記憶研究
Q:記憶の研究は、いつから行われているのですか?
A:記憶の研究は、遥か昔から行われていました。古代の授業では、すでに私たちが用いているような記憶術が存在していました。記憶術とは、例えば「鳴くよウグイス平安京」という語呂合わせで「794年に平安京に遷都」と効率よく記憶する技術のことです。
初期の記憶研究は、哲学・教育学・言語学などが先導していましたが、思索的で、伝統的な経験法則でした。近代科学の登場と現代的な実験設備によって、記憶の研究は心理学・生物学が先導するようになりました。
科学的な記憶の研究は、第二次世界対戦以降に、発展しました。例えば、1967年に京都大学霊長類研究所が、1969年に北米神経科学学会(Society for Neuroscience 略称SfN)が創立されています。
21世紀にはコンピューターの発展により、新しい手法での記憶研究が活発になっています。
Q:記憶の研究で、どのような実験動物が用いられているのですか?
A:記憶の研究のための実験動物として霊長類(Primates)・アメフラシ(Aplysia)・ショウジョウバエ(Drosophila)が有名です。単純な神経を持つ動物は、単純な記憶研究に、複雑な神経を持つ動物は、複雑な記憶研究に用いられる傾向があります。
Q:記憶の研究で、ニューロイメージングとは何ですか?
A:ニューロイメージング(neuroimaging)とは脳活動を画像で見えるようにする技術です。電磁力の変化を計測する技術や、血流の変化を計測する技術があります。
Q:記憶の研究で、HMとは誰ですか?
A:HM(エイチエム)とは、事故により脳の一部分が除去された人物で、有名な記憶研究の被験者です。HMの実験参加により、以下の知見が明らかとなり、記憶研究が発展しました。
HMの知見
1 記憶は独立した脳機能である。
2 映像の短期記憶には、内側側頭葉は必要がない。
3 内側側頭葉を除去されても、HMの子供時代の記憶は保全されていた。
4 記憶の最終的な保存場所は、内側側頭葉ではない。
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