全米大学不正入試事件2019年の検察全文全訳解説です。事件はVarsity Blues case(バーシティ・ブルーズ事件 青の代表事件)と通称されています。プロ家庭教師による教育制度研究で、大学受験の基礎知識用語を、わかりやすく解説しています。
2019年のアメリカの大学受験不正スキャンダルは4点で注目されました。
1点目は不正告発された富裕層が50人以上おり、資本主義社会での教育の機会均等が失われたこと。
2点目は世界大学ランキングに掲載された上位校(スタンフォード大学・イエール大学など)が不正入試を見逃していたこと。
3点目は組織的かつ長期的に不正共謀があったこと。
4点目は大学受験の選考基準(アドミッション・ポリシー)が金銭買収で歪められていたこと。
当事件を受けて、カリフォルニア州議会は、2019年10月04日に、教育法を改正し、入学基準の開示をより強く大学に求めていく政策を取るようになりました。
【用語集】
【legacy】 レガシーとは、いわゆる「縁故枠」のことで、一族が大学関係者である場合には、何らかの優遇が得られる制度です。アメリカでは公然と実施されています。
【alumuni】 アルムナイとは、いわゆる「卒業生・同窓会」のことで、近親にアルムナイがいる場合では、入学許可されやすいという統計データが出ています。
【preferential treatment】 プリファレンシャル・トリートメントとは、いわゆる「特待生」で、何らかの条件を満たした場合には、優先して入学許可する制度です。条件として、スポーツ実績・芸術実績・授賞履歴などの他に、特定地域出身(中国・インド・東欧)や人種(アフリカ系・アジア系)なども、条件に含まれる場合があります。
【donor】 ドナーとは、いわゆる「寄付者」のことですが、実質的には大学への大口寄付金を収めた人間を指します。
【primary education】 プライマリー・エデュケイションとは、いわゆる「6歳から12歳までの小学校」のことです。厳密には、日本の教育法制では「小学校」とは呼ばずに「初等教育(しょとうきょういく)」と呼ばれます。
【secondary education】 セカンダリー・エデュケイションとは、いわゆる「13歳から18歳までの中学高校」のことです。厳密には、日本の教育法制では「中学高校」とは呼ばずに「中等教育(ちゅうとうきょういく)」と呼ばれます。
【K-12】 ケートゥエルブとは、いわゆる「幼稚園から高校卒業まで」の期間のことです。小学一年生から数えて、高校三年生を12年生と考えています。先進国では実質的な義務教育に該当し、K-12に合わせて教育・娯楽・マーケティングが実施されています。
【postsecondary education】 ポストセカンダリー・エデュケイションとは、いわゆる「18歳以降」の教育です。
【higher education】 ハイヤー・エデュケイションとは、いわゆる18歳以上の教育機関で、「大学」とほぼ同義で用いられます。厳密には、日本の教育法制では「高等教育機関(こうとうきょういくきかん)」と呼ばれます。高等教育機関は大学・短大・高専・専門学校・大学院を含む総称です。
【カリフォルニア州法】 AB-697 Postsecondary education: reports: preferential treatment: students related to donors or alumni.