用語:イ音便 (いおんびん)
解説:イ音便とは、「書きて」が「書いて」へ変化するように、活用語尾がイ音へ変化する音便です。イ音便には「動詞のイ音便」と「形容詞のイ音便」の2種類があります。
動詞のイ音便とは:動詞のイ音便になる条件は「カ行五段活用動詞の連用形」か「ガ行五段活用動詞の連用形」です。
書く カ行五段活用動詞のイ音便
終止形 | ⇒ | 連用形+助詞 | ⇒ | イ音便 |
書く | ⇒ | 書き+て | ⇒ | 書い+て |
kaku | ⇒ | kaki+te | ⇒ | kai+te |
書く | ⇒ | 書き+ても | ⇒ | 書い+ても |
kaku | ⇒ | kaki+temo | ⇒ | kai+temo |
書く | ⇒ | 書き+た | ⇒ | 書い+た |
kaku | ⇒ | kaki+ta | ⇒ | kai+ta |
書く | ⇒ | 書き+たり | ⇒ | 書い+たり |
kaku | ⇒ | kaki+tari | ⇒ | kai+tari |
書くのイ音便は、活用語尾から
子音 k が抜けていることがわかります。
急ぐ ガ行五段活用動詞のイ音便終止形 | ⇒ | 連用形+助詞 | ⇒ | イ音便+濁音便 |
急ぐ | ⇒ | 急ぎ+て | ⇒ | 急い+で |
iso | ⇒ | isogi+te | ⇒ | isoi+de |
急ぐ | ⇒ | 急ぎ+ても | ⇒ | 急い+でも |
iso | ⇒ | isogi+temo | ⇒ | isoi+demo |
急ぐ | ⇒ | 急ぎ+た | ⇒ | 急い+だ |
iso | ⇒ | isogi+ta | ⇒ | isoi+da |
急ぐ | ⇒ | 急ぎ+たり | ⇒ | 急い+だり |
iso | ⇒ | isogi+tari | ⇒ | isoi+dari |
急ぐのイ音便は、活用語尾から
子音 g が抜けていることがわかります。さらに、
濁音便によって、
助詞が濁音に変化しています。
形容詞のイ音便:形容詞のイ音便になる条件は「連体形」です。
明るい 形容詞のイ音便:終止形 | ⇒ | 連体形+名詞 | ⇒ | イ音便+名詞 |
明るい | ⇒ | 明るき+月 | ⇒ | 明るい+月 |
akarui | ⇒ | akaruki+tuki | ⇒ | akarui+tuki |
明るいのイ音便は、活用語尾から
子音 k が抜けていることがわかります。
特別なイ音便:
行く イ音便+ツ音便:カ行五段活用の動詞「行く」は特別で、「
行きて ⇒ 行いて ⇒ 行って」となり、「イ音便+ツ音便」という二段階の音便になっています。
ござりますとございます:ラ行五段活用動詞の「ござる」は特別で、助動詞「ます」と合わせて、「
ござります ⇒ ございます」となり、「ますの時だけイ音便」になります。もっとも「ございます」を1語と考える立場からは、イ音便とは言えないかもしれませんね。
おっしゃれとおっしゃい:ラ行五段活用動詞の「おっしゃる」は特別で、命令形は「
おっしゃれ ⇒ おっしゃい」とイ音便になります。