解説
単元:中学受験算数 立体図形 切断図 平面図 立面図 平面図形 相似
受験生難易度:
2-(1) 易しい
2-(2) 易しい
2-(3) 標準
対策:立体図形の分野から、切断図の単元が出題されています。立体図形の切断図は、中学受験では頻出の単元ですが、ありきたりな図形を暗記するだけでは、対応できないでしょう。誰でも見知っているような図形は登場しません。
空間認知の訓練をして、どのような図形が登場してきても、自分の手で作図できるように準備しておきましょう。開成中学の算数平均点は高いので、どうしても図形が苦手な場合は、他校の受験も検討した方が良い場合もあります。
受験生難易度は標準的で、図形が得意な生徒は、全問正解できる大問です。図形が苦手な生徒でも(2)までは正解したいです。立体図形の解法だけではなく、平面図形の解法も同時に求められていますので、記述はしっかりと筋道を立てて書きましょう。
分析:
(1) 六角形
立体図形の切断 解法1:同じ平面の点を結ぶ
点Pと点Rは、同じ平面DCGHにあるので、線を引きます。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ
立体図形の切断 解法2:平行な面に平行な線を引く
平面DCGHと平面ABFEは平行な面なので、辺PRと平行な線を点Qから引きます。交点を点Sとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ
立体図形の切断 解法3:辺を延長する
辺PRを延長して、平面と交わるところまで補助線を引きます。
平面EFGHとの交点を点X、平面ADHEとの交点を点Yとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 辺を延長する
立体図形の切断 解法1の繰り返し:同じ平面の点を結ぶ
点Xと点Qは、同じ平面EFGHにあるので、線を引きます。辺FGとの交点を点Tとします。
点Yと点Sは、同じ平面ADHEにあるので、線を引きます。辺ADとの交点を点Uとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ
立体図形の切断 解法1の繰り返し:同じ平面の点を結ぶ
点Tと点Qは、同じ平面EFGHにあるので、線を引きます。
点Uと点Sは、同じ平面ADHEにあるので、線を引きます。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 完成 六角形
完成です。答えは図形Xは
六角形です。
立体図形の問題は、図形が描けなければ、そこで手が止まってしまいます。日頃から空間認知の能力を鍛えておきましょう。ちなみに、タブレットやスマホなどのデジタル学習よりも、手書きの紙でのアナログ学習の方が、より効果があることがわかっています。
分析:
(2) 直方体の高さ
$=14.4cm$
立体図形の分野から、投影図(とうえいず)の問題です。投影図には前からみた立面図(りつめんず)と上空からみた平面図(へいめんず)があります。(2)では前から見た立面図を書きます。
投影図 解法:立面図(前から見た姿)を書く
まずは特徴をとらえて、図形Xを立体から平面にして描いていきましょう。
前からみると、点Aと点Uと点Dは重なります。
前からみると、点Bと点Cは重なります。
前からみると、点Eと点Hは重なります。
前からみると、点Fと点Tと点Gは重なります。
辺SQと辺PRは平行です。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図
平面図形 解法:相似の発見
辺の長さのデータを書きこみましょう。
辺SQと辺PRは平行なので
三角形PRBと三角形QSEは相似です。
よって
PB:RB $=12:9=4:3=$ QE:SEなので
SE $=3$となります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 相似の発見
平面図形 解法:図形を分ける
長方形UBCTを3つの図形に分けて、考えます。
長方形UBCT=六角形UPRTQS+三角形PBR+三角形QES
長方形UBCT=$228+12\times9\div2+4\times3\div2$
よって
長方形UBCT=$228+54+6=288cm^2$ となります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 図形を分ける
長方形UBCTの横の長さは $8+12=20cm$
長方形UBCTの縦の長さは $(9+RT)cm$ なので
$288cm^2=20cm \times (9+RT)cm$
$(9+RT)=14.4cm$ となります。
求められている解答は、直方体の高さですから
直方体の高さ
$=14.4cm$です。
立体図形の問題の中にも、平面図形の相似の計算が含まれています。たったの1問にさまざまな算数の解法が集められていますので、オールラウンドな算数力が求められています。
分析:
(3) 直方体の奥行(おくゆき)
$=20.3cm$
立体図形の分野から、投影図(とうえいず)の問題です。(2)と同じ傾向の出題ですが、(3)は平面図を扱い、やや計算が長くなります。
投影図 解法:平面図(上から見た姿)を書く
まずは特徴をとらえて、図形Xを立体から平面にして描いていきましょう。
上から見ると、点Aと点Sと点Eは重なります。
上から見ると、点Bと点Fは重なります。
上から見ると、点Cと点Rと点Gは重なります。
上から見ると、点Dと点Hは重なります。
辺PUと辺QTは平行です。
三角形DPUと三角形BQTは相似です。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 投影図 上から見た平面図
辺DSと辺RBが、直方体の奥行となりますが、データが足りません。
立体図形 解法:辺を延長する
そこで直方体の立体図に戻って、辺を延長してみましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する
平面図形 解法:相似の発見
相似の三角形が見つかります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見
三角形DPYと三角形CPRは相似なので
辺DP:辺CP $=8:12=2:3$ です。
よって
辺DY:辺CR $=2:3=6:9$ なので
辺DY $=6cm$ となります。
立体図形 解法:辺を延長する 繰り返し
さらに異なる視点で見てましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する
平面図形 解法:相似の発見 繰り返し
さらに相似の三角形が見つかります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見
三角形AUSと三角形DUYは相似なので
辺US:辺UY $=11.4:6=19:10$ です。
平面図形 解法:比と長さ
これでデータが集まりましたので、辺の比を書きこんでいきましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と長さ
立体図形から平面図形に投影すると時には、点の重なりに注意して
辺DS:辺DU:辺US $=29:10:19$
また
三角形DUPと三角形BTQは相似なので
辺DP:辺QB $=8:16=1:2=$ 辺DU:辺BT
よって
辺DS:辺DU:辺US:辺BT $=29:10:19:20$ となります。
平面図形 解法:比と面積
比で面積を表していきます。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と面積
比で考えると
長方形DRBS $=(10+19) \times (8+12) =580$
三角形DPU $=10\times8\div2=40$
三角形BQT $=20\times16\div2=160$
よって
六角形PRTQSU $=$ 長方形DRBS $ー$ 三角形DPU $ー$ 三角形BQT
$=580-40-160=380$
比の$380$は$266cm^2$なので
$380:266=190:133=10:7=1:0.7$
比の$1$は$0.7cm$となります。
図形Xの奥行は比の$29$なので
$1:0.7cm=29:20.3cm$です。
答えは 直方体の奥行(おくゆき)
$=20.3cm$です。
面積の計算は、比の解法が用いられています。比の計算は、中学受験の頻出単元です。
難関校の算数には、思考型と精密型があり、思考型の学校は、比の計算のセンスが求められることが多いですので、自由自在に計算できるように、練習しておきましょう。
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