用語:音便 (おんびん)
教材:
音便の種類まとめ:
音便 | 音便前 | 音便後 | 別名 |
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ア音便名詞 | ふねたび | ふなたび | ー |
イ音便動詞 | 書きて | 書いて | ー |
イ音便形容詞 | 明るき | 明るい | ー |
ウ音便形容詞 | 白く | 白う | ー |
ツ音便 | 切りて | 切って | 促音便 |
ン音便 | 読みて | 読んで | 発音便 |
シ音便 | 使わせた | 使わした ー |
連濁 | よそら | よぞら | ー |
濁音便 | 休んて | 休んで | ー |
意味:音便とは、日本語の発音が変化することです。例えば、「書きて」が「書いて」に変化することを、イ音便と呼びます。イ音便では
活用語尾がイ
音へと変化します。日本語の音便の種類として、ア音便(あおんびん)・
イ音便(いおんびん)・ウ音便(うおんびん)・ウ音便(うおんびん)・ツ音便(つおんびん)・促音便(そくおんびん)・ン音便(んおんびん)・発音便(はつおんびん)などがあります。また、シ音便(しおんびん)・
連濁(れんだく)・濁音便(だくおんびん)も、音便の種類に含める場合もあります。音便が国語の試験に出題されることは、
滅多にありませんが、音便を学ぶと、日本語の自然な発音を理解しやすくなります。なお、音便の読み方で「おんべん」は間違いで、「おんびん」が正解です。
語感:どちらも
かため やわらかめ
別名:音変化
例文:
日文:行きてが
行ってへと、
変化することは、
有名な
音便です。
類義:発声 アクセント ニュアンス
端折り 方言 言い方
対義:無音便
語源:漢字 音 (おと)
+ 漢字 便 (びん)
⇒ 発音しやすい便利な音
⇒ 音便
派生:音便 (おんびん)
+ 化 (か)
⇒ 音便化 (おんびんか)
⇒ 音便に成ること
解説:音便が起きる理由は、
身体感覚に
沿って、発音しにくい音を減らし、発音しやすい音に変えるからです。人間が発音する時には、
喉を
開閉し、舌を動かして、空気を
吐き出します。そうすると、発音しやすい音と発音しにくい音が、感じられるようになります。やがて、発音しにくい音を変えていこうとする運動が起きます。発音しにくい音は、省略されるか、
音便化します。音便の本質は、「言葉の正しさと身体感覚のズレ」にあると考えられます。
英語:euphony (ユーフォニー)
euphonic change (ユーフォニックチェインジ)
韓語:음편 (ウムピョン)
中語:音便 (ユンビエン)
音便の歴史:音便の歴史は、古典日本語が確立した平安時代から始まっています。例えば、助動詞「なむ」は、平安時代には「なむ」と書かれていましたが、鎌倉時代には「なん」とも書かれるように変化しました。音便の種類によって、出現時期は異なりますが、平安時代の終わり頃には、音便が
出揃っていたと考えられています。日本語の歴史劇・時代劇・ファンタジードラマなどでは、あえて音便のない
台詞で演出する場合があります。キャラクターの個性表現として、日本語は主語を省略して、音便や助詞を活用する傾向があります。また、
詩歌・和歌・俳句は、音便を用いません。
音便の法則:音便は日本語だけではなく、あらゆる言語に存在しています。身体感覚で、より発音しやすいように、言葉は変化していく性質があります。すなわち、音便の背景には、言葉の経済があると考えられます。
音便と方言:音便は、
方言とは異なります。音便は、学校教科書で学習する「標準日本語」です。したがって、日本語の文章は、共通した音便で書きます。例えば、北海道の人が文章は「行って」となり、沖縄の人の文章も「行って」となります。ある地方が「行きて」になることはありません。方言は、主に話し言葉の変化であり、書き言葉である文章には反映されません。
体系:知識 (ちしき)
> 言語 (げんご)
> 日本語 (にほんご)
> 文字 (もじ)
> 平仮名 (ひらがな) + 片仮名 (かたかな) + 漢字 (かんじ)
+ 音便(おんびん)