脳幹系と大脳系 2つの意思決定

脳幹系と大脳系 2つの意思決定

脳幹系と大脳系 2つの意思決定

脳幹系と大脳系 2つの意思決定


脳幹系(のうかんけい)と大脳系(だいのうけい)とは、人間の2つの意思決定の能力です。人間が外部情報を認識する時には、間違えやすいが速く自動化された脳幹系による認識と、正確だが遅く意志的な大脳系による認識があると考えます。

脳幹系は、爬虫類にも存在し、本能・情動・直観を司ります。大脳系は、人間で発達し、理性・推論・合理性を司ります。

器官脳幹系大脳系
速度速い遅い
自覚無意識意識
発生自動的意志的
場面日常的計画的
精度低い高い
感情影響小影響大
能力本能・情動・直観理性・推論・合理性


脳幹係と大脳系は、現代世界を説明する有力な理論であり、ニート・依存症・精神障害・知能犯罪などの社会問題へ、見通しを与えます。



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脳幹系と大脳系 2つの意思決定



【意思決定と人間】

人間は外部世界からの情報を認識し、意思決定します。人間が意思決定する時に、どうやら異なる方法を用いているらしいことは、昔から知られていました。

例えば、お酒を飲むと、情動が強くなり、理性が弱まり、間違った意思決定をしやすくなることは有名です。お酒を飲んで「過ちを犯す」ことは、意思決定の1つです。

例えば、歯ブラシの値札に「1000円」と書いてあるよりも「999円」と書いてある方が、消費者は購入しやすいことを、小売業者は経験的に知っていました。歯ブラシが「1000円から1円安くなった」と合理的に判断しているのではなく、「999円の方が情報処理に労力がかかる」ために感覚へより強く訴えます。「立ち止まって歯ブラシを手に取る」ことは、意思決定の1つです。

例えば、民主主義の基盤には報道番組がありますが、報道番組は社会階層を区別して制作され、社会経済地位が低下するに従い、色や音の刺激が強くなり、男女の出演者の肌の露出が増えます。正しい知識を伝えるよりも、五感を通じて快感を与えた方が、メディアは注目を集められることがわかっています。建前では「世の中のことが知りたいからテレビを視聴する」と言っていても、テレビ視聴が生活習慣化され「特に目的もなくついついテレビを見てしまうこと」は、意思決定の1つです。


【意思決定と問題点】

現代世界でも、ニート・依存症患者・精神障害者・知能犯罪者は、合理的ではない意思決定をします。

例えば、どうして豊かで平和な日本で、ニートは何もしないのか。

例えば、どうして摂食障害が1960年以降の世界に現れ、アメリカ人の肥満率は高止まりしているのか。

例えば、優秀と賞賛された経営者やスポーツ選手は、どうして犯罪に走ることがあるのか。

例えば、年収1億円以上を稼ぐ優秀な人間は、どうして2008年のリーマンショックから始める世界恐慌を防ぐことができなかったのか。

例えば、高度な科学を理解する能力があっても、どうして2011年の福島原子力発電所の崩壊を食い止めることができないのか。

このような事実に対して、人間はどういう場合に合理的であり、どういう場合に合理的ではなくなるのか、探求する人間たちが現れてきました。


【脳科学と脳機能局在説】

古代思想では、人間には感性・直観・理性・創造などの異なる能力があることが指摘されていました。しかし、科学的な証明はなされておらず、思想の域を出ませんでした。例えば、東洋思想の道教では、人間の能力を陰陽の配分で理解しようとしますし、ドイツのルドルフ・シュタイナーは、全人教育を重視して、シュタイナー教育を提唱しました。

20世紀後半から、科学技術の発展(MRIやCTの登場)により、脳科学研究が実証的に進みました。その結果、脳が部分ごとに異なる役割を担うという思想が、科学的に裏付けられました。思想で信じているだけではなく、実際に人間の脳は、状況によって脳の異なる部分を用いて反応していることが分かりました。このような脳の在り方は、脳機能局在説(のうきのうきょくざいせつ)と呼ばれています。

21世紀の現在、脳幹系と大脳系という、2つの意志決定の能力があることが知られています。

器官脳幹系大脳系
速度速い遅い
自覚無意識意識
発生自動的意志的
場面日常的計画的
精度低い高い
感情影響小影響大
能力本能・情動・直観理性・推論・合理性





【意思決定と行動経済学】

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、行動経済学の実験を通じて、短期的な報酬を与えられた場合と、長期的な報酬を与えられた場合では、人間は異なる意思決定をすることを指摘しました。

一般的には、短期的に達成したいものを私たちは「欲望」と呼び、長期的に達成したいものを私たちは「目標」と呼んでいます。また持続する欲望を「意欲」と呼びますが、どのような条件で「意欲が生まれ」、どのような条件で「意欲が萎える」かは、現代教育の研究課題となっています。

例えばニートは「欲望」がないわけではありません。食欲や睡眠欲や性欲があり、ゲームで遊んだり、テレビを見たりします。しかし長期的な「目標」はなく、物事を持続する「意欲」もありません。彼や彼女がニートになったのは、もともとの資質なのでしょうか。それとも、現代の社会環境のどこかに、問題があるからなのでしょうか。



【参考文献】

子供がニート家庭の共通点・対策・予防

生活習慣 基本


三つの脳の進化 ポール・D・マクリーン
The Triune Brain in Evolution: Role in Paleocerebral Functions 



Daniel Kahneman. Thinking Fast and Slow.

 

Keith Stanovich. Who Is Rational Studies of individual Differences in Reasoning.

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