い空間で、無気力になり、現実の問題に対処できなくなります。

さらにその背景にはスクールカーストがあり、学校空間での負け組の子供たちを、家庭空間ではメディアが狙い撃ちにするという搾取構造があります。認知心理学や行動心理学を応用すれば、大人が子供を欺くことはたやすく、無知な子どもが楽しいと主張している時こそ、保護者はていねいに物事を観察する必要があるのではないでしょうか。

【出会系と犯罪予備軍】
2つめの批判として、ソーシャルゲームには、出会い系の要素が隠してあります。
マーケティング技術として、ソーシャルゲームは利用者へ「ただゲームをしているだけ」という体裁を用意しています。保護者に注意されたら「ゲームで遊んでいるだけ」と言い訳すれば、保護者の監視をごまかせる設計になっています。

出会い系は、警察の規制により、身分証明が求められるようになりました。ところがソーシャルゲームは、誰でも参加できるだけに、より犯罪の温床になりやすくなっています。具体的には、楽していい思いをしたいダメな子供と、犯罪に誘うダメな大人の溜まり場です。

ゲーム制作者(プログラマーやイラストレーター)になれる子供は、10代後半からきちんと勉強して技術を身につけて、ゲーム会社に正社員として就職していきます。ゲーム制作者とゲーム消費者は、まったく別のものです。

【快感と依存症】
3つめの批判として、快感と依存症の問題があります。メディアには快感を与える作用があり、快感は依存症の源泉です。WHOは2019年にゲーム依存(game addiction)を正式な疾病と認定しています。企業活動においては、快感は個人消費の喚起に必要な手段となっていますが、一方で消費者が依存症に陥る危険性もあります。

ゲーム提供企業は、子供を搾取しているとは認めないでしょう。そして子供たちは「楽しいから」と自己弁護をするはずです。このような企業と消費者の共犯関係は、ソーシャルゲームに限らず、資本主義社会のあらゆる領域に散見されます。その結果、無知で無力で搾取されていたと、子供たちが気がつくと、手遅れになっています。

【ゲーム依存の被害】
ゲーム依存の被害は、子供本人だけではなく、家庭にも被害が広がります。以下のような被害が有名です。

子供への被害は
×学習習慣の破壊
×無気力
×体力減退
×家庭内暴力

家庭への被害は
×他人とのトラブル
×クレジットカードの不正利用
×犯罪事件に巻き込まれる


【公教育とメディア教育】
政府の生活習慣調査は、テレビ・ゲームの利用時間が長くなれば、学力が下がる相関関係にあると、繰り返し指摘しています。しかし繰り返し指摘しても、実情では、全ての家庭・子供が、政府調査を読解できるわけではありません。

日本の公教育における読解力は、情報がほぼ紙媒体しかなかった時代から、どれくらい変化したのでしょうか。芥川龍之介さんや新見南吉さんや谷川俊太郎さんなどの文学的文章が読めても、家に帰ったらテレビ・ゲーム・スマホを無制限に利用している生徒は、果たして読解力があると言えるのでしょうか。現代のメディア情報環境に合わせて「読解力」とはどのようなものなのかは考えていきたいです。

【資本主義とメディア搾取】
メディアビジネスは、今後も利益率の高いドル箱ビジネスであり、神の見えざる手が子供たちを搾取しながら、資本主義は進行していくでしょう。法律や条例による対策も検討されてくると思いますが、まずは保護者の知見を高めることが、依存症の予防には有効だと思います。以下に対策案をいくつか提案しておきます。

【ゲーム依存症対策 パソコンは貸出物】
ソーシャルゲーム対策として、パソコンの所有権は子供にはなく、家庭からの貸出物であると言い聞かせましょう。子供の利用状況によっては、パソコンはいつ保護者が取り上げてもよいと約束しておきましょう。始めに約束しておくことで、後から子供と言い合いにならずに済みます。

【ゲーム依存症対策 情報の密室を作らない】
ソーシャルゲーム対策として、家庭で「情報の密室」を作らないようにしましょう。情報の密室とは、子供が1人だけで管理する情報のことです。子供がソーシャルゲームをするのであれば、「パソコンのパスワードを共有」し「保護者がアカウントを点検」すると良いでしょう。子供にとって、自分の言動を定期的に保護者に監査されることで、責任感が生まれます。

【ゲーム依存症対策 デジタルオフ】
ソーシャルゲーム対策として、デジタル機器に触れてはいけない時間、いわゆる「デジタルオフ」の時間を作りましょう。デジタル器機は情報を送受信するだけではなく、光や音によって人間の身体に影響を与えるもので、適切な休憩を取る習慣を確立しておきましょう。




【参考文献】
世界保健機構(WHO). ゲーム依存症. 2019.

国立大学法人お茶の水女子大学. "平成29年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究". 2018.

Adam Smith. An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations. 1776.
アダムスミス. 山形浩生訳. 国の豊かさの性質とその原因についての検討. 2004.



David Courtwright. The Age of Addiction: How Bad Habits Became Big Business. 2019.


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