【産業革命と化石燃料】
18世紀に
産業革命が始まると、人類は豊かな消費社会を
享受するようになりました。
一方で、物を
生産・
流通・
消費するためには、エネルギーが必要となりました。
エネルギー
源は、産業革命の初期には
石炭で、第二次世界対戦以降は
石油が中心となりました。
これらのエネルギー源は、古代の
動植物の
死骸であり、
化石燃料とも呼ばれます。
【温室効果ガスの増大】
化石燃料を燃やすと、エネルギーと共に、
二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は化学記号で
$CO_2$ と書きます。
この気体は、もともとは地中深くに
埋蔵されていたものなので、地球の大気中へ放出されると、二酸化炭素の
濃度が増えます。
その結果、
温室効果が起こり、気温が上昇します。
地球全体の気温は、産業革命以降、約1℃から2℃、上昇したことがわかっています。気温が上昇すると、
生態系が変化していきます。
【会議の招集】
このような変化から、地球を守るために、1992年に、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、
気候変動枠組条約が採択されました。
別名として、
温暖化防止条約とも呼ばれます。
地図 気候変動枠組条約
気候変動枠組条約の
実務では、温暖化を防止するために、会議を重ねていきます。会議の回数は
COP1・COP2・COP3・・・というように数字が割り当てられています。
1997年のCOP3では、日本で
京都議定書が採択されました。
二酸化炭素に加えて
メタン($CH_4$) や
窒素酸化物などもまとめて
温室効果ガスと呼ぶようになりました。
2015年のCOP21では、フランスで
パリ協定が採択されました。二酸化炭素の削減目標が定められました。
【温室効果ガスの種類 問題】
気候変動枠組条約では、地球の温暖化を防止するために、温室効果ガスを定めています。以下の気体のうち、温室効果ガスはどれですか。気体名をすべて書きなさい。
気体名 | 化学記号 |
---|
水素 | $H_2$ |
ヘリウム | $He$ |
酸素 | $O_2$ |
オゾン | $O_3$ |
二酸化炭素 | $CO_2$ |
メタン | $CH_4$ |
【温室効果ガスの種類 解答】
気体名 | 化学記号 |
---|
二酸化炭素 | $CO_2$ |
メタン | $CH_4$ |
【温室効果ガスの種類 解説】
酸素 ($O_2$)は、物を燃やす性質(
助燃性)がありますが、温室効果はありません。
二酸化炭素 ($CO_2$)は、温室効果があります。空気は混合物で、窒素($N$)が78%、酸素($O_2$)が21%、アルゴン($Ar$)が0.9%、二酸化炭素($CO_2$)が0.03%、それぞれ混ざっています。炭素の割合が0.01%増えるだけでも、温室効果があるので、驚きですね。
二酸化炭素の測定単位としてppm(Parts Per Million ピーピーエム)という単位もあります。ppmは「百万分の一」という意味です。300ppm=0.03%、400ppm=0.04%となります。
オゾン ($O_3$)は、温室効果がありません。オゾンは間違えやすい気体です。なぜなら、二酸化炭素とオゾンはともに「環境問題」として、生徒に紹介されるからです。オゾンは「太陽からの有害物を守る気体」ですので、温室効果とは無関係です。
水素 ($H_2$)は、温室効果がありません。水素はもっとも軽い気体で、熱をあまり
貯めることができません。
メタン ($CH_4$)は、温室効果があります。科学用語としては「メタン」ですが、製品名としては「家のガス」として知られています。住宅用のガスには、メタンが多く含まれています。
ヘリウム ($He$)は、温室効果がありません。ヘリウムは、水素の次に軽い気体で、燃えにくいという特徴があります。
【二酸化炭素の排出 問題】
大気中の二酸化炭素を増やす活動を、以下からすべて選びなさい。
ア 火力発電をして、電気を生産する。
イ 原子力発電をして、電気を生産する。
ウ 森林
伐採をして、
薪を燃やす。
エ 鉱山開発をして、金属を採掘する。
オ 化学工場で、プラスチックを生産する。
【二酸化炭素の排出 解答】
ア ウ オ
【二酸化炭素の排出 解説】
ア 火力発電をして、電気を生産すると、二酸化炭素が増えます。火力発電は、石油を燃やすので、二酸化炭素が発生します。
イ 原子力発電をして、電気を生産しても、二酸化炭素は発生しません。
ウ 森林伐採をして、
薪を燃やすと、二酸化炭素が発生します。薪には炭素が含まれていて、燃焼によって、二酸化炭素が発生します。
エ 鉱山開発をして、金属を採掘しても、二酸化炭素はしません。
オ 化学工場で、プラスチックを生産すると、二酸化炭素が発生します。プラスチックの原料は、石油です。石油を加工すると、二酸化炭素が発生します。
【国地域の二酸化炭素の排出量 問題】
以下の設問文を読み、( ア )から( カ )にふさわしい国地域を[ 解答候補 ]から選び、書きこみなさい。
二酸化炭素の
排出量の多い国には、いくつかの特徴がああります。
人口規模に注目すると、( ア )と( イ )は、人口が10億人を超えており、多くの人間が活動するので、それだけ二酸化炭素の排出量が多くなっています。
( イ )は日本の最大の貿易相手国であり、工場での生産活動でも、二酸化炭素を排出しています。
人口1人当たりに注目すると、( ウ )の二酸化炭素の排出量が多くなっています。
( ウ )は人口規模が3億人ほどですが、エネルギー消費量が多く、他国で生産された製品を多く輸入しています。
貿易に注目すると、日本と( エ )は、他国に多くの製品を輸出し、貿易黒字を
計上しています。消費者だけではなく、生産者としても、二酸化炭素を排出します。
資源開発に注目すると、( オ )と( カ )は、
潤沢な石油埋蔵量が確認されており、国家経済は石油輸出に依存しています。国内では安価に石油調達できることから、二酸化炭素の排出量が多くなっています。
( オ )は、日本の石油輸入先として、
首位を占めています。
[ 解答候補 ]
アメリカ ブラジル
イギリス ドイツ フランス
イスラエル イラン サウジアラビア
インド 中国
【国地域の二酸化炭素の排出量 解答】
二酸化炭素の
排出量の多い国には、いくつかの特徴がああります。
人口規模に注目すると、
インドと
中国は、人口が10億人を超えており、多くの人間が活動するので、それだけ二酸化炭素の排出量が多くなっています。
中国は日本の最大の貿易相手国であり、工場での生産活動でも、二酸化炭素を排出しています。
人口1人当たりに注目すると、
アメリカの二酸化炭素の排出量が多くなっています。
アメリカは人口規模が3億人ほどですが、エネルギー消費量が多く、他国で生産された製品を多く輸入しています。
貿易に注目すると、日本と
ドイツは、他国に多くの製品を輸出し、貿易黒字を
計上しています。消費者だけではなく、生産者としても、二酸化炭素を排出します。
資源開発に注目すると、
サウジアラビアと
イランは、
潤沢な石油埋蔵量が確認されており、国家経済は石油輸出に依存しています。国内では安価に石油調達できることから、二酸化炭素の排出量が多くなっています。
サウジアラビアは、日本の石油輸入先として、
首位を占めています。
【国地域の二酸化炭素の排出量 解説】
中国とインドは、人口規模が単純に大きいので、それだけ二酸化炭素の排出量が多くなっています。人口1人当たりの二酸化炭素の排出量は、あまり多くありません。
アメリカは、人口1人当たりの二酸化炭素の排出量が多くなっています。アメリカはエネルギー消費量が多く、他国で生産された製品を多く輸入しているので、輸入を考慮すると、二酸化炭素の排出量はもっと多くなると考えられています。
日本とドイツは、自国内で製品を加工する時に、二酸化炭素が排出されています。完成した製品は、他国へ輸出されるので、輸出を考慮すると、二酸化炭素の排出量はもっと少なくなると考えられています。
サウジアラビアとイランは、自国で安価な石油を調達できるので、
自家消費による二酸化炭素排出量が多くなっています。
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