【俳句】:じゅぶじゅぶの しゃぶしゃぶしぶしぶ しゅしゅるかな
【仮名】:じゅぶじゅぶの しゃぶしゃぶしぶしぶ しゅしゅるかな
【英訳】:Meet meat eat Mate meet fate Eat mate meat
【季語】:夏
【解説】:しゃぶしゃぶは、夏の季語です。しゃぶしゃぶとひっそりと唱えてみると、恥ずかしくて左右を見回してしまいます。しゃぶしゃぶが、子供の国から来た言葉だからでしょう。
義務教育が確立する以前の世界では、子供はまず労働力であり、単純な農作業や工場作業に従事していました。子供と大人は同じ空間で働き、同じような感性・思考を所有しているはずだと、ややいい加減に思い込まれていました。現代の心理学・教育学では、生涯学習という言葉があるように、人の精神は発達し続け、やがて境地に達すると、わかりやすい特徴が表出してくると考えられます。
市民革命により権力が資本家へ移行すると同時に、ナポレオンは義務教育を制度化しました。資本家は工場へ投資し、子供たちは科学(理科)を学ぶようになりました。将来に必要とされる知識技術が規定され、それを学ぶために学校が建設されました。
ところが、学校には副産物がありました。働かなくてもよく、時間をもてあましている均質な集団には、独自の文化が生まれます。
そのような文化は、児童文化・思春期・青春・ティーン・サブカルチャーなどと命名され、さらに細分化され、企業工場の生産力の消費先として、マーケティングの対象になりました。
子供には独自の感覚・思考・制度・世界があり、それは異国にも等しいと、いつからか思うようになりました。異国の人間と話すように、相手に通じる言葉を選んで、相手に伝わりやすい表現を探すようになりました。
子供の国には、反復が好まれるという鉄則があります。ぐるぐる・わいわい・がやがや・にこにこ・えいえいなどの音楽的な反復を、子供は好みます。子供の認識の多くは、感覚に依存しています。言葉はまず音波であり音質であり空気の震えであり喉の運動です。言葉から意味を立ち上げる能力は(つまりは読解力は)まだ発達していません。
焼肉は、肉を焼く運動に由来し、しゃぶしゃぶは、肉を揺らす運動に由来しています。しゃぶしゃぶと舞い踊り、しゃぶしゃぶと煮込まれ、しゃぶしゃぶと食べられ、しゃぶしゃぶと消化されるのが、しゃぶしゃぶです。