開成中学校 算数対策解答解説 2019

開成中学校 算数対策解答解説 2019

開成中学校 算数対策解答解説 2019

開成中学校 算数対策解答解説 2019

開成中学校の算数過去問の解答・解説・分析です。受験生の入試対策のためにプロ家庭教師が出題傾向を分析解説します。

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【校名】:開成中学校 (かいせいちゅうがっこう)
【科目】:算数 (4科目受験校)
【年度】:2019年 (平成31年)

【大問】:
【分野】:計算文章
【単元】:旅人算
【難易】:易しい
【対策】:計算問題です。時間と速さの分野から、旅人算の単元が出題されています。旅人算の解法が理解できていれば、あとは思考力の勝負でしょう。(1)から(3)までていねいな誘導ができているので、受験生難易度は易しかったはずです。全問正解したい大問です。比の計算が多用されていますので、分数を含んだ比の計算に慣れておきたいです。
【用語】:計算文章題 時間と速さ 旅人算
【目安時間】:10分


【大問】:
【分野】:図形空間
【単元】:切断図
【難易】:標準
【対策】:図形問題です。立体図形の分野から、切断図の単元が出題されています。立体図形の切断図は、中学受験では頻出の単元ですが、ありきたりな図形を暗記するだけでは、対応できないでしょう。誰でも見知っているような図形は登場しません。空間認知の訓練をして、どのような図形が登場してきても、自分の手で作図できるように準備しておきましょう。
【用語】:空間図形 切断図 相似
【目安時間】:20分


【大問】:
【分野】:場合の数
【単元】:道順
【難易】:標準
【対策】:場合の数の分野から、道順の単元が出題されています。道順は、標準的な解法では、ただ数えていくだけです。注意深い受験生であれば、正答できます。しかし開成中学では、図形を平面から立体に置きかえたり、途中で道順を戻れるように条件設定をしています。解法を丸暗記するのではなく、条件設定が変えられた場合でも、対応できる思考力が求められています。
【用語】:道順 アルゴリズム 平面図形
【目安時間】:15分


【大問】:
【分野】:規則性
【単元】:トランプ
【難易】:標準
【対策】:規則性の分野から、カードゲームが出題されています。算数のカードゲームには、古今東西の絵札(トランプ・タロット・花札・歌留多)などが登場し、数字や絵柄を用いて、さまざまなゲーム法則が探究されます。与えられたルールにもとづいて、どのようにゲームが進行していくのか、推論力も試されます。
【用語】:規則性 アルゴリズム トランプ
【目安時間】:15分

開成中学 2019問題1

開成中学 2019問題1

K君は、自宅からおばさんの家まで、 スイカ2つを一人で運ぶつもりでした。ところが、弟のS君が「ぼくも手伝う!」と言ったので、次のようにしました。

1) K君とS君がそれぞれスイカを1つずつ持って、同時に自宅を出発する。
2) K君の方がS君より進む速さが速いので、おばさんの家に先に着く。そこで、すぐにスイカを置いて、S君に出会うまで引き返す。
3) K君は、S君に出会ったらすぐにS君からスイカを受け取り、すぐにおばさんの家に向かう。

ここで、K君の進む速さは

スイカを2つ持っているときは 毎分60m
スイカを1つ持っているときは 毎分80m
スイカを持っていないときは 毎分100m

です。

スイカ2つを運び終えたK君がおばさんの家で休んでいると、後から追いかけてきたS君が到着(とうちゃく)しました。

S君 「おにいちゃん、ぼく、役に立った?」

K君 「もちろんだよ! ぼくが一人で運ぶつもりだったけど、そうするのに比べて$ \frac{\Large15}{\Large16} $倍の時間で運び終えられたからね。ありがとう!」

S君 「ほんと!? よかった!」


次の問いに答えなさい。

(1) K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間は、K君がはじめに一人でスイカ2つを運ぶのにかかると考えていた時間の何倍ですか。

(2) 引き返したK君がS君に出会った地点から、おばさんの家までの距離は、自宅からおばさんの家までの距離の何倍ですか。

(3) S君がスイカを1つ持って進む速さは毎分何mですか。


(本番の解答用紙には、この下に計算のための余白があります。記述力や思考過程も採点対象となります)

開成中学 2019問題1 解答

解答

(1) $ \frac{\Large3}{\Large16} $

(2) $ \frac{\Large5}{\Large36} $

(3) 分速$64m$

開成中学 2019問題1 解説

解説

単元:中学受験算数 時間と速さ 旅人算

受験生難易度:
1-(1) 易しい
1-(2) 易しい
1-(3) 易しい(計算注意)

対策:時間と速さの分野から、旅人算の単元が出題されています。旅人算の解法が理解できていれば、あとは思考力の勝負でしょう。(1)から(3)までていねいな誘導ができているので、受験生難易度は易しかったはずです。全問正解したい大問です。比の計算が多用されていますので、分数を含んだ比の計算に慣れておきたいです。

分析:
(1) $ \frac{\Large3}{\Large16} $

まずは2つの速さの比に注目しましょう。

過去問解説 開成中学 2019問題1-1 速さの比と時間の比

過去問解説 開成中学 2019問題1-1 速さの比と時間の比


K君がスイカを$2$つ持つと、おばさんの家までの速さは、毎分$60m$です。
K君がスイカを$1$つ持って、おばさんの家までの速さは、毎分$80m$です。

速さの比 $= 60:80$ なので
時間の比 $=80:60=4:3=16:12$
(解法 速さと時間の逆比を利用します)
(時間の比は $4:3$がもっとも簡単な比ですが、あとの計算を考えて$16:12$に直しておきます)


K君がはじめに一人でスイカ2つを運ぶのにかかると考えていた時間を$16$とすると
弟が参加してかかった時間は$16\times\frac{\Large15}{\Large16}=15$となります。
そして
K君がはじめに一人でスイカ1つを運ぶのにかかる時間は$12$なので
K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間は$15-12=3$となります。
過去問解説 開成中学 2019問題1-1 時間の差

過去問解説 開成中学 2019問題1-1 時間の差


よってK君が一人でスイカ2つを運ぶ時間:K君が二度目におばさんの家に着く時間$=16:3$

答えは$ \frac{\Large3}{\Large16} $倍です。



(2) $ \frac{\Large5}{\Large36} $

K君が一度目におばさんの家に着いてから、二度目におばさんの家に着くまでの時間に注目しましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題1-2 時間の比と距離比

過去問解説 開成中学 2019問題1-2 時間の比と距離の比


K君がおばさんの家から引き返して、弟のS君に会うまでは、スイカを0コ持っているので、速さは分速$100m$です。
K君がS君からスイカをもらって、おばさんの家に到着するまでは、スイカを1つ持っているので、速さは分速$80m$です。

速さの比 $= 100:80$ なので
時間の比 $= 80:100 = 4:5$

(1)から往復にかかる時間は$ 3 $なので
K君がS君からスイカをもらって、おばさんの家に到着するまでにかかる時間は$ 3\times \frac{\Large100}{\Large100+80}=\frac{\Large5}{\Large3} $となります。

K君が一度目におばさんの家までにかかる時間:K君が二度目におばさんの家までにかかる時間$= 12:\frac{\Large5}{\Large3}=36:5$となります。

速さは分速$80m$で同じなので、時間の比と距離の比は同じになります。

よって
答えは$ \frac{\Large5}{\Large36} $倍です。



(3)
K君と弟S君が出会うまでの距離に注目します。
過去問解説 開成中学 2019問題1-3 距離の比と速さの比

過去問解説 開成中学 2019問題1-3 距離の比と速さの比


K君がおばさんの家で引き返すと、分速が変化することに注意すると

K君が進んだ距離は$=12+\frac{\Large4}{\Large3}$です。
S君が進んだ距離$=12-\frac{\Large5}{\Large3}$です。

よって
K君が進んだ距離:S君が進んだ距離$= 12+\frac{\Large5}{\Large3}:12-\frac{\Large5}{\Large3}= 40:31$です。

同じ時間なら、距離の比と速さの比は等しくなるので
K君の速さ:S君の速さ$= 40:31$です。

K君の速さは分速$80m$なので
S君の速さ=$80m \times\frac{\Large31}{\Large40}= 64m$となります。

答えは分速$64m$です。

開成中学 2019問題2

次の図のような直方体ABCD-EFGHがあります。
また、辺CD、 EF、 GC上にそれぞれ点P、 Q、 Rがあり
DP$=8cm$、 PC$=12cm$、 EQ$=4cm$、 CR$=9cm$が成り立っています。 (単位はcm)

過去問解説 開成中学 2019問題2 立体図形 はじめの図

過去問解説 開成中学 2019問題2 立体図形 はじめの図



3点P、 Q、 Rを通る平面でこの直方体を切断し、切断したときにできる切り口の図形をXとします。

図形Xを前から見ると(面ABFEに垂直な方向から見ると)、面積が$228cm^2$の図形に見えます。
図形Xを上から見ると(面ABCDに垂直な方向から見ると)、面積が$266cm^2$の図形に見えます。
過去問解説 開成中学 2019問題2 立体図形 見る方向

過去問解説 開成中学 2019問題2 立体図形 見る方向



このとき、次の問いに答えなさい。

(1) 図形Xは何角形ですか。

(2) 直方体の高さ(辺AEの長さ)は何$cm$ですか。

(3) 直方体の奥行き(辺ADの長さ)は何$cm$ですか。


(本番の解答用紙には、この下に計算のための余白があります。記述力や思考過程も採点対象となります)

開成中学 2019問題2 解答

解答

(1) 六角形

(2) $14.4cm$

(3) $20.3cm$

開成中学 2019問題2 解説

解説

単元:中学受験算数 立体図形 切断図 平面図 立面図 平面図形 相似

受験生難易度:
2-(1) 易しい
2-(2) 易しい
2-(3) 標準

対策:立体図形の分野から、切断図の単元が出題されています。立体図形の切断図は、中学受験では頻出の単元ですが、ありきたりな図形を暗記するだけでは、対応できないでしょう。誰でも見知っているような図形は登場しません。

空間認知の訓練をして、どのような図形が登場してきても、自分の手で作図できるように準備しておきましょう。開成中学の算数平均点は高いので、どうしても図形が苦手な場合は、他校の受験も検討した方が良い場合もあります。

受験生難易度は標準的で、図形が得意な生徒は、全問正解できる大問です。図形が苦手な生徒でも(2)までは正解したいです。立体図形の解法だけではなく、平面図形の解法も同時に求められていますので、記述はしっかりと筋道を立てて書きましょう。


分析:
(1) 六角形

立体図形の切断 解法1:同じ平面の点を結ぶ
点Pと点Rは、同じ平面DCGHにあるので、線を引きます。

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ




立体図形の切断 解法2:平行な面に平行な線を引く
平面DCGHと平面ABFEは平行な面なので、辺PRと平行な線を点Qから引きます。交点を点Sとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ




立体図形の切断 解法3:辺を延長する
辺PRを延長して、平面と交わるところまで補助線を引きます。
平面EFGHとの交点を点X、平面ADHEとの交点を点Yとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 辺を延長する

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 辺を延長する




立体図形の切断 解法1の繰り返し:同じ平面の点を結ぶ
点Xと点Qは、同じ平面EFGHにあるので、線を引きます。辺FGとの交点を点Tとします。
点Yと点Sは、同じ平面ADHEにあるので、線を引きます。辺ADとの交点を点Uとします。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ



立体図形の切断 解法1の繰り返し:同じ平面の点を結ぶ
点Tと点Qは、同じ平面EFGHにあるので、線を引きます。
点Uと点Sは、同じ平面ADHEにあるので、線を引きます。
過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 同じ平面の点を結ぶ




過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 完成 六角形

過去問解説 開成中学 2019問題2-1 切断図 完成 六角形



完成です。答えは図形Xは六角形です。

立体図形の問題は、図形が描けなければ、そこで手が止まってしまいます。日頃から空間認知の能力を鍛えておきましょう。ちなみに、タブレットやスマホなどのデジタル学習よりも、手書きの紙でのアナログ学習の方が、より効果があることがわかっています。


分析:
(2) 直方体の高さ $=14.4cm$

立体図形の分野から、投影図(とうえいず)の問題です。投影図には前からみた立面図(りつめんず)と上空からみた平面図(へいめんず)があります。(2)では前から見た立面図を書きます。

投影図 解法:立面図(前から見た姿)を書く

まずは特徴をとらえて、図形Xを立体から平面にして描いていきましょう。

前からみると、点Aと点Uと点Dは重なります。
前からみると、点Bと点Cは重なります。
前からみると、点Eと点Hは重なります。
前からみると、点Fと点Tと点Gは重なります。
辺SQと辺PRは平行です。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図

過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図



平面図形 解法:相似の発見

辺の長さのデータを書きこみましょう。

辺SQと辺PRは平行なので
三角形PRBと三角形QSEは相似です。

よって
PB:RB $=12:9=4:3=$ QE:SEなので
SE $=3$となります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 相似の発見

過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 相似の発見



平面図形 解法:図形を分ける

長方形UBCTを3つの図形に分けて、考えます。

長方形UBCT=六角形UPRTQS+三角形PBR+三角形QES
長方形UBCT=$228+12\times9\div2+4\times3\div2$
 
よって
長方形UBCT=$228+54+6=288cm^2$ となります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 図形を分ける

過去問解説 開成中学 2019問題2-2 投影図 前から見た立面図 図形を分ける


長方形UBCTの横の長さは $8+12=20cm$
長方形UBCTの縦の長さは $(9+RT)cm$ なので

$288cm^2=20cm \times (9+RT)cm$

$(9+RT)=14.4cm$ となります。

求められている解答は、直方体の高さですから

直方体の高さ $=14.4cm$です。

立体図形の問題の中にも、平面図形の相似の計算が含まれています。たったの1問にさまざまな算数の解法が集められていますので、オールラウンドな算数力が求められています。


分析:
(3) 直方体の奥行(おくゆき) $=20.3cm$

立体図形の分野から、投影図(とうえいず)の問題です。(2)と同じ傾向の出題ですが、(3)は平面図を扱い、やや計算が長くなります。

投影図 解法:平面図(上から見た姿)を書く

まずは特徴をとらえて、図形Xを立体から平面にして描いていきましょう。

上から見ると、点Aと点Sと点Eは重なります。
上から見ると、点Bと点Fは重なります。
上から見ると、点Cと点Rと点Gは重なります。
上から見ると、点Dと点Hは重なります。
辺PUと辺QTは平行です。
三角形DPUと三角形BQTは相似です。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 投影図 上から見た平面図

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 投影図 上から見た平面図


辺DSと辺RBが、直方体の奥行となりますが、データが足りません。


立体図形 解法:辺を延長する
そこで直方体の立体図に戻って、辺を延長してみましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する




平面図形 解法:相似の発見
相似の三角形が見つかります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見


三角形DPYと三角形CPRは相似なので
辺DP:辺CP $=8:12=2:3$ です。
よって
辺DY:辺CR $=2:3=6:9$ なので
辺DY $=6cm$ となります。


立体図形 解法:辺を延長する 繰り返し
さらに異なる視点で見てましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 辺を延長する



平面図形 解法:相似の発見 繰り返し
さらに相似の三角形が見つかります。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 立体図形 相似の発見


三角形AUSと三角形DUYは相似なので
辺US:辺UY $=11.4:6=19:10$ です。


平面図形 解法:比と長さ
これでデータが集まりましたので、辺の比を書きこんでいきましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と長さ

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と長さ



立体図形から平面図形に投影すると時には、点の重なりに注意して
辺DS:辺DU:辺US $=29:10:19$

また
三角形DUPと三角形BTQは相似なので
辺DP:辺QB $=8:16=1:2=$ 辺DU:辺BT

よって
辺DS:辺DU:辺US:辺BT $=29:10:19:20$ となります。


平面図形 解法:比と面積
比で面積を表していきます。
過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と面積

過去問解説 開成中学 2019問題2-3 平面図形 比と面積



比で考えると
長方形DRBS $=(10+19) \times (8+12) =580$

三角形DPU $=10\times8\div2=40$

三角形BQT $=20\times16\div2=160$

よって
六角形PRTQSU $=$ 長方形DRBS $ー$ 三角形DPU $ー$ 三角形BQT
$=580-40-160=380$

比の$380$は$266cm^2$なので

$380:266=190:133=10:7=1:0.7$

比の$1$は$0.7cm$となります。

図形Xの奥行は比の$29$なので

$1:0.7cm=29:20.3cm$です。


答えは 直方体の奥行(おくゆき) $=20.3cm$
です。


面積の計算は、比の解法が用いられています。比の計算は、中学受験の頻出単元です。
難関校の算数には、思考型と精密型があり、思考型の学校は、比の計算のセンスが求められることが多いですので、自由自在に計算できるように、練習しておきましょう。

開成中学 2019問題3

空間内または平面上にひかれた道を進んで、点Aから点Bまで移動するとき、その移動経路が何通りあるかを考えます。


(1)

《図1》は一辺の長さが$1$の立方体を4個組み合わせて、横幅(よこはば)$2$、高さ$2$、奥行(おくゆき)$1$の直方体をつくり、その直方体と点Aと点Bを結ぶ道をつけたものです。
図の中で点Aと点Bを結ぶ太線が、通ることのできる道です。

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形1

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形1


《図2》は一辺の長さが$1$の立方体を4個組み合わせて、横幅(よこはば)$4$、高さ$1$、奥行(おくゆき)$1$の直方体をつくり、その直方体と点Aと点Bを結ぶ道をつけたものです。
《図1》と同じく太線で表された道を通ることができます。
過去問解説 開成中学 2019問題3 図形2

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形2


これらの道を、右、上または奥のいずれかの方向に進むことで、点Aから点Bまで移動するとき、考えられる移動経路は、《図1》、《図2》のそれぞれについて何通りありますか。



(2)

《図3》は一辺の長さが$1$の正方形を2個並べて、横$1$、縦$2$の長方形をつくり、その長方形と点Aと点Bを結ぶ道をつけたものです。図の中で点Aと点Bを結ぶすべての線が、通ることのできる道です。
過去問解説 開成中学 2019問題3 図形3

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形3


《図4》は一辺の長さが$1$の正方形を3個並べて、横$3$、縦$1$の長方形をつくり、《図5》は一辺の長さが$1$の正方形を6個並べて、横$3$、縦$2$の長方形をつくり、その長方形と点Aと点Bを結ぶ道をつけたものです。それぞれ《図3》と同じく、点Aと点Bを結ぶすべての線を道として通ることができます。
過去問解説 開成中学 2019問題3 図形4

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形4


過去問解説 開成中学 2019問題3 図形5

過去問解説 開成中学 2019問題3 図形5


次のような規則に従ってこれらの道を通り、点Aから点Bまで移動することを考えます。

規則 「一回だけ左に1進み、それ以外は右または上に進む」

ただし、進む方向を変更できるのは正方形の頂点の場所だけです。点Aにもどったり、点Bからもどったりはできません。また、規則に従うかぎり、同じ道を2回以上通ることも可能です。

このとき、《図3》の点Aから点Bまでの移動経路は10通りあります。
では、《図4》と《図5》のそれぞれについて、考えられる移動経路は何通りありますか。

開成中学 2019問題3 解答

解答

(1) 
《図1》 10通り
《図2》 18通り


(2)
《図4》 18通り
《図5》 63通り

開成中学 2019問題3 解説

解説

単元:中学受験算数 道順 立体図形 平面図形

受験生難易度:
3 -(1)ー 《図1》 易しい
3 -(1)ー 《図2》 易しい
3 -(2)ー 《図4》 標準
3 -(2)ー 《図5》 標準

対策:平面図形の分野から、道順の単元が出題されています。道順は、標準的な解法では、ただ数えていくだけです。注意深い受験生であれば、正答できます。

しかし開成中学では、図形を平面から立体に置きかえたり、途中で道順を戻れるように条件設定をしています。解法を丸暗記するのではなく、条件設定が変えられた場合でも、対応できる思考力が求められています。いいかえれば、自分の頭で考えられる受験生を求めています。

《図1》・《図2》は、ていねいに数えていくことで、正答できたはずです。算数の合格点の基準は《図4》・《図5》が正答できるかどうかでしょう。《図4》・《図5》は、1つ1つ道順を数えていくと、時間がかかりすぎてしまいます。どこかで算数の抽象的な法則に気づけるかどうかで、受験生の解答速度が変わってきます。

また答案の記述からも、受験生が「ただ数えている」のか「法則にもとづいて計算している」のかは、評価されるでしょう。

分析:
(1)は空間図形の問題に見えますが、平面図形に直して考えると、簡単です。

【道順 解法:交差点に本数を書いていく】

《図1》の立体図形は、右移動と奥移動は、平面図形の場合と同じように考えることができます。平面図形の場合と同じように、交差点に道順の本数を書いていきます。

過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形1 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形1 解答


過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形1 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形1 太線のみ


答えは  《図1》 10通りです。




【道順 解法:交差点に本数を書いていく 立体図形版】 

《図2》の立体図形は、3本の直線が集まっている交差点があるので、数え方に注意しましょう。
過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形2 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形2 解答


過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形2 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形2 太線のみ


答えは  《図2》 18通りです。


分析:
(2)は道順に左に1回だけ進むという条件が加わります。どの点から左に進むのか、場合を分けて考えるとよいでしょう。

【道順 解法:特殊な条件のある道順】

《図4》の平面図形で、左に進める点は、以下のように点ア・点イ・点ウ・点エ・点オ・点カです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形4 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答



点Aから点アまでは1通りで、点アから左に進み、そこから点Bまでの道順は4通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答



点Aから点イまでは1通りで、点イから左に進み、そこから点Bまでの道順は3通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答



点Aから点ウまでは1通りで、点ウから左に進み、そこから点Bまでの道順は2通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形4 解答



点Aから点エまでは2通りで、点ウから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。
点Aから点オまでは3通りで、点オから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。
点Aから点カまでは4通りで、点カから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。

よって左に進む点が、点ア・点イ・点ウ・点エ・点オ・点カの場合をそれぞれ足して
$4+3+2+2+3+4=18$

答えは  《図4》 18通りです。
 



【道順 解法:道順の法則を考える】

《図5》は、さきほどの《図4》の応用です。左に進む点に注目して、場合分けすればよいでしょう。また、似たような計算が何度も出てきますので、ここまでの計算結果をうまく利用して、計算時間を省略しましょう。

《図5》の平面図形で、左に進める点は、以下のように点ア・点イ・点ウ・点エ・点オ・点カ・点キ・点ク・点ケです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-1 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点アまでは1通りで、点アから左に進み、そこから点Bまでの道順は10通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点イまでは1通りで、点イから左に進み、そこから点Bまでの道順は6通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点ウまでは1通りで、点ウから左に進み、そこから点Bまでの道順は3通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点エまでは2通りで、点エから左に進み、そこから点Bまでの道順は4通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点オまでは3通りで、点オから左に進み、そこから点Bまでの道順は3通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点カまでは4通りで、点カから左に進み、そこから点Bまでの道順は2通りです。
過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答

過去問解説 開成中学 2019問題3-2 図形5 解答



点Aから点キまでは3通りで、点キから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。
点Aから点クまでは6通りで、点クから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。
点Aから点ケまでは10通りで、点ケから左に進み、そこから点Bまでの道順は1通りです。

よってまとめると

左に進む点が、点ア・点イ・点ウの場合は
$10+6+4=20$通り

左に進む点が、点エ・点オ・点カの場合は
$(2\times4)+(3\times3)+(4\times2)=24$通り

左に進む点が、点キ・点ク・点ケの場合は
$3+6+10=19$通り


それぞれを足して
$20+24+19=63$通り

答えは  《図5》 63通りです。
 

開成中学 2019問題4

A、 B、 C、 D、 E の5人が、次の10枚のカードを使って、ゲームをします。
(これらのカードはこれ以降、左上から順に1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 T と書き表すことにします。)

過去問解説 開成中学 2019問題4 カード

過去問解説 開成中学 2019問題4 カード


まず、5人が《図1》のようにまるく座(すわ)ります。
過去問解説 開成中学 2019問題4 図1

過去問解説 開成中学 2019問題4 図1


次に、5人に1枚ずつ、♡のカードを配ります。
さらに、5人に1枚ずつ、♠のカードを配ります。
そして、次の手順【1】、手順【2】を行います。

手順【1】 座っている全員が、持っている2枚のカードのうち、数が大きい方を、反時計周りに隣の人に渡す。(これ以降、この手順を 記号 → で表します。)

手順【2】 持っているカードが2枚とも♡、または2枚とも♠になった人は、ゲームに負けとなり、席を立つ(このとき、この人が持っているカードもゲームから除かれる)。また、持っているカードが♡、♠1枚ずつになった人は、そのカードを持ったまま座りつづけ、ゲームに残る。(これ以降、この手順を 記号 ⇒ で表します。)



ここで、座っている人が1人だけになったら、その人の勝ちでゲームは終わります。
座っている人が複数いる場合は、座っている人が1人だけになるまで、 → と ⇒ を交互に繰り返します。座っている人が1人になったら、その人の勝ちでゲームは終わりです。(いつまでも座っている人が1人にならないこともありますが、そのときは引き分けとします。)

下に、例として「はじめに、Aに1と2が、Bに6と7が、Cに4と9が、Dに3とTが、Eに5と8が配られた場合」のゲームの進み方を示しました。
ここで、26のように下線が引かれた部分は、そのカードが次の ⇒ でゲームから除かれることを表し、 × が書かれた部分は、そこに座っていた 人がすでに負けて席を立っていて、その席が空席になっていることを表します。
過去問解説 開成中学 2019問題4 図2

過去問解説 開成中学 2019問題4 図2



次ページの問いに答えなさい。なお、たとえば「Aが1と2を持っている」ことを、「A12」と表 しても「A21」と表しても、どちらでもかまいません。




(1) はじめに配られたカードが《図3》である場合のゲームの進み方を、《図2》にならって、解答らんの空らんに数字(1、2、3・・・9、T)、文字(A、B、C、D、E)、下線、×を適切に入れ、完成させなさい。
過去問解説 開成中学 2019問題4 図3

過去問解説 開成中学 2019問題4 図3


過去問解説 開成中学 2019問題4 図3解答欄

過去問解説 開成中学 2019問題4 図3解答欄




(2) 次の《図4》のように進んだゲームを考えます。
過去問解説 開成中学 2019問題4 図4

過去問解説 開成中学 2019問題4 図4


まず以下のようにして、(ケ)に3があることを説明しました。

(ケ)に3がないと仮定する。

このとき、最後にDが3と8を持っていることと、2回目の → で移動したカードのことを考え合わせると、(ク)は ( x ) 、(ケ)は ( y ) しかありえない。

この(ク)と(ケ)の内容から考えると、(ウ)は29または ( z ) だとわかる。

一方、1回目の ⇒ でだれも負けなかったことから
(ア)、(イ)、 (ウ)、(エ)、(オ)はいずれも(  ★  )
ということが分かるが、これはさきほどの (ウ)の内容と話が合わない。

だから、(ケ)に3がないと仮定したのは誤りで、実際は、(ケ)には3がある。


(a)
上の説明の中の空らん( x )、( y )、( z )に、数字(1、2、3・・・9、T)を適切に補いなさい。


(b)
上の説明の中の空らん(  ★  )に適切な文章を補いなさい。ただし、次にあげる2つの言葉を使うものとし、言葉を使った部分を 「  」で囲みなさい。

使う言葉:♡のカードの数字
使う言葉:♠のカードの数字

また、次の例のように
「♡のカードの数字」を「ハート」に、
「♠のカードの数字」を「スペード」に、
省略してもかまいません。


「ハート」と「スペード」の和が3になる


(c)
(ア)~(コ)に入る数字の組として、可能性のあるものをすべて答えなさい。
解答らんはすべて使うとは限りません。使わない解答らんには、全体に大きく 斜線 / を引きなさい。

開成中学 2019問題4 解答

解答

(1) Cの勝ち

過去問解説 開成中学 2019問題4 図3解答

過去問解説 開成中学 2019問題4 図3解答



(2)
(a) (x)23(y)89(z)38
 
(b) スペードがハートよりも大きい

(c) 
(ア)12
(イ)78
(ウ)56
(エ)34
(オ)9T
(カ)1T
(キ)27
(ク)58
(ケ)36
(コ)49

開成中学 2019問題4 解説

解説

単元:中学受験算数 規則性 カードゲーム
単元:数学 背理法 アルゴリズム

受験生難易度:
4 -(1)ー 易しい
4 -(2)ー(a)ー 標準
4 -(2)ー(b)ー 標準
4 -(2)ー(c)ー 難しい

対策:規則性の分野から、カードゲームが出題されています。算数のカードゲームには、古今東西の絵札(トランプ・タロット・花札・歌留多)などが登場し、数字や絵柄を用いて、さまざまなゲーム法則が探究されます。与えられたルールにもとづいて、どのようにゲームが進行していくのか、推論力も試されます。定まった解法はなく、出題者から与えられた条件文をていねいに読み解き、自分の手を動かして、法則を発見する必要があります。そういった点では、受験者のこれまでの算数の姿勢が問われます。

(1)は、条件文に合わせて、カードを反時計回りに移動していけば、正解に到達できたはずです。規則性のはじめの設問は、難易度が易しいことが多く、ほぼすべての受験者が正答できたはずです。算数が苦手な受験者でも、ここは落としてはいけない設問です。

(2)ー(a)と(2)ー(b)は、文章に合わせて推論していく問題です。3がないと仮定すると、どこかで矛盾が生じますので、3しかありえないと推論します。このような解法は、中学以降の数学では証明(背理法)と呼ばれますが、まだ小学生ですので、難しい数学用語を書く必要はありません。小学生なりに、自分の言葉で、物事を順序立てて説明できていればよいでしょう。

(2)ー(c)は制限時間を考えると、正答が難しい設問です。合格点を考えると、他の設問の見直しが完了してから、挑戦しましょう。

分析:
(1)は易しい設問です。条件文に合わせて、カードを反時計回りに移動していけば、正解に到達できたはずです。規則性のはじめの設問は、文章をそのまま素直に読み、決められた手順で進めていけば大丈夫です。
規則性の問題は(1)で受験生に手を動かせて、作業の正確さを見ています。「カードが偶数同士・奇数同士の場合に負け」という法則が読み取れると、作業がしやすいです。

分析:
(2)は難しい設問が含まれています。規則性の問題というよりは、論理証明の問題ともいえます。2018年の開成中学の国語試験でも、受験生に論理を述べさせる問題が出題されており、新しい出題傾向です。新学習指導要領に合わせて、算数でも「物事を論理的に説明する力」が問われていきそうです。開成対策として、低学年時から記述能力育成を意識しておきたいです。

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